神経幹細胞 (しんけいかんさいぼう、英 : Neural stem cell )は、ニューロン および(ミクログリア を除く)グリア細胞 へ分化 する細胞 を供給する能力を持つ幹細胞 。
歴史
1989年 、サリー・テンプル がマウス の脳室下帯 にある幹細胞の多分化能について論文を発表する[ 1] 。1992年 、ブレント・レイノルズとサミュエル・ウェイスが初めて成体マウスの脳組織の、脳室下帯を含む線条体組織 から神経幹細胞及び神経前駆細胞を分離させることに成功する[ 2] 。これ以来、神経幹細胞及び神経前駆細胞は人類を含む[ 3] 多くの生物において脊髄 等の非神経領域を含む成体の脳の他の部分からは分離された[ 4] 。
機能
娘細胞 の一方が神経前駆細胞となり、様々な分化制御を受けて神経細胞 やアストロサイト 、オリゴデンドロサイト を生み出す。分化制御には外部からのシグナル伝達 や細胞自律的な転写因子 の非対称分配、クロマチン 修飾によるエピジェネティクス が関わる。発生 における神経系の形成の他、終末分化した組織においても新たな神経細胞を供給する役割を持ち、神経の再生医療 への応用も研究されている。
哺乳類 の成体の脳 の神経細胞 は増えることはないと考えられていたが、海馬 と側脳室 と呼ばれる部位に神経幹細胞が存在しており、ニューロン の新生を行うことが報告されている。海馬 の神経幹細胞は、学習や豊かな環境下で、その増殖頻度が増加し、またストレス を受けたり、加齢(歳をとること)によって減弱することが報告されている。
関連項目
脚注
^ Sally Temple (August 1989). “Division and differentiation of isolated CNS blast cells in microculture”. Nature 340 : 471-473. doi :10.1038/340471a0 .
^ Reynolds BA, Weiss S (March 1992). “Generation of neurons and astrocytes from isolated cells of the adult mammalian central nervous system” . Science 255 (5052): 1707–10. doi :10.1126/science.1553558 . PMID 1553558 . http://www.sciencemag.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=1553558 .
^ Taupin P, Gage FH (September 2002). “Adult neurogenesis and neural stem cells of the central nervous system in mammals”. J Neurosci Res. 69 (6): 745–9. doi :10.1002/jnr.10378 . PMID 12205667 .
^ Tanja Zigova; Paul R. Sanberg; Juan Raymond Sanchez-Ramos (2002). Neural stem cells: methods and protocols . Humana Press. ISBN 9780896039643 . https://books.google.com/books?id=4-KHzWwgMKEC 18 April 2010 閲覧。
外部リンク