植物防疫所(しょくぶつぼうえきじょ)は農林水産省の施設等機関であり、植物防疫法に基づき有用な植物を害する動植物(害虫や病原体)の移入・移出を防ぐための検疫を行うことを主な業務とする。また那覇植物防疫事務所は植物防疫所と同様の業務を行うものとして「当分の間」設置されている農林水産省の施設等機関である。
いずれも根拠法令は農林水産省設置法で、その組織や分掌は農林水産省組織規則(65条から100条)による。農林水産省における所轄課は消費・安全局植物防疫課。
概要
- 植物防疫法に基づき、植物防疫官による検疫業務を行っている。
- 主に病害虫の侵入を防ぐため、切花・種子・野菜・穀類・豆類・木材・香辛料原料・漢方薬原料など、原則として全ての輸入植物について検査が行われる。(但し、製材・製茶など高度に加工がなされたものについては、検査不要となる場合もある。)また、輸出相手国の求めに応じて、輸出植物について「輸出検疫」も行う。なお、昆虫類についても、植物防疫所が取り扱う。
- 日本に植物を輸出する国々へ植物防疫官を派遣し、消毒や輸出検疫が適正に行われているかを確認する「海外検疫」、南西諸島などにおける、一例としてサツマイモなどのアリモドキゾウムシをはじめとした重要病害虫の防除根絶などの「国内防疫」も、植物防疫所の重要な業務である。
沿革
- 1914年(大正3年)11月1日 - 輸出入植物取締法に定める検査を行う機関として農商務省植物検査所が設置される(大正3年勅令第90号)。所長は設置期間を通じて桑名伊之吉。横浜の本所に加えて、神戸・門司・長崎・四日市・敦賀の5港に支所が、大阪・下関に出張所が、函館・東京・清水・武豊・名古屋・宇品・博多・三池・唐津・厳原・鹿児島に派出所が置かれた。名古屋派出所は大正13年に支所へ昇格。
- 1924年(大正13年)12月20日 - 大蔵省税関へ併合され植物検査課となる。関東大震災の影響による経費節減のため。初代課長桑名伊之吉・2代狩谷精之(1927.3.31~)・3代岩佐龍夫(1943.4.8~)。
- 1943年(昭和18年)11月1日 - 戦争により貿易量が減少したため税関ごと運輸省海運局へ移管。課長は引き続き岩佐龍夫。
- 1945年(昭和20年)6月1日 - 動物検査課と合併し動植物検査課となる。課長は初代が鈴木夬(獣医官)、2代が再び岩佐龍夫(1946.2.1~)。
- 1947年(昭和22年)4月25日 - 農林省の管轄下で動植物検疫所として独立設置される(昭和22年勅令第150号)。初代所長岩佐龍夫。
- 1952年(昭和27年)4月1日 - 植物防疫所として独立。横浜・神戸・門司の3本所に加えて、6支所11出張所が置かれた。
- 1961年(昭和36年)11月16日 - 名古屋植物防疫所の設置(4本所5支所21出張所)。
- 1972年(昭和47年)5月15日 - 沖縄復帰にともない那覇植物防疫事務所(本所に相応)が開設(5本所8支所76出張所)。
- 1978年(昭和53年)7月5日 - 農林省が農林水産省に改称される。
植物防疫所一覧
以下の植物防疫所が設置され、全国の主要港湾・空港に出張所・分室がある。なお東京都小笠原村では、国土交通省の特別の機関である小笠原総合事務所が植物防疫業務を行っている。
関連項目
外部リンク