燃えよデブゴン
『燃えよデブゴン』(もえよデブゴン、原題:肥龍過江、英題:Enter the Fat Dragon)は、1978年の香港映画。サモ・ハン・キンポー主演・監督。 解説ブルース・リーとの共演経験、恩義、そして彼の理解者でもあるサモ・ハン・キンポーが、ブルース・リーとその作品(「ドラゴン」シリーズ)へのオマージュを込めて製作した映画で、他のパロディ作品とは一線を画する作品である。 ブルース・リーに憧れている香港の田舎出の太めの青年が町の悪党たちを倒すというカンフー映画。製作・脚本はフローレンス・F・C・ユー、監督・武術指導はサモ・ハン・キンポー、撮影はリュ・クワン・ウェイ、音楽はフランキー・チャンがそれぞれ担当。出演はサモ・ハン・キンポー、ピーター・K・ヤン、ロイ・チャオ、ブラッキー・フォン、リー・ハイシャウ、メグ・ラム、ユン・ピョウ、エリック・ツァン、マースなど。 日本では1981年10月に『燃えよデブゴン』の邦題で劇場公開され、1983年6月11日にフジテレビ「ゴールデン洋画劇場」にて、同邦題でテレビ放映された。本作は声優水島裕が、初めてサモ・ハンの声を担当した作品でもある。また「金曜ロードショー」では字幕版が放送された。 日本劇場公開においてはさほど話題にもヒットにもならなかったが、その後ジャッキー・チェンを筆頭にカンフー映画が次々とTV放送され人気を博していた1983年に本作もTV初放送され、好評を得て他のサモ・ハン作品も勝手にシリーズ化して放送が開始された。その真っ只中の1984年に『プロジェクトA』『五福星』『スパルタンX』などジャッキーやユン・ピョウとの共演作が日本で続けざまに公開。空前のジャッキーブームの流れにそって、「動けるデブ」の異名と共に「デブゴン=サモ・ハン」が人気俳優の1人として一気に日本のファンにその存在を知らしめた、まさにそのキッカケ、原点ともいえる作品である。 あらすじ香港の田舎で豚飼いをして暮らすブルース・リーに憧れる素朴な青年ウォン・ロン(サモ・ハン・キンポー)は、町で叔父が経営するレストランを手伝うようにと言われ田舎をたった。店には、食い逃げの常習犯であるチンピラたちがやってくるが、まじめに働く従業員の若者カオは到底彼らには歯がたたない。 そこへウォンが登場。彼はデップリと太ってはいるが、ブルース・リーばりのクンフーの達人であり、一瞬のうちにチンピラを一掃してしまう。しかし、これが彼らの火に油を注ぐ結果となる。 ウォンが出前に行っている間に、店へと仕返しにやって来た彼らは食堂をめちゃくちゃにしてしまう。ショックのあまり、叔父は休業宣言し、ウォンは職を失ってしまう。そのような矢先、彼は繁華街で叔父の店常連の美人客であったメイ・チェン(リー・ハイシャウ)と妹に会う。 彼女らの勤める高級レストランで働き口を見つけるウォン。仕事はここでも店の用心棒を務めることとなる。一方、叔父の店をやめて運転手になっていたカオは、贋作骨董家コウ・シュク(ロイ・チャオ)に腕を見込まれ、名画の模写を強要される。カオは拒否するが、それが原因で傷を負う。 その頃、中近東の億万長者であるドクター・バー(ピーター・K・ヤン)が骨董品の品定めのためにパーティーを催すことになり、ウォンたちはウェイターとして潜入する。しかしそのパーティ会場で偶然会った美女メイがかつて自分に酷い失恋を味わわせた幼なじみに瓜二つだったことから若き日の恨みを再燃させたドクター・バーは彼女に嫌がらせをはじめ、遂には部下に命じ彼女を誘拐してしまう。 それを追うウォン(自転車)とカオ(タクシー)。町はずれの荷物倉庫で、ウォンと三人のボディガードの決闘が開始される。豊かな肉体を駆使し、ウォンは見事に敵を倒し、「都会は自分に合わない」と田舎に帰っていくのであった。 キャスト
日本語吹替
スタッフ
特記一時期日本では本作のTVヒットにより、サモ・ハン・キンポー主演の映画が地上波放送されたりビデオ等にソフト化されたりするたびに「デブゴン」の邦題が付く事になった。下記は確認されている「デブゴン」の邦題がつく作品。なお各作品の続編性は皆無で、製作年度もバラバラ、中にはかつて「デブゴン」の付かない邦題で劇場公開された作品までも存在する。すべては初放送元のフジテレビが勝手に邦題を付けたことによるエセシリーズである。以降、それに従って各局放送やビデオリリースでも「デブゴン」が使用されていく様になる。更にTV放送に至っては、他にサモ・ハンが出演した作品であっても吹き替えで役名が「デブゴン」になっていることがしばしばあった。
番外
脚注注釈
出典
外部リンク |