NBAジャム ジャンル
スポーツゲーム (バスケットボ-ルゲーム) 対応機種
アーケード (AC) 開発元
ミッドウェイ 発売元
ミッドウェイ デザイナー
マーク・ターメル トニー・ゴスキー ジョン・カールトン サル・ディヴィタ ジェイミー・リベット プログラマー
ショーン・リプタク 音楽
ジョナサン・ヘイ シリーズ
NBAジャム 人数
1 - 4人(同時プレイ) メディア
業務用基板 (10.13メガバイト ) 稼働時期
NBAジャム 199302 1993年2月NBA Jam: Tournament Edition 19950223 1995年2月23日 19950223 1995年2月23日 19950224 1995年2月24日 デバイス
8方向レバー 3ボタン システム基板
ミッドウェイTユニット CPU
TMS34010 (@ 6.25 MHz) サウンド
MC6809 (@ 2 MHz)YM2151 (@ 3.58 MHz)DAC (@ 1 MHz) OKI6295 ディスプレイ
ラスタースキャン 横モニター 399×253ピクセル 27.41Hz パレット32768色 テンプレートを表示
『NBAジャム 』 (NBA Jam) は、1993年 2月 にアメリカ合衆国 のミッドウェイゲームズ から稼働されたスポーツゲーム (日本ではタイトー が筐体ごと輸入販売)。アメリカの男子プロバスケットボール リーグであるNBA を題材とした同社の『NBAジャムシリーズ』の第1作。本作のヒットにより、現実性よりもアクションを重視したスポーツゲームが多く生み出される結果となった。
ゲーム内容
2対2でバスケットの試合を行う本作は、ゲーム史上初の本格的なNBA公認のアーケード・バスケットボールゲームであり、デジタル描画 されたキャラクターたちが、本物の選手のように動き回る仕組みになっている。
本作の特徴の一つに非現実的なプレイスタイルがあり、本作においてプレイヤーは物理法則及び人間の身体能力の限界を無視するほど高く飛び上がってスラムダンクを決めることができる[ 1] 。ルールは緩く、プレイヤーが相手を押しても反則にならない[ 1] 。
プレイヤーが連続で3回ゴールを入れると、プレイヤーに火が付き、ターボゲージが強化され、シュートの成功率が上がる仕組みになっている[ 1] 。このモードは相手チームが点数を入れるか、プレイヤー側が燃えているときに4回連続で点数を入れることで解除される。
本作にはイニシャルを入れたりボタンやジョイスティックの入力によって初めて発動する隠し機能や裏技と言ったイースターエッグが多数搭載されている。
例えば、メガドライブ 版には、隠しモードとして床が滑りやすくなるスーパー・クリーン・フロアーモードが収録されている。
また、特定の文字列を入力すると、シャーロット・ホーネッツ のマスコットヒューゴー (英語版 ) やビル・クリントン 米国大統領(当時)といった隠しキャラクターを使えるようになる。
アーケード版では、プレイヤーが3Dワイヤフレームで描画された世界の中で戦車を走らせて戦う隠しミニゲームが存在している。
各チームの登場選手
アーケード版は1992年から93年までのNBAのシーズンのチームリストが、家庭用版では1993年から94年までのNBAのシーズンのチームリストが使用された。1994年に発売されたメガドライブ 版、メガCD 版、ゲームギア 版、スーパー32X 版、スーパーファミコン 版、ゲームボーイ 版では販売時期に合わせて調整がなされた。
マイケル・ジョーダン は名前や肖像の利用に当たっては本人との契約が必要であるため、登場しない。また、チャールズ・バークレー 、シャキール・オニール にも同様の問題があり、一部の版にしか登場しない。
イースタン・カンファレンス
ウェスタン・カンファレンス
1 スーパーファミコン、メガドライブ、ゲームギアの初期のバージョンではチャールズ・バークレーとケビン・ジョンソンがフェニックス・サンズに登場するが、バークレーが監修する『バークレーのパワーダンク (英語版 ) 』の発売を受け、途中からバークレーの代わりにダン・マーリー が登場するようになっている。
移植版
No.
タイトル
発売日
対応機種
開発元
発売元
メディア
型式
備考
1
NBAジャム
19940304 1994年3月4日 19940304 1994年3月4日 19940429 1994年4月29日
スーパーファミコン ゲームギア メガドライブ
Iguana Entertainment
アクレイム
ロムカセット
SFC SNS-8N-USA SNSP-8N-NOE SHVC-8NGG T-81248 T-81248-50 T-81037MD T-81326 T-81326-50 T-81033
2
NBAジャム
199411 1994年11月 19941124 1994年11月24日
ゲームボーイ
Beam Software
アクレイム
ロムカセット
DMG-A8NE-USA DMG-A8NP-EUR
3
NBAジャム
199412 1994年12月 1994年 19941220 1994年12月20日
メガCD
Iguana Entertainment
アクレイム
CD-ROM
T-81035 T-81035-50 T-81034
開発
アーケードゲーム『トータルカーネイジ (英語版 ) 』の売れ行きが予想を下回ったため、リードデザイナー兼プログラマーのマーク・ターメルはより広い層に 受け入れられるようなゲームを作りたいと考え、ミッドウェイがかつて開発したバスケットボールゲーム『アーチライバルズ (英語版 ) 』のようなゲームにデジタル・グラフィックを合わせたゲームの制作を決めた。ライセンス料に加えて筐体一台が売れるごとに100ドルを支払うという条件で、ミッドウェイはNBAから許諾を得た。当時NBAは「NBA Jam Session」という名でファンイベントを行っており、ゲームはこれにちなんで『NBAジャム』と名付けられた。
プログラマー兼メインデザイナーはマーク・ターメルが担当し[ 4] [ 5] 、他にアーケードゲーム『トータルカーネイジ (英語版 ) 』(1992年 )を手掛けたショーン・リプタクやトニー・ゴスキーなどが参加した。プログラムはすべてアセンブリ言語 で書かれた[ 7] 。
ミッドウェイがNBAに見せた初期イメージビデオでは、別アングルでの映像やコーチからのアドバイス、判定映像 、選手から見た速攻の映像といった機能が搭載されていたが、どの機能も完成版には反映されなかった。選手のグラフィックは、アマチュア選手の映像をデジタル処理したものが基になっており、モデルとなったアマチュア選手の中には、のちにNBAの選手となるスティーブン・ハワード (英語版 ) も含まれていた。これらの選手は一部機種で隠しキャラとしてプレイすることができる[ 8] 。
2008年、 デトロイト・ピストンズ のファンだったターメルは、対ピストンズ戦で同点のまま残り時間がわずかになった際ブルズのシュートが外れるようにプログラムを組むといった、シカゴ・ブルズに対する不当な扱いをしたことを明かした[ 9] 。
スタッフ
デザイン・チーム:マーク・ターメル、ショーン・リプタク、トニー・ゴスキー、ジョン・カールトン、サル・ディヴィタ、ジョナサン・ヘイ、ジェイミー・リベット
ハードウェア・サポート:キャリー・メドニック、パット・コックス、レイ・マシカ、シェリダン・オースラー、マット・ブーティ、ジョン・ロー、アル・ラスコ
スターリング:スティーブン・ハワード (英語版 ) 、ウィリー・モーリス・ジュニア、トッド・マクラーン、トニー・スコット、ケリー・ホスキンズ、ロレイン・オリビア
エグゼクティブ・プロデューサー:ニール・ニカストロ、ケネス・J・フェデスナ
評価
評価 受賞 媒体 受賞 Mega 7th best game of all time[ 29]
スーパーファミコン版
ゲーム誌『ファミコン通信 』の「クロスレビュー 」では、7・6・6・7の合計26点(満40点)[ 20] 、『ファミリーコンピュータMagazine 』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、20.8点(満30点)となっている[ 26] 。
項目
キャラクタ
音楽
お買得度
操作性
熱中度
オリジナリティ
総合
得点
3.4
3.2
3.4
3.6
3.7
3.4
20.8
メガドライブ版
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計22点(満40点)[ 21] 、『メガドライブFAN 』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、21.8点(満30点)となっている[ 27] 。
項目
キャラクタ
音楽
お買得度
操作性
熱中度
オリジナリティ
総合
得点
3.6
3.3
3.3
3.8
4.2
3.8
21.8
ゲーム本『メガドライブ大全』(2004年 、太田出版 )では、トラベリングの際にシューズが点滅する事やシュートで5メートル程飛躍する事、ディフェンス時に相手チームから大きく飛ばされる事などに関して「とにかくバカっぽいのが楽しい」と肯定的に評価、さらに選手が全員実名である事に触れ、様々なコンビプレイやテクニックが可能である点に関して「存分に味わえて痛快」と称賛した[ 28] 。
スピンオフ・シリーズ化
NBAジャム レビュー結果 媒体 結果 ファミ通 25 / 40 (T.E.) (SNES)[ 30] 25 / 40 (T.E.) (メガドライブ版)[ 31] 22 / 40 (T.E.) (ゲームギア版)[ 32]
1994年、続編『NBA Jam Tournament Edition』(略称:NBA Jam T.E.)のアーケード版がリリースされた。続編には、より新しいロースターとより多くの新機能、そしてこのソフトとタイアップしたイースター・エッグが付いてきた。また、これらのゲームはパーソナルコンピュータを含む家庭用への移植も行われた。家庭用は多数の隠しキャラクターのおかげもあって大ヒットした。当時のビル・クリントン 大統領とその妻 ヒラリー・クリントン 、副大統領アル・ゴア も隠しキャラクターとして用意されていた[ 35] 。家庭版のリリースの際、アクレイム・エンタテインメント はプレスリリースで「アクレイムが『NBA Jam』の独占的な権利を有している」と主張した。ミッドウェイがアーケード版を、アクレイムが家庭版をリリースする分業体制には以前から不安が囁かれていたが[ 37] 、この件が決定的となり、ミッドウェイは『NBA Jam』の名前を使うことはなくなった。
1996年、アクレイム・エンタテインメントは、カレッジ・リーグを題材としたバスケットボールゲーム『College Slam』をリリースした。このゲームは『NBAジャム』シリーズとして発売されたゲームではないが、大学のチームを扱っているほかはグラフィックスやサウンド、ゲーム感覚に至るまで『NBAジャム』そのままで、「『NBAジャム』の劣化コピー」と各誌で酷評された[ 40] [ 41] 。この年『NBAジャム』からは『NBA Jam Extreme』をリリースした。このゲームは3Dグラフィックスが導入され、マーヴ・アルバート が出演するなど、さまざまな改良がなされたが、同年ミッドウェイがリリースしたキャラクター作成機能をもつ『NBAハングタイム (英語版 ) 』には及ばなかった。
また、ミッドウェイは本作以降も、『NBAハングタイム』や"NBA Showtime: NBA on NBC"(1999年)といったNBAを題材とした作品で人気を出したが、2000年の3対3のミニバスケゲームNBA Hoopzをもってミッドウェイ版NBAジャムを終わらせた。ミッドウェイは本作のアイデアを応用して別のスポーツのゲームを開発するようになり、1995年にはホッケーゲーム『NHL Opwn Ice: 2 On 2 Challenge』を、1997年にはアメリカンフットボールゲーム『NFL Blitz』をリリースした。NFLとの契約は2004年に終了したが、その後も『NFL Blitz』シリーズは続き、2005年には『Blitz: The League』をリリースした。
一方でアクレイム・エンタテインメントは、『NBAジャム』の名でバスケットボールゲームを出し続け、2003年にも新作を発売した。しかしバスケットボールゲームは競合他社も多く、売り上げは振るわなかった。2004年7月、アクレイム・エンタテインメントは倒産処理手続き を開始した。ミッドウェイも2009年2月に倒産処理手続き に入った。
2010年10月5日、EAスポーツ はWii用ソフト『NBAジャム (英語版 ) 』を出した。同作のPS3版およびXbox 360版は11月に発売されたほか[ 48] 、2012年にはiOS・Androidに向けた配信も行われた[ 49] 。開発の主体はEAバンクーバー (英語版 ) だが、第一作のプロデューサーであるマーク・ターメルも監修として参加している[ 50] [ 51] 。2010年版NBAジャムは批評面でも商業面でも成功し、2011年にはNBA Jam: On Fire Edition (PSN:10月4日、XBLA:10月5日)が発売された。
ポップカルチャーへの影響
いくつかのサブカルチャーで使われていた"He's heating up" 、"He's on fire" 、"Boomshakalaka!" は公の場に進出している。"He's heating up"という言葉は、誰かが2・3度連続して成功することを使われる。ゲームの中では、プレイヤーが連続して3度以上ゴールを決めたときに使われた。
"He's on fire" 自分のチームが4点以上スコアを入れた後や、相手チームがスコアを入れたことをさす。これは、ゲームの中において、火のついたボールをついてゴールを入れた途端にバスケットゴールのネットが燃えたからである。
アナウンサーは前述のMarv Albertがモデルとなっているが、ゲーム中では言及されなかった。
他に有名なフレーズには"The Monster Jam!", “Jams it in!”, "A spectacular dunk!", "Wild Shot!", "From Downtown", "For Three!", "From long range",“Grabs the rebound!” がある。
ついには、スパイク・リー 主演の映画『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』(1985年公開) に登場するマーズ・ブラックモンのスローガンとタイアップしてしまった。なお、マーズ・ブラックモンは当時のナイキ のバスケシューズのTVCMにも出演している。彼がパフォーマンスをした後、Tim Kitzrow演じるコメンテーター[ 52] が"Is it the shoes?"と尋ねる内容になっている。("whoomp, there it is!"と感嘆するバージョンもあり)
脚注
^ a b c “NBA Jam”. Electronic Gaming Monthly (EGM Media, LLC) 7 (1): pp. 140-141. (January 1994)
^ How to WIN at NBA JAM!
^ Developer Interview: Mark Turmell - Gaming Age
^ Shibu K V (2009). Introduction to Embedded Systems . Tata McGraw Hill Education. p. 306. ISBN 0-07-014589-X
^ Plunkett, Luke (October 26, 2011). “See how 1993’s NBA Jam was Made (and Sold to the NBA) ”. Kotaku . Gawker Media. February 14, 2013 閲覧。
^ Robinson, Jon (5 November 2008). “You Don't Know Jam ”. The Gamer Blog . ESPN. 2015年5月18日 閲覧。
^ “NBA Jam for Arcade (1993) ” (英語 ). Moby Games . Blue Flame Labs. 2020年4月25日 閲覧。
^ a b c d “NBA Jam for SEGA CD (1994) ” (英語 ). Moby Games . Blue Flame Labs. 2020年4月25日 閲覧。
^ “Review Crew: NBA Jam”. Electronic Gaming Monthly (Sendai Publishing) (55): 32. (February 1994).
^ “Review Crew: NBA Jam”. Electronic Gaming Monthly (Sendai Publishing) (55): 38. (February 1994).
^ “Review Crew: NBA Jam”. Electronic Gaming Monthly (Sendai Publishing) (55): 46. (February 1994).
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^ “Box Score: NBA Jam: TE”. Electronic Gaming Monthly (Sendai Publishing) (76): 248. (November 1995).
^ “Box Score: NBA Jam: TE”. Electronic Gaming Monthly (Sendai Publishing) (81): 116. (April 1996).
^ “NBA Jam for SNES (1994) ” (英語 ). Moby Games . Blue Flame Labs. 2020年4月25日 閲覧。
^ a b c d “NBA Jam for Game Gear (1994) ” (英語 ). Moby Games . Blue Flame Labs. 2020年4月25日 閲覧。
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^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine 』増刊4月15日号、徳間書店 /インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、829頁、ASIN B00J16900U 。
^ a b CONTINUE(企画・編集) 編「Chapter 07 1994年」『メガドライブ大全』太田出版 、2004年9月29日、228頁。ISBN 9784872338805 。
^ Mega Top 50 feature, Future Publishing , issue 26, page 74, November 1994
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^ “NEW GAMES CROSS REVIEW: NBA JAM トーナメント エディション”. 週刊ファミ通 (エンターブレイン) (324号): 42ページ. (1995年3月3日).
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^ Rumor spurs Acclaim stock fall
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^ “EA to announce return of 'NBA Jam'” . ESPN. (4 January 2010). オリジナル の2010年1月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100110221840/http://sports.espn.go.com/videogames/news/story?id=4795625
^ IGN: Breaking into the Industry: Tim Kitzrow
参考文献
外部リンク