自動車盗 (じどうしゃとう)は、自動車 の窃盗 のことを指し、警察白書 では窃盗の一形態に分類される[ 1] 。自動車等の積荷や車両内から現金や品物を盗むことは車上狙い にあたる[ 2] ので同記事を参照のこと。
日本における自動車盗
統計による窃盗の実態
自動車窃盗の認知件数推移(1967年以降)
1967年以降の自動車窃の認知件数推移
年
認知件数
1967
35,466
1968
40,455
1969
47,563
1970
45,054
1971
38,009
1972
32,556
1973
29,418
1974
30,704
1975
32,318
1976
31,185
1977
31,827
1978
32,052
1979
31,772
1980
32,298
1981
33,452
1982
33,462
1983
34,714
1984
35,319
1985
34,781
1986
34,518
1987
32,951
1988
33,936
1989
35,877
1990
34,167
1991
35,366
1992
34,740
1993
35,648
1994
34,725
1995
35,730
1996
33,722
1997
34,489
1998
35,884
1999
43,092
2000
56,205
2001
63,275
2002
62,673
2003
64,223
2004
58,737
2005
46,728
2006
36,058
2007
31,790
2008
27,668
2009
25,960
2010
23,970
2011
25,238
2012
21,319
2013
21,529
2014
16,104
2015
13,821
2016
11,655
2017
10,213
2018
8,628
2019
7,143
2020
5,210
2021
5,182
2022
5,734
2023
5,762
法務省と警察庁の統計データより、1967年 ~2023年 の認知件数は、1967年~1969年 にかけて急増し、4万7,563件となったが、1970年 ~1973年 にかけて減少し、1973年は2万9,418件と3万件を切った。しかし、翌年の1973年~1998年 は、3万~3万6千件の間で増減を繰り返していたが、1999年 ~2003年 にかけて、急激に増加し、2003年は6万4,223件と統計のある1967年以降の数値で最多となった。そして2003年をピークに減少し、2021年 は5,182件と1967年以降最少の件数となったが、2022年は2019年コロナウイルス対策の行動制限緩和 により外出する人が増加し、人と出会う機会が増えたことから前年より増加して5,734件となり、2023年は5,762件となり2年連続増加している[ 3] [ 4] [ 5] [ 6] 。
警察庁の2022年の統計データより、自動車10万台当たり7.3台であった。また、自動車のエンジンキー(イグニッションキー)が、メインスイッチ(イグニッションスイッチ)に差し込まれていたままか、運転席又はその周辺に放置された状態で盗難に遭ったものは、全認知件数の約4分の1(1,443件)であり、残りの約4分の3(4,291件) は、そのような状態で無いにも関わらず、盗難に遭っている[ 7] 。
被害額別では、200万未満が全認知件数の約45.6%を占めていた。また、2013年 - 2022年 の間で、被害額300万以上の比率が増え(2012年:約12.1 %→2022年:約38.0 %)、逆に200万未満の比率が減少している(2013年:約69.1 %→2022年:約45.6 %)傾向があり、段々と盗難する対象が高級車 (高額車)へと変わりつつある。そして、盗難自動車が戻ってきた確率は、約24.8 %であった。また、自動車のエンジンキー(イグニッションキー)が、メインスイッチ(イグニッションスイッチ)に差し込まれていたままか、運転席又はその周辺に放置された状態で盗難に遭った自動車は約46.2 %、そうでない状態の場合は約17.6 %であり、前者の方が還ってくる確率が高い[ 7] 。
そして、警察等に認知されていない犯罪の件数(暗数 )を含めて実際の犯罪実態を調べる目的で2000年以降数年に1回行われる法務省の2019年犯罪被害実態調査[ 8] により、自動車盗難にあったと答えた自動車所有者の割合は、2018年中に被害が遭ったと回答した者の割合は0.0 %、2014年 - 2018年の間に遭ったと回答した者の割合の場合は、0.2 %であった。また、この調査は2000年以降5回行われているが、被害に遭う割合は一貫して1 %未満となっており、2019年犯罪被害実態調査では、今までの調査の中で最も低い被害率であった。(5年以内被害率 2000年:0.7 %→2004年 :0.7 %→2008年 :0.9 %→2012年 :0.9 %→2019年:0.2 % )
そして、被害を警察に届け出た割合は約85.7 %であった。しかし、残りは調査回答者本人だけでなく家族にも被害に遭ったかのかを含めて質問しているためか無回答であり、かつ保険会社 へ盗難に対する補償 を申請する為、警察に届け出なければならず、暗数になりにくいため、通常は殆どない。
また、自動車盗難で検挙された者の年齢層は、30代・40代が625人中でそれぞれ113人と132人あり、約18.1 %と約21.1 %を占めていたが、10万人当たりの検挙人員では、14 - 19歳の未成年・20代がそれぞれ約1.0人、約1.1人と他の年齢層よりも高い[ 7] 。
イモビライザー などの盗難防止装置が普及しているが、これらの装備が標準化されている高級車に盗難対象がシフトした原因として、スマートキー やController Area Network (CAN)を利用する専用ツールが犯罪者の間で売買されるようになり、利益が出る高級車を素早く盗めるようになったことが考えられる[ 9] 。対策としてはハンドルやタイヤを物理的にロックするなど原始的な手法が有効とされる[ 9] [ 10] 。
自動車盗難事故実態調査
日本損害保険協会 は、自動車にまつわる盗難の保険事故 をまとめたデータを公開している[ 11] 。2022年の自動車盗難件数は全国で5,734件で、最も盗難件数が多い都道府県は愛知県 の884件となっている[ 12] 。 2020年までワースト1であり、2021年はワースト1を脱して2022年にワースト5となった茨城県 はワーストになる背景に、「田畑に囲まれてポツンとある広い家にクルマが2~3台並んでいる」と表現する位、住宅が密集されていない環境故に、地域の監視機能が必然的に低くなってしまうこと、加えて高度経済成長期 以降移住した住民が多いため、古くから住んでいる人が多い地域よりも監視機能が弱いことに背景があることを指摘されている[ 13] 。
自動車盗難事故実態調査による盗難車車名別上位5位と車上荒らし被害品種上位5位
車体盗難
車上狙い の被害品[ 14]
調査年月
第1位
第2位
第3位
第4位
第5位
第1位
第2位
第3位
第4位
第5位
2000年11月
ランドクルーザー
セルシオ
クラウン
アリスト
ベンツ
---
---
---
---
---
2001年11月
クラウン
ランドクルーザー
セルシオ
ベンツ
アリスト
---
---
---
---
---
2002年11月
クラウン
ランドクルーザー
セルシオ
セドリックグロリア
ベンツ
---
---
---
---
---
2003年11月
ランドクルーザー
クラウン
ハイエース
セルシオ
マークⅡ
オーディオ
カーナビ
金銭・カード(ETCカード除く)
バッグ類
タイヤ ・ホイール
2004年11月
ランドクルーザー
マークⅡ
クラウン
RAV4
ハリアー
カーナビ
オーディオ
バッグ類
金銭・カード(ETCカード除く)
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
2005年11月
ランドクルーザー
ハリアー
マークX
クラウン
RAV4
カーナビ
オーディオ
バッグ類
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
金銭・カード(ETCカード除く) CD・MD・DVD等(ソフト)
2006年11月
ランドクルーザー
マークX
ハリアー
RAV4
ハイエース クラウン
カーナビ
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
バッグ類
オーディオ
金銭・カード(ETCカード除く)
2007年11月
ハイエース
ハリアー
ワゴンR
マークX
ランドクルーザー
カーナビ
バッグ類
金銭・カード(ETCカード 除く)
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
CD・MD・DVD等(ソフト)
2008年11月
ハイエース
ワゴンR
マークX
ランドクルーザー
セルシオ
カーナビ
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
バッグ類
タイヤ・ホイール
金銭・カード(ETCカード除く)
2009年11月
ハイエース
セルシオ ランドクルーザー
ワゴンR クラウン
マークX
タント
カーナビ
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
バッグ類
金銭・カード(ETCカード除く)
タイヤ・ホイール
2010年11月
ハイエース
セルシオ
ランドクルーザー
サーフ
クラウン
カーナビ
外装部品(バンパー ・ドアミラー 等)
バッグ類
金銭・カード(ETCカード除く)
タイヤ・ホイール
2011年11月
ハイエース
セルシオ
ランドクルーザー
クラウン
プリウス
カーナビ
バッグ類
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
タイヤ・ホイール
金銭・カード(ETCカード除く)
2012年11月
ハイエース
クラウン
セルシオ
プリウス
ランドクルーザー
カーナビ
バッグ類
タイヤ・ホイール
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
金銭・カード(ETCカード除く)
2013年11月
ハイエース
プリウス
ランドクルーザー
セルシオ
クラウン
カーナビ
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
バッグ類
タイヤ・ホイール
金銭・カード(ETCカード除く)
2014年11月
プリウス
ハイエース
ランドクルーザー
アクア
セルシオ
バッグ類
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
タイヤ・ホイール
カーナビ
金銭・カード(ETCカード除く)
2015年11月
プリウス
ハイエース
ランドクルーザー
アクア
クラウン
外装部品(バンパー ・ドアミラー 等)
カーナビ
バッグ類
金銭・カード(ETCカード除く)
スポーツ用品(ゴルフバッグ等)
2016年11月
プリウス
ハイエース
ランドクルーザー
アクア
レクサス
バッグ 類
外装部品(バンパー・ドアミラー等)
タイヤ・ホイール
金銭・カード(ETCカード除く)
カーナビ
2017年11月
プリウス
ランドクルーザー
ハイエース
レクサス
スカイライン
カーナビ
スポーツ用品(ゴルフ バッグ 等)
バッグ類
金銭・カード(ETCカード除く)
タイヤ・ホイール
2018年11月
レクサス
プリウス
ランドクルーザー
ハイエース
アクア
外装部品(バンパー ・ドアミラー 等)
スポーツ用品(ゴルフバッグ等)
バッグ類
金銭・カード(ETCカード除く)
カーナビ
2019年
プリウス
ランドクルーザー
ハイエース
クラウン
レクサスLS
バッグ ・財布 類
カード ・有価証券
ナンバープレート
運転免許証
建設機械
2020年
プリウス
ランドクルーザー
レクサス(LX)
クラウン
アルファード
バッグ・財布類
カード・有価証券
ナンバープレート
運転免許証
携帯電話
2021年
ランドクルーザー
プリウス
レクサス(LX)
アルファード
クラウン
バッグ・財布類
カード・有価証券
ナンバープレート
運転免許証
携帯電話
2022年
ランドクルーザー
プリウス
アルファード
レクサス(LX)
レクサス(RX)
バッグ・財布類
カード・有価証券
ナンバープレート
運転免許証
携帯電話
2023年
ランドクルーザー
アルファード
プリウス
レクサス(LX)
ハイエース
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米国における自動車盗
統計
連邦捜査局 の公表資料によると、2020年の自動車盗の件数はミシガン州で18,385件、オハイオ州で20,077件だった[ 15] 。
対策
以下のような対策が有効とされている。
短時間でも自動車から離れるときは鍵をかけ、給油時は鍵を抜く[ 15] 。
管理人や警備員が配置され、照明設備のある駐車場を利用する[ 15] 。
利用者の多い駐車場を利用し、大型車の間などの死角となる場所への駐車を避ける[ 15] 。
盗難防止装置の付いた自動車を選択する[ 15] 。
盗難時に判別できるよう自動車には目印を付け車台番号を控えておく[ 15] 。
Hot Wheels
全米保険犯罪局(NICB:National Insurance Crime Bureau)は、毎年、最も盗難被害にあった車のランキング「Hot Wheels」を発表している[ 16] 。これは警察から全米犯罪情報センター(National Crime Information Center)に報告された盗難データをNICBが分析したものである[ 16] 。
2019年の全米保険犯罪局(NICB)の分析では次のような調査結果となった[ 16] 。
Fシリーズ(フォード)3万8938台
シビック (ホンダ)3万3220台
シルバラード (シボレー)3万2583台
アコード (ホンダ)3万745台
カムリ (トヨタ)1万5656台
アルティマ (日産)1万3355台
カローラ (トヨタ)1万2137台
ラム (ダッジ)1万1292台
シエラ (GMC)1万1164台
CR-V (ホンダ)1万94台
脚注
出典
関連項目
外部リンク