殺しが静かにやって来る
『殺しが静かにやって来る』(ころしがしずかにやってくる、原題:Il grande silenzio/The Great Silence)は、1968年制作のマカロニ・ウェスタン。 セルジオ・コルブッチ監督の後期の代表作。出演はジャン=ルイ・トランティニャン、クラウス・キンスキーらで、主演のトランティニャンは主人公の設定上、台詞がない。すさまじい暴力描写のため、数カ国で上映禁止処分を受けたいわくつきの作品。 あらすじ西部の町スノーヒルは、悪徳判事ポリカットに操られたロコ[1]率いるアウトロー集団が支配する“無法地帯”と化していた。 ロコ一味に夫を殺されたポーリーンは、ある男に復讐を依頼する。その男は幼い頃にアウトロー集団に両親を殺されたうえ、声帯を切られて声を失っていた事から、“サイレンス”と呼ばれていた。 サイレンスはポリカットの策略で報奨金を工面出来なくなったポーリーンを不憫に思い、無償でその依頼を引き受ける。そして、持ち前の拳銃さばきでアウトローを一人また一人と倒していくが…。 キャスト
備考本作は西部劇史上稀にみる衝撃的なラストで終わる(主演のトランティニャンの発案といわれている[2])が、DVDスペシャル・エディションには特典として、ハッピーエンド版のエンディングが収録されている(音声はなし)。この「幻のハッピーエンドバージョン」がなぜ製作されたかについては2説ある。 一つはハッピーエンドバージョンのほうが本来のストーリーだったが、トランティニャンなどが主張したため(上述)ラストをネガティブなものに変更した、という説。もう一つは反対に、あまりに衝撃的なラストにプロデューサー側が難色を示したため、コルブッチ側がわざとでたらめなハッピーエンドを作って見せてプロデューサーが「こんなハッピーエンドなら元のラストのほうがマシ」と許可せざるを得ないように仕向けた、という説である。どちらが本当なのかはわかっていない。 アメリカの配給会社ファントマ・フィルムズからリリースされたDVDの解説冊子で映画監督アレックス・コックスは、クリント・イーストウッドの『シノーラ』は当初この作品のリメイクとして企画されていた述べていた[3]が、その7年後のコロラド大学ボルダー校主催の映画上映プロジェクト「The International Film Series」で紹介された映像解説では、イーストウッド主演のリメイク企画のことは取り上げているが、それが『シノーラ』だったとは述べていない。また、この映像解説ではハッピーエンディングの映像は日本のコレクターが提供したとも述べている[4]。 脚注
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