KCP+KCP+(ケイ・シー・ピー・プラス)は、KDDI Common Platform +(ケイディディアイ・コモン・プラットフォーム・プラス)の略で、KDDIとクアルコムにより共同開発されたau携帯電話専用の共通プラットフォームである。 クアルコムが2004年5月に発表したCPU統合チップセット「MSM7500」(600MHz)に対応しており、KDDI並びに沖縄セルラー電話の各au携帯電話の一部機種で利用されている。オペレーティングシステムの開発は、KDDIテクノロジー[1]と東芝、三洋電機が担当した[2]。 また、本項ではKCP+の発展版にあたるau携帯電話専用共通プラットフォームのKCP3.x(ケイ・シー・ピー さんてんえっくす)についても便宜上記述する。 概要従来よりKDDIは、端末のソフトウェア開発コストを削減することを目的に、通信キャリアとしては初めて、チップセットのライセンス契約をクアルコムと締結して、開発会社として参加メーカーが出向所属する形式をとり、KDDIとしての独自実装要求部分をすべての参加メーカーに見える形で開発を進めて「KCP(KDDI Common Platform)」として、クアルコムが開発した携帯電話向けのチップセットを搭載し、携帯電話における基本的なソフトウェアはBREW(←REX OS)上から拡張した共通プラットフォームを開発した。これにより、統一されたチップセットによる生産コストの低下、各メーカーごとに用意されてきたEメールソフトやEZwebブラウザ、その他サービスアプリなどをBREWアプリとして共通化された。 KCP+では、さらなる携帯電話の高機能化に伴う開発コストの削減を目指すために、共通化の範囲をBREW以外にも拡張し、ミドルウェアや無線通信制御、KCP+端末共通のデバイス、さらにはオペレーティングシステムの共通化が図られた。これにより、各メーカーは開発リソースを端末や画面デザイン、独自デバイスなど差別化機能に専念することが可能となるとしている[3]。 2008年4月当時、KDDIは、au携帯電話におけるこれからの新サービスは、順次KCP+上に開発していくことを表明していた[4]。 2011年春モデルのSH011を以ってKCP+を搭載した音声端末の新規開発が終了した。 KCP3.x2010年5月にクアルコムのモバイル用プロセッサ「Snapdragon S1」(QSD8650・1GHz)用に最適化されたKCP3.0が発表され、同キャリア向けのS004およびT004にそれぞれ搭載された。なお、機能面に関してはKCP+にほぼ準拠しているが基となるプラットフォームがこれまでのBREWから後発のPT003に採用されているBrew MPに変更となった。KCP+での共通化部分に加え、一部のハードウェアも共通化されている[5]。 また、2010年秋冬モデルの一部と2011年春モデルのWIN HIGH SPEED対応機種にはKCP3.1が導入され、更に2011年夏モデル以降のWIN HIGH SPEED対応機種にはKCP3.2が導入された。こちらはクイックアクセスメニューがセルフメニューに置き換わっているほか、モバイルアプリ版のSkype auに対応となった[6]。 2014年冬モデルのMARVERA2 KYY09を以ってKCP+の系譜となるKCP3.xを搭載した音声端末の新規開発が終了した。 共通化された機能KCP+で共通化された機能として以下のものがある。ただし、後でKCP+の標準機能として組み込まれたものもあるため、それ以前に発売された機種では対応していないものもある。
問題点最初期のKCP+採用端末は、キー操作時におけるレスポンスの低下[18]や、操作中の予期せぬフリーズやリセット現象の発生など、携帯電話の基本的な性能さえ不安定であるという問題が指摘された[19]。既存のKCP+端末に対しても何度も不具合修正のアップデートが行われた。 KCP+端末同士では、端末メーカーの独自性を排除して、どの設定がどこの階層にあるのかなどといったユーザインタフェースの統合が図られている。この副次的な影響により、それまでのKCPやさらに以前の端末などでメーカーが独自に改良した機能がある場合、統合・共通化により利便性が低下する、といったことがありうる。例えば東芝製のKCP端末では、Eメールにおいて送信先のメールアドレスを選択する際、それぞれアドレスにチェックマークをつけて一括選択する方式に対して、KCP+端末では、ひとつずつアドレスを選択していくというシステムがとられているため、メールアドレスの変更を知らせる時など、全員にメールを送信する際に効率性が低下してしまう、などである。 しかし、新しい技術が導入された黎明期や統合により起こりうる一時的な混乱と位置づけられ、現行機種での不具合の収束よりは、より新しい機種での改良、という形でキャリア側も誘導を図り、次第に事態は落ち着いた。 2009年春モデル以前の機種ではmicroSDHCメモリーカード、タッチパネル等のインターフェイスにKCP+側のシステムが対応しておらず[20]、共通機能をメーカー間に水平展開するという開発手法におけるデメリットもまだ残されていたが、これらの問題は同年夏モデル以降の一部機種より順次解消されていった[21]。 KCP+内のPCサイトビューアー(Opera Mobile)にはDigest認証が行えないバグがあり、Apache HTTP Serverにパッチが投稿されている[22]。 採用端末2018年12月現在、以下の端末がKCP+、またはKCP3.xを採用している。
周辺機器
脚注
関連項目
外部リンク |