2024年パリオリンピックの開会式 Games of the XXXIII Olympiad XXIII Opening Ceremony |
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第33回オリンピック競技大会開会式 |
イベントの種類 |
開会式 |
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開催時期 |
2024年7月26日19:30 - 23:33 (UTC+2) 7月27日2:30 - 6:30 JST (4時間3分) |
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会場 |
フランス パリ、セーヌ川など |
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主催 |
国際オリンピック委員会 (IOC) |
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運営 |
2024 パリオリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 |
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2024年パリオリンピックの開会式は、7月26日19時30分(CEST)からセーヌ川などで行われた第33回オリンピック競技大会の開会式。式典はオリンピック憲章に基き行われ、エマニュエル・マクロン大統領が開会を宣言する。総監督はトマ・ジョリー。史上初めて主競技場以外で式典が行われた[1][2]。またオリンピック放送機構が130台のカメラと80台のスクリーンで中継した[1]。
概説
大会組織委員会は現地時間の2021年12月13日に、「2024年パリオリンピックの開会式については、パリ中心部を流れるセーヌ川で行われ、各国・地域の選手団は船で川を航行して入場行進することになる」との計画を発表した[3]。
計画は、オステルリッツ橋からエッフェル塔近くのイエナ橋までの間を川下りして開会式パレードを行うものであり、これまでの夏季オリンピックは競技場を主会場として開会式を行ってきたが、今大会は競技場を主会場としないので前例のない形となった[4]。開会式はランドマークを活用して街そのものを競技場に見立てた[5]。競技場で行う場合の約10倍にあたる60万人が一部無料を含む観戦が出来るメリットがある一方、安全確保が大きな課題となる[6]。
しかし警備やテロの懸念から観衆を30万人程度に半減させた。
プログラム
プロローグ
サッカー選手のジネディーヌ・ヤジッド・ジダンがスタッド・ド・フランス前に現れ、競技場で開会式が行われると勘違いし困惑するフランス人コメディアンのジャメル・ドゥブーズから聖火トーチをもらい、市内を混乱させながら疾走し、地下鉄に乗り込むも、停電し地下鉄が出発直後に停車。ジダンは、ホーム上の追ってきた5名の子供に聖火トーチを渡し、子供達は地下墓地、地下道を通り、フードをかぶった謎の人がこぐセーヌ川のボートに乗船するVTRが冒頭に流れた。VTR直後に選手入場[7]。
選手入場
選手たちは船に乗り7回に分けて入場し、船が通過すると国名がフランス語と英語でアナウンスされた。選手入場の合間にショーを行う事で、入場行進の中だるみや間延びを防ぎ、飽きさせない工夫がされた。
入場順はオリンピックの発祥地であるギリシャを先頭に、続けて難民選手団、その後頭文字のフランス語のアルファベット順。入場の最後はフランス、その前は次回開催国のアメリカ合衆国、さらにその前に次々回開催国のオーストラリアとなっている。
挨拶・開会宣言・五輪宣誓
| この節の 加筆が望まれています。 (2024年7月) |
国連難民高等弁務官のフィリッポ・グランディに対するオリンピック月桂冠賞授与に続いて、パリ2024大会組織委員会会長のトニー・エスタンゲ、国際オリンピック委員会会長のトーマス・バッハが順に開会挨拶を行った。
その後、フランス大統領のエマニュエル・マクロンにより開会が宣言された。マクロンは1996年アトランタオリンピックにおけるビル・クリントン(当時49歳)を下回り、『大統領』の肩書を持つ人物としては夏冬通じて史上最年少となる46歳での開会宣言となった。
五輪宣誓はフランス選手団の旗手も兼務するフローラン・マナドゥとメリナ・ロベールミションが務めた。
マクロン大統領による開会宣言の文言は次のとおりである。
『Je proclame ouverts les jeux de Paris, célébrant la 33e Olympiade des temps modernes.』
[8]
(日本語訳)
『私はここに、第33回近代オリンピアードを祝うパリ大会の開会を宣言します。』
聖火点灯・フィナーレ
聖火はロンドン五輪・リオデジャネイロ五輪で柔道100キロ超級で連覇したテディ・リネールと陸上短距離でバルセロナ五輪・アトランタ五輪で3個の金メダルを獲得したマリー=ジョゼ・ペレクの黒人系の男女により聖火台に点火。聖火台はそのまま熱気球となって上昇し、五輪史上初の競技場外の空中聖火台となった。気球の直径は22メートルで、フランス電力が開発した。気球には一切燃料は使われていない。フィナーレはカナダ人歌手で難病を抱えるセリーヌ・ディオンがエッフェル塔特設ステージで『愛の讃歌』を熱唱し、開会式は閉式を迎えた。
国歌・賛歌
主な出席者
ホスト国
政府代表団
国際機関
日本での放送
反応
パリ五輪組織委員会が行ったアンケート調査では、フランス国民の86%が成功だったと回答し[17]、96%が開会式の出来に満足していると答えている[18]。IOCが世界の15地域を対象にした調査でも、88%が「良かった」と回答。76%が「史上最も記憶に残った開会式だった」とした[17][18]。
論争・トラブル
- フランスのヘヴィメタルバンド「ゴジラ」とオペラ歌手のマリーナ・ヴィオッティのコラボレーションでコンシェルジュリーを舞台にフランス革命時の流行歌『サ・イラ』のゴシックメタルアレンジを披露する際に斬首されたマリー・アントワネットがサ・イラを歌うシーンやコンシェルジュリーの窓から流血をイメージした赤いリボンや煙幕が飛び出したシーンに対し保守派団体から悪魔崇拝的であるとの批判が殺到したが、この件に関してゴジラのリードボーカル兼ギタリストのジョー・デュプランティエが、ローリング・ストーンのインタビューで悪魔崇拝的な演出に関しては否定しており、「あくまでフランスの歴史を伝えただけだ」としている[19]。なお、ヘヴィメタルバンドがオリンピック開会式の舞台に立ったのは史上初とされ、メンバー全員がメタルコミュニティー全体を代表して世界の舞台の立つことには重圧があったということも明かしている[20]。開会式から数日後、ヘヴィメタルファンには評判が良かったことからSpotifyのストリーミング再生数や月刊リスナー数が100万人増加するなど結果的に成功している[21]。同年8月30日には開会式で披露した『サ・イラ』のストリーミング配信が行われている[22]。
- ドラッグ・クイーンたちが演じる『最後の晩餐』のオマージュや歌手のフィリップ・カトリーヌ(英語版)が全身を青く塗ってほぼ全裸で扮したディオニューソスが登場したため、キリスト教右派からは「反キリスト教」的だと非難された。またバチカンの関係者は「深く傷ついた」と表明し、イーロン・マスク氏もSNS上で「Woke」を非難するミームに反応した[23]。これに対し、開会式のトマ・ジョリ芸術監督が地元のテレビで「最後の晩餐から着想を得たのではなく(ギリシャ神話の)オリンポス山の神々に関連する異教徒の祝祭がアイデアにあった」と説明、「(キリスト教徒を)嘲笑する意図はなかった」と強調した[24]。
- マリーヌ・ル・ペン氏の姪によると、彼女は子たちと一緒に開会式を見たが、「残酷なWokeのプロパガンダ」と評したという。なお、マリ出身のアヤ・ナカムラの登場についても、国民連合側は「フランス文化に対する略奪だ」と非難した[25]。
- 上記のLGBT関連の場面とポリアモリーと連想できるシーンに対して、中国のCCTVは実況コメントを一時取りやめた[26]。
- IOCの広報責任者であるアンヌ・デキャンプ氏は7月28日の会見で上記の演出について、「宗教団体に対する軽蔑を示す意図はなかった」「誰かを不快にさせたとしたら、すまなく思う」と述べたうえで、「寛容な共同体を称えようとした。世論調査でも示されているように、その目的は達成されたと思う」と語った[27][28]。
- 当日未明、フランス国内のTGV路線3か所でほぼ同時に信号ケーブル等の設備が焼ける火災が発生、一部の選手が開会式に出席できなくなるなどの影響が発生した。フランス政府の交通担当大臣は「組織的な悪意のある行為」と述べた[29][30]。
- 大韓民国代表の入場時に英語とフランス語の現地アナウンスで「朝鮮民主主義人民共和国」と誤って紹介した[31]。これを受けてIOCのトーマス・バッハ会長は翌27日午後、尹錫悦大統領に対して電話で謝罪した[32]。
- 五輪旗が誤って上下逆さで掲揚された[33]。
- 理由は不明だが、開会式のフル映像はOlympicsの公式YouTubeチャンネルにアップロードされた後、2日後の7月28日に削除された[34](大会全日程終了後の8月12日に再度アップされている)。
脚注
関連項目
外部リンク