MP6
Rise mP6はRise TechnologyによりIntel Pentiumと対抗するべく設計されたスーパーパイプラインでスーパースカラー[2]のマイクロプロセッサである。 歴史Rise Technologyはx86互換マイクロプロセッサの開発に5年を費やし[3]、1998年11月にSuper Socket 7プラットフォーム向けの低コスト、低消費電力の製品として投入した。 設計mP6はMMX命令セットを採用し、3つのMMXパイプラインを有することで、最大3つのMMX命令を1サイクルで実行することを可能にした。3つの整数ユニットにより3つの整数命令を1サイクルで実行することも可能になっており、完全にパイプライン化された浮動小数点ユニットにより2つの浮動小数点命令を1サイクルで実行することが可能であった。性能をさらに向上させるため、コアには分岐予測が搭載され、データ従属性による競合を解消するための手法がいくつも用いられた[2]。 同周波数でmP6はIntel Pentium IIとほぼ同等の性能を有するとRiseは主張した[4]。 性能先進的な特徴にもかかわらず、mP6の実使用での性能は期待外れであることが明らかになった。これは主にL1キャッシュの容量が少ないことに由来した[4]。もう1つの理由としては、主な競争相手がIntel Celeron 266やIDT WinChip 2-266、そしてAMD K6-2 266であったにもかかわらず、Rise mP6のPR 266レーティングが旧世代の製品であるIntel Pentium MMXに基づいていることがあった[4]。競争相手はいずれもほとんどのベンチマークやアプリケーションにおいてより高い性能を発揮した[4]。Intel CeleronやAMD K6-2は実際に266MHzで動作しており、IDT WinChip 2のPRレーティングはAMDの製品に基づいていた[4]。 採用1998年の製品発表後、mP6が幅広く採用されることはなく、Riseは翌年の12月に市場から静かに撤退した。 競争相手であったCyrixやIDTと同様、RiseはIntel及びAMDに立ち向かうことはできないことを認識した。 遺産Silicon Integrated Systems (SiS) がmP6の技術のライセンスを受け、SiS 550に使用した。SiS 550はmP6 CPU、チップセット(ノースブリッジ及びサウスブリッジ)、サウンド、ビデオを統合したSystem-on-a-chip (SoC)であった。SiS 550はいくつかのコンパクトPCやDVDプレイヤーのような民生機器に採用された。SiS 551チップはDM&PからVortex86 (M6127D) として販売された。 後にDM&PはmP6の設計をSiSから引き継ぎ、Vortex86 SoC製品ラインの下で開発を続けている。 DM&Pは後にXcoreがVortex86をXcore86としてリブランドすることを許可する契約を行った[5]。 ラインナップ
脚注
外部リンク |