秋日子かく語りき
『秋日子かく語りき』(あきひこかくかたりき)は、大島弓子による日本の漫画作品。 『月刊Asuka』(角川書店)1987年1月号に掲載された。2度にわたりテレビドラマ化されている。 概要大島弓子としては初となる『月刊Asuka』掲載作品。このあと大島は同誌を中心として作品を発表してゆくことになり、『ロングロングケーキ』『つるばらつるばら』『夏の夜の獏』『毎日が夏休み』などの作品を同誌に発表している。 大島は作品解説で『ツァラトゥストラかく語りき』よりタイトルを借り、そこから『美しき青きドナウ』や『方丈記』のイメージが自然に湧いて出たと述べている[1]。 大島の作品では、他に死後の世界や霊魂の入れ替わりを題材とした作品として『四月怪談』がある。 あらすじ女子高校生・天城秋日子と初老の女性・久留竜子は暴走した自動車にはねられ、秋日子は軽傷で済んだが竜子は全身に激しい損傷を受けて即死する。しかし、何かの間違いで竜子とともに秋日子の霊まで天国に行ってしまい、天使から秋日子だけが現世に戻るよう言われる。ところが、まだ死ぬわけにはいかないのだと竜子が泣き叫ぶと、秋日子は一週間だけ自分の体を貸そうと申し出る。竜子は大喜びして現世に帰り、気絶して入院していた秋日子の肉体に入り込む。 秋日子の体を借りて生き返った竜子は自宅の家族の様子を見に行くが、母親を亡くしたはずの子供たちも夫も悲しむ様子を見せず、むしろ新しい生活を楽しんでいる。 一方、高校では秋日子が突然「おばさんっぽく」なったことに皆が驚く。特に秋日子の親友の薬子は秋日子の変貌ぶりを心配し、秋日子のあとをつけて行動を伺うようになる。 竜子は秋日子として強引に自宅に上がり込み、家族のために料理を作ろうとするが、息子が恋人を連れて帰宅すると家族の関心はそちらにばかり向かってしまう。しかも、竜子が生前大切にしていたベンジャミンの木の鉢植えが枯れかけていた。自分が生きていたときの幸せな生活の象徴としてのベンジャミンを枯らしたくない竜子は鉢植えを盗み出そうと計画し、秋日子に想いを寄せるクラスメイトの茂多三郎に手伝わせたが、その様子を警官に見つかってしまう。秋日子はこの家の子供からもらい受けたものだと言い逃れをして難を免れ、鉢を秋日子の家に持ち帰る。するとその夜、竜子の夫が秋日子の家を訪れ、あの鉢植えは妻が大切にしていたものだからやはり手元に置いておきたいと言う。夫が自分を想ってくれていたのだとわかった竜子は嬉し泣きしながらベンジャミンを返す。 これで思い残すことはないと感じた竜子だったが、あの世に戻る時間が近づいたときになって、最後にみんなでフォークダンスをしたいと考える。電話で頼むと多くのクラスメイトが夜中の校庭に集まってくれた。そして音楽を流そうとしたその瞬間、0時ちょうどに秋日子は気を失い、その1秒後に意識を回復すると、秋日子はもとの秋日子に戻っていた。 登場人物
書誌情報
本作を原作としたテレビドラマ
脚注
関連項目 |