消防司監(しょうぼうしかん)は、日本の消防吏員の階級の一つ。上から2番目。消防総監の下、消防正監の上。
概要
消防司監の階級は、消防組織法第16条第2項及び消防吏員の階級の基準(昭和37年消防庁告示第6号)に基づき、上位に消防総監、下位に消防正監、消防監、消防司令長、消防司令、消防司令補、消防士長及び消防士と定められている[1]。この階級は、1962年6月に新設されたものである[2][3][4]。
この階級を有する者は、全国にいる消防吏員約16万人のうち約0.02%であり[5]、2024年4月現在では、正確に32人である。その内訳は、東京消防庁の次長1人、理事1人(安全推進部長を兼務)[6][7][8]及び部が9部あるうちの安全推進部を除く8部の部長[9][10]が消防司監であるため、東京消防庁だけで計10人、政令指定都市が20市あるところ、その消防本部(消防局)の消防長(局長)が消防司監であるため計20人、地方自治法に基づく一部事務組合(広域消防組合)設立の消防本部で管轄人口が70万人を超えるものが2本部[11](奈良県広域消防組合(約88万人)[12][13]、埼玉西部消防局(約78万人)[14][15])あり、いずれも消防長が消防司監であるため計2人、合計32人となる。
なお、過去においては、政令指定都市の数が現在よりも少なかったうえ、東京消防庁においては次長も理事もおらず[16]、総務部長のみが消防司監の階級にあった時期[17]もあり、例えば1964年4月時点では政令指定都市が6市、東京消防庁の消防司監が1人のため、消防司監の人数は合計7人だった。
待遇
東京消防庁の次長・理事の給料は東京都指定職2号給(国指定職2号俸と同額の基本給月額763,000円)、年収は1500万円台である[18][19][20]。
東京消防庁の各部の部長(理事が兼務する1人を除く8人)の年収は約1300万円である[18][21]。
政令指定都市の消防局長の年収は、地域手当が16%の横浜市から、地域手当の支給がない熊本市まで、各市の給与条例に基づくため、一概に言えるものではないが、概ね1400万円前後~1000万円前後になると考えられる[18]。
階級の基準
【出典】[1][5][22]
脚注
- ^ a b 消防吏員の階級の基準(昭和37年消防庁告示第6号)
- ^ 東京消防庁・消防雑学時点(2024年11月10日閲覧)
- ^ 消防庁総務課 編『消防小六法』昭和39年版,全国加除法令出版,昭和38. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1341300/1/43 (参照 2024-11-10)
- ^ 消防庁総務課 編『消防小六法』昭和35年新版,全国加除法令出版,昭和35. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1341302/1/127 (参照 2024-11-10)
- ^ a b 日本の消防組織の概要等(2016年4月・総務省消防庁)
- ^ 次長・理事の階級は、東京消防庁の組織等に関する規則(昭和38年東京都規則第95号)第13条第2項で『次長及び理事は、消防司監の階級にある者をもつて充てる。』と規定されている。
- ^ 東京都総務局人事部人事課 人事異動(令和5年4月1日付)
- ^ 安全推進部を創設します 東京消防庁(令和4年3月29日)
- ^ 東京消防庁組織図(令和6年3月発行)
- ^ 部長の階級は東京消防庁 給与昇任制度及び東京都 令和5年度等級及び職制上の段階ごとの職員数 公安職給料表を参照した。東京消防庁の組織等に関する規則(昭和38年東京都規則第95号)第13条第3項の規定では『部長は、消防司監、消防正監又は消防監の階級にある者をもつて充てる。』とあるが、実際には部長はすべて消防司監があてられている。
- ^ 消防士になる~合格への道~(令和2年4月1日現在の各消防本部の管轄人口)
- ^ 奈良県広域消防組合消防本部の組織に関する規則(平成26年奈良県広域消防組合規則第2号)第7条(2024年11月10日閲覧)
- ^ 奈良県広域消防組合消防本部 消防長挨拶(令和4年4月1日)
- ^ 埼玉西部消防局の組織に関する規則(平成25年埼玉西部消防組合規則第1号)第4条(2024年11月10日閲覧)
- ^ 埼玉西部消防局 消防局長あいさつ(令和6年4月1日)
- ^ 東京消防庁に次長が設置されたのは1983年5月20日のことである。東京消防庁総務部庶務課 編『東京消防庁事務年鑑』昭和58年,東京消防庁,1984.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9585264/1/79 (参照 2024-11-10)
- ^ 『東京消防庁事務年鑑』昭和39年,東京消防庁総務部総務課,1965. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3030469/1/155 (参照 2024-11-10)
- ^ a b c 2024年4月現在
- ^ 元東京都議会議員の後藤雄一が東京都人事委員会から情報公開を受けた「指定職給料表の適用基準(平成13年7月1日)」によれば、次長・理事については原則指定職5号給(当時。現在の指定職2号給に相当する)と記載されている。 (2024年10月31日閲覧)
- ^ 年収の計算は東京都人事委員会が公開している給与メモ(令和6年4月1日現在)を参照
- ^ 部長の年収は東京都人事委員会が公開している「給与決定と算出のしくみ」ページの『年収モデル(行政職給料表(一)適用者)※令和6年4月1日現在』に記載の『50歳部長 13,058,000円』を参照した。東京消防庁の部長は公安職給料表の8級が適用されるため、知事部局の部長に適用される行政職給料表(一)の5級とは金額がやや異なるが、おおむね同額となっている。
- ^ 消防職員の部隊編成と階級について
- ^ この規定は、2013年4月の消防庁告示改正により新設されたもので、2024年4月現在、政令指定都市以外で最大の人口をもつ市は人口約64万人の船橋市であり、その消防長の階級は消防正監で、70万人以上の人口をもつ政令指定都市以外の市が存在しないことから、この規定による消防司監は単独市の消防本部においては存在しないが、一部事務組合立の消防本部において『奈良県広域消防組合消防本部(約88万人)』、『埼玉西部消防組合 埼玉西部消防局(約78万人)』の二つが該当している。
外部リンク