2020年中華民国総統選挙

2020年中華民国総統選挙
2020年中華民國總統選舉
中華民国
2016年 ←
2020年1月11日
→ 2024年

投票率 74.90%(増加 8.63%)
 
候補者 蔡英文 韓国瑜 宋楚瑜
政党 民主進歩党 中国国民党 親民党
副総統候補者
頼清徳

張善政

余湘
得票数 8,170,231 5,522,119 608,590
得票率 57.13% 38.61% 4.26%

投票結果
蔡英文・頼清徳  韓国瑜・張善政
宋楚瑜・余湘

選挙前総統

蔡英文
民主進歩党

選出総統

蔡英文
民主進歩党

2020年中華民国総統選挙(2020ねんちゅうかみんこくそうとうせんきょ、: 2020年中華民國總統選舉、正式名称: 第15任總統副總統選舉)は、2020年民国109年)1月11日中華民国台湾)で行われた、総統副総統(第15期)を選出する選挙である。また、選挙原則(普通平等直接秘密選挙)が採用されてから7回目の選挙である。2020年中華民国立法委員選挙も同時に行われ、2016年総統選挙と同様のダブル選挙となった。

概要

一国二制度による統一を拒否する立場を打ち出している現職で民主進歩党蔡英文が再選を果たした。対する中国国民党韓国瑜香港で起きた民主化デモの影響で支持が低迷し[1]親中派のイメージが裏目となった。親民党宋楚瑜は二大政党の争いに埋没し支持を伸ばすことができなかった[2]

蔡英文の得票数は2008年総統選馬英九の766万票を超える817万票で、1996年の直接選挙開始以来過去最多となり[3]、この記録は「蔡英文障礙(蔡英文の壁)」と呼ばれるようになった[4]

2000年総統選で投票率82.69%と最高になって以来、投票率は毎回下がり続けており、2016年総統選では過去最低の66.27%になっていたが、今回の投票率は74.90%と前回から8.63%上昇し、2008年総統選以来の高投票率となった。

選挙制度

総統候補は副総統候補とペアで出馬し、比較多数の候補ペアを当選者とする。中華民国憲法の規定により、任期は4年、再選は1度。

選挙権は、自由地区(台湾地区)に6ヶ月以上在住する20歳以上の中華民国国民に与えられ、在外住民も選挙権を有する。

被選挙権は、自由地区に6か月以上在住し、中華民国国民として15年以上経過した40歳以上が被選挙人として登録できる。ただし、中華民国国籍を回復、帰化した者、大陸地区中華人民共和国香港マカオ)から移住してきた国民は被選挙人として登録できない。

立候補にあたって政党(直近の国政選挙で5%以上の得票)からの推薦を得るか、複数の政党による推薦(推薦政党の直近国政選挙の得票数合計が5%以上)が必要である。

無所属で立候補する場合は被署名推薦と呼ばれ、前回総統選挙の有権者の1.5%の署名を中央選挙委員会に提出する必要があり、署名の結果をもって、立候補資格を得ることが可能となる[5]

候補者

1 2 3
親民党 中国国民党 民主進歩党
総統候補 副総統候補 総統候補 副総統候補 総統候補 副総統候補
宋楚瑜 余湘
無所属
韓国瑜 張善政
(無所属)
蔡英文 頼清徳
[[File:宋楚瑜主席2016.jpg|100x100px]]
台湾省長 連広董事長 高雄市長 行政院長 総統
党主席
元行政院長
台南市長

民主進歩党

2019年3月14日告示の民進党総統選予備選挙には現職の蔡英文と前行政院長頼清徳の2人が立候補登録した[6][7]6月13日の開票の結果、蔡英文が35.7%の得票で頼清徳(27.5%)を約8.2%差で下し[8][9]6月19日、蔡が正式に民進党総統候補に登録された[10][11]

11月17日、蔡英文は予備選挙で争った頼清徳を副総統候補とすることを発表した[12]

中国国民党

2019年3月22日告示の国民党総統選予備選挙には5人が立候補登録した[13][14]7月15日の開票の結果、韓国瑜が44.8%の得票で、郭台銘(22.7%)、朱立倫(17.9%)、周錫瑋(6.0%)、張亜中中国語版(3.5%)を下し、7月28日、韓が正式に国民党総統候補に登録された[15][16]

11月11日、韓国瑜は元行政院長で無所属の張善政を副総統候補とすることを発表した[17]

親民党

2019年11月13日親民党は総統候補指名などを議論する決定会議および全国委員会を開催した。親民党主席の宋楚瑜は会議後に記者会見を開き、無所属で連広グループ社長の余湘中国語版を副総統候補として、自身4度目となる総統選への立候補を表明した[18]

選挙結果

全国集計

e • d  中華民国の旗 2020年中華民国総統選挙 2020年1月11日施行)
候補者 所属政党 得票数 得票率
総統 副総統
蔡英文 頼清徳 民主進歩党 8,170,231 57.13%
  蔡・頼 (57.13%)
  韓・張 (38.61%)
  宋・余 (4.26%)
韓国瑜 張善政 中国国民党 5,522,119 38.61%
宋楚瑜 余湘 親民党 608,590 4.26%
有効票数(有効率) 14,300,940 98.87%
無効票数(無効率) 163,631 1.13%
投票者数(投票率) 14,464,571 74.90%
棄権者数(棄権率) 4,846,534 25.10%
有権者数 19,311,105 100.0%
出典:中央選挙委員会 選挙資料庫(繁体字中国語)

県市別

2020年中華民国総統副総統選挙各県市投票結果
県市 有権者数 宋楚瑜余湘 韓国瑜張善政 蔡英文頼清徳 無効票 投票率 次点との得票差
得票数 得票率 得票数 得票率 得票数 得票率
台北市 2,167,264 70,769 4.34% 685,830 42.01% 875,854 53.65% 21,381 76.31% 190,024
新北市 3,321,459 112,620 4.57% 959,631 38.91% 1,393,936 56.52% 28,041 75.09% 434,305
基隆市 311,801 11,878 5.25% 99,360 43.92% 114,966 50.82% 2,458 73.34% 15,606
宜蘭県 375,608 10,739 3.91% 90,010 32.80% 173,657 63.28% 3,029 73.86% 83,647
桃園市 1,780,755 63,132 4.82% 529,749 40.40% 718,260 54.78% 14,066 74.42% 188,511
新竹県 438,049 18,435 5.67% 154,224 47.45% 152,380 46.88% 3,970 75.11% -1,844
新竹市 345,345 14,103 5.40% 102,725 39.34% 144,274 55.26% 3,423 76.60% 41,549
苗栗県 447,422 15,222 4.66% 164,345 50.32% 147,034 45.02% 3,578 73.80% -17,311
台中市 2,251,064 84,800 4.99% 646,366 38.06% 967,304 56.95% 20,550 76.36% 320,938
彰化県 1,035,507 35,060 4.59% 291,835 38.24% 436,336 57.17% 10,277 74.70% 144,501
南投県 413,485 13,315 4.45% 133,791 44.72% 152,046 50.83% 3,555 73.21% 18,255
雲林県 565,269 15,331 3.83% 138,341 34.60% 246,116 61.56% 5,203 71.65% 107,775
嘉義県 428,640 11,138 3.62% 98,810 32.16% 197,342 64.22% 3,748 72.56% 98,532
嘉義市 215,055 6,204 3.84% 56,269 34.79% 99,265 61.37% 1,664 75.98% 42,996
台南市 1,556,845 41,075 3.52% 339,702 29.10% 786,471 67.38% 12,341 75.77% 446,769
高雄市 2,299,558 55,309 3.14% 610,896 34.63% 1,097,621 62.23% 17,006 77.44% 486,725
屏東県 688,793 14,021 2.74% 179,353 35.10% 317,676 62.16% 4,992 74.92% 138,323
台東県 179,536 4,163 3.60% 67,413 58.28% 44,092 38.12% 1,119 65.05% -23,321
花蓮県 269,558 6,869 3.71% 111,834 60.38% 66,509 35.91% 2,081 69.48% -45,325
澎湖県 88,432 2,583 5.07% 20,911 41.08% 27,410 53.85% 644 58.29% 6,499
金門県 120,721 1,636 3.41% 35,948 74.83% 10,456 21.77% 423 40.14% -25,492
連江県 10,939 188 3.04% 4,776 77.16% 1,226 19.81% 82 57.34% -3,550
出典:中央選挙委員会 選挙資料庫(繁体字中国語)

脚注

注釈

出典

  1. ^ 【国際情勢分析】香港デモが台湾・蔡総統に追い風 野党候補との支持率逆転”. 産経ニュース (2019年7月2日). 2020年1月12日閲覧。
  2. ^ “台湾総統選、蔡英文氏が再選 過去最多得票で韓氏に圧勝―「一国二制度」拒絶”. 時事通信社. (2020年1月12日). https://web.archive.org/web/20200111155116/https://www.jiji.com/sp/article?k=2020011100438&g=int 2020年1月12日閲覧。 
  3. ^ 台湾総統選 蔡英文氏が再選、過去最多の得票数を記録」『』2020年1月12日。2020年1月14日閲覧。
  4. ^ 自由時報電子報 (2020年1月11日). “得票數衝破800萬創歷史紀錄 樹立「蔡英文障礙」 - 政治 - 自由時報電子報” (中国語). news.ltn.com.tw. 2024年2月14日閲覧。
  5. ^ 總統副總統選舉罷免法 - 全國法規資料庫。
  6. ^ 自由時報電子報 (2019年3月22日). “2020拚連任 蔡英文登記初選 - 焦點 - 自由時報電子報” (中国語). news.ltn.com.tw. 2023年11月26日閲覧。
  7. ^ 自由時報電子報 (2019年3月19日). “參選2020 賴清德登記初選 - 焦點 - 自由時報電子報” (中国語). news.ltn.com.tw. 2023年11月26日閲覧。
  8. ^ Everington, Keoni (13 June 2019). “Breaking News: Taiwan President Tsai wins DPP primary poll”. Taiwan News. https://www.taiwannews.com.tw/en/news/3723239 13 June 2019閲覧。 
  9. ^ Hsu, Stacy (13 June 2019). “Tsai wins DPP primary, beating Lai by 8.6 points”. Central News Agency. http://focustaiwan.tw/news/aipl/201906130005.aspx 13 June 2019閲覧。 
  10. ^ Yeh, Su-ping; Elizabeth, Hsu (18 June 2019). “DPP to officially nominate Tsai as candidate in 2020 election”. Central News Agency. http://focustaiwan.tw/news/aipl/201906180019.aspx 19 June 2019閲覧。 
  11. ^ Ku, Chuan; Yeh, Su-ping; Lim, Emerson (19 June 2019). “DPP formally backs Tsai Ing-wen as 2020 presidential nominee”. Central News Agency. http://focustaiwan.tw/news/aipl/201906190014.aspx 19 June 2019閲覧。 
  12. ^ 自由時報電子報 (2019年11月17日). “蔡賴配》與蔡英文兩人互補 賴清德沈澱後再起 - 政治 - 自由時報電子報” (中国語). news.ltn.com.tw. 2023年11月26日閲覧。
  13. ^ Jennings, Ralph (15 July 2019). “Taiwan party picks mayor over ex-Foxconn chief for 2020 run”. Taiwan News. Associated Press. https://www.taiwannews.com.tw/en/news/3744783 15 July 2019閲覧。 
  14. ^ Yeh, Joseph (15 July 2019). “Han Kuo-yu wins primary, to represent KMT in 2020 race”. Central News Agency. http://focustaiwan.tw/news/aipl/201907150004.aspx 15 July 2019閲覧。 
  15. ^ Everington, Keoni (15 July 2019). “Breaking News: Han wins KMT primary poll for Taiwan presidential race”. Taiwan News. https://www.taiwannews.com.tw/en/news/3744684 15 July 2019閲覧。 
  16. ^ Yeh, Joseph (15 July 2019). “Han Kuo-yu wins KMT primary for 2020 presidential race (update)”. Central News Agency. http://focustaiwan.tw/news/aipl/201907150007.aspx 15 July 2019閲覧。 
  17. ^ 當韓國瑜副手 張善政:帶領國家回歸「善良政治」本質 | 2020總統立委選舉”. web.archive.org (2019年11月12日). 2023年11月26日閲覧。
  18. ^ Wang, Cheng-chung; Huang, Frances (13 November 2019). “James Soong announces presidential bid (update)”. Central News Agency. http://focustaiwan.tw/news/aipl/201911130013.aspx 13 November 2019閲覧。 

関連項目

外部リンク