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この項目では、1946年のアメリカ映画について説明しています。1993年の日本のテレビドラマについては「素晴らしきかな人生」を、2016年のアメリカ映画については「素晴らしきかな、人生」をご覧ください。 |
『素晴らしき哉、人生!』(すばらしきかな、じんせい!、原題:It's a Wonderful Life)は、1946年のアメリカ合衆国のファンタジードラマ映画。監督はフランク・キャプラ、出演はジェームズ・ステュアートとドナ・リードなど。
作品情報
フランク・キャプラ、ウィリアム・ワイラー、ジョージ・スティーブンスの3人が協力して設立したリバティ・ピクチャーズの第1号作品。
アメリカ映画協会(AFI)が選ぶ「感動の映画ベスト100」では1位に、同協会の「アメリカ映画ベスト100」では11位にランクインしている。
2003年のAFI選定「ヒーローと悪役ベスト100」ではジョージ・ベイリーがヒーローの9位に、ポッターが悪役の6位にランクイン。
2008年のAFI選定「10ジャンルのトップ10」ではファンタジー部門3位にランクイン。
2014年のアメリカの大手映画批評サイトRotten Tomatoesが発表した「2014年版クリスマス映画ベスト25」には第1位にランクイン[2]。
これまでのキャプラ映画の集大成として1946年に公開するも、当時は興行的には惨敗。
1946年(第19回)のアカデミー賞では作品賞を含めた5部門にノミネートされるも、『我等の生涯の最良の年』や『ヘンリィ五世』の台頭により無冠に終わった。
アメリカでは不朽の名作として毎年末にTV放映されることから、それまでキャプラを知らなかった若い世代から再評価され、今ではクリスマスにこの映画が流れるのは定番となり、アメリカで最も親しまれた作品としてよく知られる映画である。その後、権利はナショナル・テレフィルム・アソシエイツ(英語版)(NTA)が買い取り、現在はパラマウント映画から正規版DVDが発売されている。また、公開から50年が経過しているためパブリックドメインとなっている。
アメリカではどの大学の映画学科でも、この映画を必ず見せて、学生の指針としている。[要出典]
脚本はフィリップ・ヴァン・ドーレン・スターン(英語版)の作品『The Greatest Gift』から着想を得たもの。
あらすじ
1945年のクリスマスイブ。天国の大天使が二級天使のクラレンス(ヘンリー・トラヴァース)を呼び、ニューヨーク州のベドフォールズという町で絶望に陥っているジョージ・ベイリー(ジェームズ・スチュワート)を救うよう命じ、その準備としてジョージのこれまでの人生の歩みをクラレンスに見せる。
小さな住宅金融会社を経営し、貧しい人々のために働く父と優しい母のもとで育ったジョージ。友達と遊ぶ時はその中心に立ち、女の子からの人気も高い。しかし、冬の池に落ちた弟の命を救った時に左耳の聴力を失う。
父は自分の会社をジョージに継いでほしいと願っているが、ジョージはこの小さな町を出て世界中を回り、大学に進学して、都市計画に関わる建築家になること、大きな仕事に携わって大金を稼ぐことを夢見ている。
高校を卒業し、海外旅行と大学進学を控えていたジョージは、卒業記念パーティで友人の妹のメアリー・ハッチ(ドナ・リード)を紹介され、すぐに仲良くなる。メアリーはジョージに想いを寄せるが、ジョージは今後の夢の実現のことで頭が一杯である。
ところがその夜、父が急病で倒れ、まもなく死んでしまう。町で一番の富豪で金儲けのことしか考えないヘンリー・ポッター(ライオネル・バリモア)が父の死を機に会社を潰そうとしていることを知ったジョージは、大学進学を諦めて会社を継ぐことにし、自分が使うつもりだった学費は弟のハリーの大学進学に使われる。当初、大学を卒業した後はハリーが会社を継ぐことになっていたが、ハリーは卒業とともに結婚し、妻の父が営む工場で働くことになったため、町を出たいというジョージの夢は再び絶たれることになる。
失望していたジョージだったが、進学先のニューヨークから戻ってきていたメアリーと再会する。メアリーはジョージを愛し続けていた。ジョージも彼女に愛を告げ、2人は結婚する。しかし婚礼の日、富豪のヘンリーが再びジョージの会社を潰そうと策略を仕掛けてきたため、預けていた金を引き出そうと町民たちが押しかけてくる。ジョージとメアリーはハネムーンの費用として持っていた2000ドルを配って人々を安心させ、取り付け騒ぎは収まって会社は廃業を免れる。
2人はあばら屋をリフォームしながら新婚生活を始め、4人の子供にも恵まれて貧しいながら幸せな生活を送るようになる。ジョージは貧しい人々のために宅地開発を行い、安価な住宅を提供する仕事を進めて人々の信頼を得る。一方、法外な家賃を取っていたヘンリーの借家からは人がいなくなり、危機感を募らせたヘンリーはジョージを高額の金で抱き込もうとするが上手くいかない。
やがて第二次世界大戦が始まり、ジョージは耳の障害で徴兵を免除されるが、弟のハリーは海軍のパイロットとして活躍し、名誉勲章を受けた彼の記事が新聞の一面に載ることになる。
1945年のクリスマスイブの朝。町は英雄ハリーの歓迎準備でにぎわっている。ジョージの右腕として働いていた叔父のビリーは会社の金8000ドルを銀行に預けるため出かけたが、あろうことかこの金を紛失してしまう。実はその金はひょんなことからヘンリーの手に渡ってしまっていたのだった。この日は会社の監査があり、この8000ドルがないと会社が潰れてしまう。ビリーとジョージは必死に金を探すが見つからない。
絶望的な気持ちで帰宅するとメアリーと子供たちは楽しそうにクリスマスの準備をしているが、ジョージは家族に八つ当たりをして家を出ると酒場で酒をあおり、ついには自殺によって保険金を得ることを考えて川に向かう。ところがジョージの目の前で老人が川に飛び込んだため、ジョージも飛び込んでその老人を助ける羽目になる。この老人こそ二級天使のクラレンスで、ジョージの自殺を止めるために自ら飛び込んだのだった。
自分は死ぬしかない、自分がいない方がみんな幸せになっただろうと語るジョージに対し、彼の考えを改めさせようとするクラレンスは敢えて「ではその通りにしよう」と言う。ジョージが戻ると町にはけばけばしいネオンが光り、人々はみな荒んだ心で暮らし、知人や友人だった人々は誰もジョージのことを知らず、住宅金融会社はとうの昔に廃業、我が家は廃屋、そしてメアリーは独身のまま図書館に勤務していた。もちろん彼女もジョージのことなど知らない。
自分の人生が素晴らしいものだったことに気づいたジョージが「全てを元に戻してほしい」と心から神に祈ると、願い通り世界は元に戻り、ジョージは大喜びで家へ帰る。一方メアリーは町の人々に夫の窮状を伝えて助けを求めていた。人々はジョージの家に集まって次々に金を寄付し、必要だった8000ドルを大きく上回る額が集まる。ジョージとメアリーは幸福をかみしめながら人々と共に「蛍の光」を合唱するのだった。
キャスト
※括弧内は日本語吹替[注 1]
スタッフ
日本語版
- 演出:岩田敦彦
- 翻訳:赤池ひろみ
- 制作:ACクリエイト
受賞
備考
関連項目
注釈
注釈
参考文献
- ^ RKO Feature Film Ledger, 1929-51, p116
- ^ “クリスマス映画ベスト25発表!1位は『素晴らしき哉、人生!』”. シネマトゥデイ. (2014年12月17日)
- ^ 『ワンダフルライフ バージェス頁岩と生物進化の物語』「序言及び謝辞」(ハヤカワ文庫版15頁)より
- ^ 「アクターズ・スタジオ・インタビュー」
- ^ 文藝春秋 1999年4月号
- ^ “赤い羽根募金の助成で現在行われている活動(平成25年度) 特定非営利活動法人 バリアフリー・シネマ&ライフ・ネットワーク 『名作映画「素晴らしき哉、人生」バリアフリー化プロジェクト』”. 央共同募金会. 2015年1月14日閲覧。
学術的参考文献
- 杉野健太郎 「アメリカ映画における社会変動とスタイル変容 ― 『素晴らしき哉、人生!』から『クラッシュ』へ」、杉野健太郎編『映画のなかの社会/社会のなかの映画』(映画学叢書[監修加藤幹郎]、ミネルヴァ書房、2011年)所収。
外部リンク
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