高橋幸子 (産婦人科医)
高橋 幸子(たかはし さちこ[1]、1975年[2] - )は、日本の産婦人科医。埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター助教[3]。日本家族計画協会クリニック非常勤医師[4]。彩の国思春期研究会西部支部会長[4]。未成年への性教育に携わり、「サッコ先生」の愛称がある[4]。 略歴1975年、青森県弘前市に生まれ、埼玉県川越市で育つ[2]。母が臨床検査技師だったため、病院内の保育園に通っていたなど、高橋にとって病院は身近な存在だった[5]。小学校4年生の時に『キャンディ♡キャンディ』で看護師に興味を持ち、後に医師を志す[5]。川越市立名細小学校、東邦大学付属東邦中学校・高等学校を経て、1年浪人した後、山形大学医学部医学科に入学した[2]。2000年に同大学を卒業[3]。大学時代、産婦人科の研修で不妊症患者と遭遇し、性感染症が不妊を引き起こすことへの無理解から「無防備な性体験」をしてしまう人がいることを知った[6]。性感染症には予防法があるが、不妊症にもつながるものであるということを広めたいと、性教育を「自分の一生の仕事[7]」にすることを決意した[6][7]。 2007年に性に関する講演を初めて行う[2]。それからは、日本全国の小・中学校、高校で性に関する講演を、年間100件以上行っている[3][1]。2019年は135件の講演を行った[3]。また、令和2年度厚生労働科学特別研究事業「#つながるBOOK」の制作者の一人となっている[6][8]。 2021年度には、一般社団法人性と健康を考える女性専門家の会の「第6回堀口雅子賞」を受賞[9]。 性教育活動
高橋が山形大学医学部6年生の時、ボランティアで女子少年院を訪ねた友人から、「女子少年院にいた少女の多くに、性感染症に罹患した経験がある」と聞かされ、さらに(性感染症の先にある)不妊症の女性患者が、体外受精で激痛により叫び声をあげてしまったのを目撃した[10]。そこで「どうして少女たちが性感染症を予防できなかったのか?」と考えた折、高橋自身も学校で十分な性教育を受けた来なかったことに気付き、知識のある自分が性を伝えていかなけれなばらないと一念発起[10]。性教育の合宿に参加した際、「性病は怖い」→「思いがけない妊娠は嫌」→「だからセックスはしてはならない」というパターンの「性脅育」になってはならないという講師の言葉に、「将来に役立つ教育法ではない」と気づかされた[10]。「脅しの性教育[11]」ではなく、正しい知識を持って、自分で選択肢を見つけられるように学んでもらう、その考え方で道が開けた高橋は、思春期の女子に身近に助けられる存在になるべく、産婦人科医を目指した[10]。 大学卒業後には性教育の勉強と出産・育児を両立し、2007年に埼玉県内の中学校で、性教育講演デビューしたが、緊張でほとんど頭が回らなかった経験から、高橋自身の交際相手との避妊や、病院で出会った患者など、具体的な性のストーリーを講演に出していくことで経験を積み、講演の依頼も増えていった[10]。 若年者の予期しない妊娠を現場で見て、性教育に取り組む医療従事者は少なくなく、高橋もその一人である[10]。学校の現場で性教育が避けられてきた中で、外部講師による性教育授業は、セーフティーネットとして重責を担っている[10]。高橋は都立高校の出張授業で、「過度なオナニーで突然死するという「テクノブレイク」は存在しない。これまで一度も病院で見たことがない」と断言し、男子生徒を沸かせた[10]。「アダルトビデオなどで不正確な情報が溢れている」と強調する[10]。子宮頸がん検診やヒトパピローマウイルスワクチンの重要性を伝える際には、17歳の少女が不正出血を起こし、子宮頸がんと診断されたが、性的な接触で感染するのが原因なために親に相談できず、手術で子宮を摘出して救命はされたが、自分が妊娠・出産できないのを交際相手に言えない事例を、包み隠さずに生徒の目線で話している[10]。講演では、高橋自身が長男を出産した様子の動画も上映し、リアルな「命の重さ」と、「自分の人生を自分で選択する」(リプロダクティブ・ヘルス・ライツ)ことを伝えている[10]。 Covid-19の感染拡大で講演のキャンセルが相次いだが、対策緩和とともに依頼が急増し、2021年は年間165回の公演を重ねた[10]。高橋は、「コロナ下で性教育の必要性を先生たちが実感してくれた」と振り返る[10]。また、講演の内容や、生徒からの質問とその回答を「カレシができたら読むブログ」で公開している[1][12]。 著書
監修
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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