黒田 福美(くろだ ふくみ、本名:同じ、1956年7月21日 - )は、日本の女優、エッセイスト、翻訳家である。キャストパワー所属。2008年2月末まではアミューズに所属していた。東京都立豊多摩高等学校、桐朋学園芸術短期大学演劇学科卒業[1]。趣味は旅行、写真、ヨガ、ヨット[2]。
人物
1977年、『夫婦ようそろ』でデビュー。同作の新人出演者募集に応じた4619人の中から山本みどり、三島由起子、牧野真理子、大塚良重、堀川あゆみとともに選ばれて起用された[1]。
デビュー当初は時代劇の町娘役が多く、大役に恵まれずにいたが、鈴木武幸からオファーを受けて『電撃戦隊チェンジマン』に出演。当たり役を得る。
『春の波涛』出演時に伊丹十三と出会ったことで縁ができ、監督する映画作品に常連起用されることになる。
『日立 世界・ふしぎ発見!』では初代ミステリーハンター(1986年4月19日の初回放送より出演)を務めた。
韓国との関わり
1980年代から親韓派・韓国通として活動し、独学で朝鮮語を学び、事務所の反対を押し切って韓国留学までした。もともとは1983年にバレーボール韓国代表の姜萬守(カン・マンス)の熱烈なファンになったことが、朝鮮語を勉強するきっかけと語っている[3][4]。
1988年ソウルオリンピック、2002 FIFAワールドカップなどでも活動を行い、1988年放送のフジテレビ『ニュースバスターズ』では韓国レポーターを務めた。
韓国の盧泰愚大統領が1990年に来日した時に開かれた、海部俊樹首相主催の晩餐会に招かれたこともある。韓国のテレビドラマや映画にも多く出演し、好意的に受け入れられている。韓国に関する本も多数出版している。
2008年5月10日、慶尚南道泗川市出身の卓庚鉉(タク・キョンヒョン)神風特別攻撃隊隊員の慰霊碑建立を、泗川市当局との協力により主導。しかし、碑の除幕式直前から市当局が韓国国内の左右両派団体から抗議運動を受け、除幕式は中止となり、その後慰霊碑は撤去された。慰霊碑建立の経緯について黒田は、「朝鮮人特攻隊員の夢を見たことをきっかけで調べてみたところ、卓庚鉉隊員の存在を知った」と語っている[5]。
2011年5月に、韓国政府から「『韓国の正しい歴史や文化』の情報を日本人に教え伝え続けている」として、修交勲章興仁章(2等級)を授与された。
2013年4月15日、韓国・京畿道から同道の観光広報大使を委嘱された[6]。
2014年、産経新聞の元ソウル支局長が大統領批判をしたとして、在宅起訴された際は、韓国政府に批判的な立場をとった[7]。
発言
- パチンコチェーンのオーナーの韓昌祐が代表を務める「韓哲文化財団」の助成金が授与されたことについて、「在日差別への憤りが行動の原点。(日本が)加害者の立場であることをきちんと受け止めたうえで友好の土台を築いていきたい」。助成金は「被差別日系研究所」を設立した辛淑玉と共に授与された[8]。
- 2014年10月14日、産経新聞のインタビューで、産経新聞元ソウル支局長が大統領批判をしたとして在宅起訴されたことについて「いままで日韓の懸け橋になれればと活動してきたが、今回ばかりは事情が違う。政府の打ち上げた反日の方針に韓国国民も疑問符が浮かんでいるようだ。産経新聞紙面に出ることに正直なところ躊躇もあった。女優として、政治的発言をすることはリスキーだが、自分が保身を考えている場合ではないと思った。日韓友好を願うからだ」と述べ、韓国政府の反日姿勢を批判した[7]。
- ある夜、韓国人特攻隊員の卓庚鉉(日本名・光山文博)が夢枕に立ったことから、韓国に彼の慰霊碑を立てることを志す。遺族は黒田の思いに感謝し、「帰郷祈念碑」として完成した慰霊碑は、韓国メディアも好意的に伝えるなか2008年5月、故郷に近い慶尚南道泗川市の公園で除幕式が行われるところまでこぎつけた。碑文は特攻隊員のみならず日本の戦争で犠牲になった韓国人すべてを慰霊、追悼するものだった。しかし、除幕式当日に反日・愛国派団体の「光復会」が押しかけ「親日売国奴の特攻隊を称えるのはけしからん」と反日デモを行う大騒ぎとなった。除幕式は急遽中止となり、慰霊碑も撤去され、市当局などの協力者も手を引いてしまった。この事件について黒田は自身の著書の中で「韓国人たちは反日という柵の中に囲い込まれている羊の群れのようだと思う。光復会に対して意見をしたり、いさめたりすれば直ちに『親日派』というレッテルを貼られて柵から追い出され、社会的に抹殺される。だからだれもが『身を縮めて黙ってうつむく』しかない」と嘆き、さらに「韓国社会が『親日的』とされる言論を封殺し、地位を奪ったりして、人々を社会的に抹殺するようなやり方を止めないかぎり、韓国の言論も社会も成熟しないだろう。このことは韓国人自らが気づき改めないかぎり実現することはない」と述べている。なお、慰霊碑は現在、黒田の志に共感する尼僧の配慮で、ソウル近郊の龍仁市の法輪寺の境内に横になって安置されている[9]。
出演
テレビドラマ
NHK
日本テレビ
TBS
フジテレビ
テレビ朝日
- 半七捕物帳 第26話「歩兵の髪切り」(1979年9月25日)
- 文吾捕物帳(1982年)
- 松本清張の黒革の手帖 (1982年) - 潤子
- 特捜最前線
- 第264話「白い手袋をした通り魔!」(1982年)
- 第298話「カナリアを飼う悪徳刑事!」(1983年)
- 第353話「特別病棟の女!」(1984年) - 鮎川しのぶ
- 遠山の金さん
- 第1話「新奉行登場!!顔のない人気作家!」(1982年) - メ蝶
- 第82話「大奥潜入! 顔で笑って心で泣く母」(1984年) - お里
- 第107話「浴槽の死美人・怨みの琴をひく女!」(1984年) - 菊乃
- 第122話「愛の墓場・二人の父をもつ悪女!」(1984年) - お糸
- 遠山の金さんII 第21話「継母の愛!」(1986年) - おこん
- 暴れん坊将軍II 第86話「吉宗、ざん悔の鬼剣舞!」(1984年) - 染香
- 家族ゲームII(1984年)
- 必殺シリーズ(朝日放送)
- 必殺仕事人III 第2話「下駄を履かせたのは両替屋」(1982年) - お力
- 必殺仕事人IV 第41話「主水 夏バテで早朝体操を休む」(1984年) - 小夜
- 必殺仕切人 第11話「もしも父親が"娘よ"と泣いたら」(1984年) - おたえ
- 必殺仕事人V・激闘編 第23話「組紐屋の竜、襲われる」(1986年) - お志津
- 必殺まっしぐら! 第4話「相手は長崎のぜいたく女」(1986年) - 紀和
- ザ・ハングマン4(1984年、朝日放送) - 立花悦子
- 電撃戦隊チェンジマン 第17話「長崎の謎の幽霊船」 - 第53話「炎のアハメス!」(1985年5月25日 - 1986年2月8日) - 女王・アハメス
- ミスマッチ(1988年)
- 続続・三匹が斬る! 第13話「尼寺騒動、今日も怒りの桜島」(1990年) - 八重
- 名奉行 遠山の金さん
- 第2シリーズ 第6話「甘い囁きは女の敵」(1989年) - お浜
- 第4シリーズ 第11話「殺人者は振り袖の美女」(1992年) - お仙
- 第5シリーズ 第16話「獄門台から逃れた男と女」(1993年) - お澄
- 外科病棟女医の事件ファイル(1991年) - 志村晶子
- ご存知!旗本退屈男(1992年)
- さすらい刑事旅情編V 第4話「特急さざなみ4号・セクハラに勝った女」(1992年)
- はみだし刑事情熱系 PART4 最終話「ありがとうみゆき 君に会えてよかった…父が残した涙の遺書 爆弾の雨と死の商人!!」(2000年3月29日) - 野々宮梓
- スカイハイ - 東富美子
- 第八死「フェイス(前編)」(2003年3月7日)
- 第九死「フェイス(中編)」(2003年3月14日)
- 最終死「フェイス(後編)」(2003年3月21日)
- 新・京都迷宮案内(2006年) - 田島緑
- 名探偵の掟 第六章「殺すなら今」(2009年5月22日) - 魚沢ひれ子
- メイド刑事 Mission 9「グルメ評論家の裏の顔! 最高級旅館の秘密を暴け!」(2009年8月28日) - 加賀見鈴子
- 相棒 season8 第11話「願い」(2010年1月13日) - 鷹野涼子
- 科捜研の女
- スペシャル(2010年3月18日) - 梶間ゆき
- Season16 第10話「偽りの鏡」(2017年1月19日) - 牧京子
- 警視庁失踪人捜査課 第8話「爆破現場から消えた男!」(2010年6月4日) - 佐田明美
- 京都地検の女 第6シリーズ 第3話「鏡に微笑む殺人犯!! 熟年夫婦が堕ちた罠」(2010年10月28日) - 佐伯美千代
- バラ色の聖戦(2011年) - 岡崎玉枝
- 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活(2012年) - 桑潟幸一の母
- DOCTORS2 最強の名医 - 田代秋枝
- 第6話「次のターゲットは!? 手術拒否の患者の謎」(2013年8月15日)
- 第7話「派閥崩壊!! 余命半年の患者を救う必殺技」(2013年8月22日)
- 刑事7人 SEASON1 第5話「母と息子」(2015年8月12日) - 前田和美
- 検事の本懐(2016年) - 清水亮子
- 特殊犯罪課・花島渉1(2017年) - 宮川みどり
- 家政夫のミタゾノ 第2シリーズ 第4話「美容の女王を密葬!! 家族で賞金10億を奪い合う…遺言クイズ!?」(2018年5月11日) - 山脇美子
- 遺留捜査 第5シーズン 第7話「幻の金メダル〜空のお守り袋に母の秘密」(2018年8月30日) - 花村友梨
- 警視庁・捜査一課長 新作スペシャルI(2019年7月7日) - 並岡元子
- 土曜ワイド劇場→土曜プライム・土曜ワイド劇場
テレビ東京
テレビ神奈川
- 希望の翼〜あの時ぼくらは13歳だった[11](2013年3月2日、KBS・カズモ共同製作)
WOWOW
東映チャンネル
SBS(韓国)
情報・教養・バラエティ番組
CM
映画
オリジナルビデオ
DVD
- 『韓国・感動・韓流 紀行!! 韓国世界遺産&深発見の旅』(2004年10月21日、企画・著作/RKB毎日放送・電通九州、販売/ビコム株式会社)
舞台
著書
- 「ソウル マイハート」講談社 (1995/12)
- 「ソウルマイハート2 背伸び日記」講談社(1999/10)
- 「ソウルマイデイズ」講談社(2002/10)
- 「ソウルの達人」講談社 (2003/7/31)
- 「となりの韓国人 傾向と対策」講談社(2006/7/12)
- 「黒田福美の韓国ぐるぐる ソウル近郊6つの旅 使える韓国語フレーズで旅先でも安心!」アスク(2013/8/7)
- 「夢のあとさき 帰郷祈願碑とわたし」三五館 (2017/7/24)
訳書
- 「うさぎのおるすばん」平凡社(原題:도대체 그 동안 무슨 일이 일어났을까? )イ・ホベク著(2003/9/1)
- 「おなかがすいたらごはんたべるんだ 韓国の賢者による「短いお話、長い考え」」ポプラ社 イ・ギュギョン著(2004/9)
- 「はんぶん幸せ、それでじゅうぶん。」ポプラ社 李圭璟(イ・ギュギョン)著(2007/1)
脚注
出典
外部リンク