株式会社紀文食品(きぶんしょくひん、英: KIBUN FOODS INC.[3])は、主に魚肉練り製品などを製造する食品メーカー。本社は東京都中央区銀座に所在する。
概要
蒲鉾や伊達巻、おでんの材料となる半片、竹輪、薩摩揚げ等が主力商品。「紀文」の焼印が入った商品群も多い。
元来魚肉練り製品は、各地域で水揚げされた魚をその場ですり身に加工して食されていた郷土料理だったが、紀文は冷凍すり身をいち早く使用することで品質の安定化と安定供給を図り、チルド配送によって全国展開。家庭の食材として練り製品を普及させた事が特筆される。
新商品の開発にも積極的で、1996年発売の「チーちく」 や2013年発売の「糖質0g麺」などがある。
日本の伝統文化を次世代に継承するための地道な活動も行う。2008年に開始した「子どもたちに伝えたいお正月絵本作品募集」、作ったおせちを写真投稿する「ずっと伝えたい、我が家のおせち。フォト自慢コンテスト」、子どもが主役の街キッザニア東京での「はんぺん職人」アクティビティなどの活動が挙げられる。
CI
3つのハートが1つに組み合わされた紀文のシンボルマークの「ハートフラワー」は、「生産者」「小売業者」「消費者」が一体となったものを表している。ハートフラワーが誕生する前は、「かたばみマーク」「味の名門 紀文」のシンボルマークやロゴタイプが使われた。ハートマークと同時に、
「おいしいもの、ハートで作ります」というキャッチコピーが使用された時期もある。
古くからあるCMのサウンドロゴは、現在もおせちのCMなどで継続して使用されている。
沿革
- 1938年(昭和13年) - 東京都中央区八丁堀に、保芦邦人が「山形屋米店」として創業。その後「紀伊国屋果物店」「紀文」に改称。
- 1947年(昭和22年) - 株式会社として設立。
- 1950年(昭和25年) - 銀座松坂屋など百貨店へ出店。
- 1963年(昭和38年) - 業界に先駆けてオートメーション化。
- 1972年(昭和47年) - タイに現地拠点設置。海外進出を開始。
- 1977年(昭和52年) - 紀文の豆乳を発売。
- 1985年(昭和60年) - CIを導入、シンボルマークを採用。「魚河岸あげ」誕生。
- 1992年(平成4年) - 紀文と旧・紀文食品が合併[4]。
- 1993年(平成5年) - タイに東南アジアの生産拠点完成。
- 1995年(平成7年) - 恵庭工場竣工。
- 1996年(平成8年) - チーちくを発売。同時に特許出願。
- 1997年(平成9年) - 東日本の供給拠点として東京工場完成。株式会社北食、紀文グループに参加。
- 1998年(平成10年) - 東京工場対米輸出水産食品取扱認定施設・対EU輸出水産取扱認定施設 認定取得。紀文タイランドHACCP認定取得。
- 1999年(平成11年)- 東京工場HACCP承認取得(総合衛生管理製造過程)およびISO9002認証取得。(2003年、ISO9001へ移行)
- 2000年(平成12年) - 本社、横浜工場ISO9001認証取得。
- 2001年(平成13年) - 紀文タイランドISO9002認証取得(2008年、ISO9001へ移行)。東京工場ISO14001認証取得。
- 2002年(平成14年) - マルハ(現:マルハニチロ)と水産練製品事業で業務提携を締結[5]。
- 2004年(平成16年) - キッコーマンと資本・業務提携を締結[6]。
- 2005年(平成17年) - 横浜工場HACCP認定取得。海洋食品ISO9001認証取得、HACCP認定取得。
- 2006年(平成18年) - 紀文フードケミファがキッコーマンの連結子会社に[7]。静岡工場HACCP認定取得。
- 2007年(平成19年) - 西日本の供給拠点として岡山総社工場完成。
- 2009年(平成21年) - 恵庭工場、岡山総社工場HACCP認定取得。
- 2010年(平成22年) - 岡山総社工場ISO9001認証取得。船橋工場HACCP認定取得。
- 2013年(平成25年) - 糖質0g麺を発売。
- 2014年(平成26年) - カネテツデリカフーズと業務提携を締結[8]。ISO9001からISO22000へ移行。恵庭工場、船橋工場、横浜工場、静岡工場、岡山総社工場ISO22000認証取得。
- 2015年(平成27年) - 堀川と業務提携を締結[9]。株式会社紀文西日本を設立。
- 2016年(平成28年) - 株式会社紀文西日本岡山総社工場対EU輸出水産取扱認定施設 認定取得。株式会社紀文安全食品センター設立。
- 2017年(平成29年) - 横浜工場対EU輸出水産取扱認定施設 認定取得。紀文安全食品センター、微生物検査に関する国際規格ISO/IEC17025:2005 認定取得。
- 2021年(令和3年) - 東京証券取引所市場第一部に株式を上場[10]。
事業所
- 支社
北海道支社、東北支社、関東信越支社、東京支社、広域第一支社、広域第二支社、直販支社、中部支社
- 工場
恵庭工場、東京工場、船橋工場、横浜工場、静岡工場、岡山総社工場(紀文西日本)
主なグループ会社
国内
- 株式会社紀文フレッシュシステム、株式会社紀文産業、株式会社紀文西日本、株式会社北食、株式会社豊珠興産、 株式会社紀文安全食品センター、海洋食品株式会社
海外
- Kibun (Thailand) Co., Ltd.(タイ)
- Kibun Foods (U.S.A.), Inc.(アメリカ)
- Kibun Hong Kong Co., Ltd.(香港)
- Kibun Foods Singapore Pte., Ltd.(シンガポール)
- Yilin Kibun Corporation(台湾)
関連のある企業
- キッコーマンソイフーズ(旧:紀文フードケミファ) - 豆乳を製造販売。
- 日本デルモンテ - 共同開発商品「Soytime(豆菜飲料)・豆菜食房(豆菜スープ)」
- ベノア(Benoist) - 銀座松坂屋で英国風ティールームなどを展開。
- テクノ・キャリア・システムズ - 食品製造、物流サービスの人材派遣。
- 憶霖紀文股份有限公司 - 台湾の憶霖企業と共同出資に設立。
テレビ番組
出典・脚注
- ^ コーポレート・ガバナンス - 株式会社紀文食品
- ^ a b c d e f g h i j k 株式会社紀文食品『第83期(2020年4月1日 - 2021年3月31日)有価証券報告書』(レポート)2021年6月29日。
- ^ 株式会社紀文食品 定款 第1章第1条
- ^ “4月1日、紀文と紀文食品が合併、㈱紀文食品としてスタート。組織編成は3事業本部制に”日本食糧新聞(日本食糧新聞社)(1992年4月8日)
- ^ “マルハと紀文食品、水産練製品事業で提携”日本食糧新聞(日本食糧新聞社)(2002年3月29日)
- ^ “紀文食品などへ資本参加/キッコーマン、75億円で”四国新聞(四国新聞社)(2004年2月26日)
- ^ “キッコーマン、紀文フードケミファを連結子会社化”日本食糧新聞(日本食糧新聞社)(2006年7月5日)
- ^ “紀文食品とカネテツデリカフーズが業務提携 ビジネスシナジー創出へ”日本食糧新聞(日本食糧新聞社)(2014年9月1日)
- ^ “紀文と堀川が業務提携”本宮康博 日本食糧新聞(日本食糧新聞社)(2015年5月8日)
- ^ “東京証券取引所への新規上場承認に関するお知らせ”株式会社紀文食品(2021年3月8日)
- ^ 練り物産業のトップランナー 知られざるフロンティア精神 - テレビ東京 2022年12月15日
- ^ 業界トップの老舗メーカー 知られざるフロンティア精神 - テレビ東京 2022年12月15日
関連項目
- おかずのクッキング - テレビ朝日の料理番組(2022年に終了)。放送開始当初は「紀文おかずのクッキング」という番組名であり、紀文の一社提供だった。
- 樋口久子 三菱電機レディス - 日本で開催される女子ゴルフトーナメント。大会開始から2002年までは紀文がメインスポンサーを務め、「紀文レディースクラシック」「樋口久子・紀文クラシック」「樋口久子クラシック」という大会名であった。
- ロードレース世界選手権日本グランプリ - 1990年と1991年に紀文が冠スポンサーを務めた。
- 呼出 - 大相撲の進行役。紀文食品が呼び出しの衣装(土俵着)の背中に広告(「紀文」の2文字)を提供しており、2024年初場所から日本相撲協会と呼出パートナー契約を結んでいる。なお2022年初場所から2023年11月場所まではオフィシャルトップパートナーを担当していた。
- 寛吉(かんきち) - 呼び出し。呼び上げの名人で、紀文のコマーシャルに出演した。
- 楠トシエ - 歌手。「紀文のはんぺん」のCMソングを唄っていた。
- 川原泉 - 漫画家。魚河岸あげの大ファンで、紀文食品のWebサイトに「マンガで伝わる 魚河岸あげの魅力」を発表。
- ゼクシィ - リクルートが発行している結婚情報誌。監修によるオリジナルお重を開発、教室も開催。
外部リンク