栃折 久美子(とちおり くみこ、1928年12月7日 - 2021年6月25日)は、日本の装幀家、製本工芸家、エッセイスト。
来歴
東京生まれ。東京女子大学卒業。
筑摩書房に勤務ののち、1967年に退社。フリーの製本家となる[1]。森有正を知り、以後森の死去まで恋愛関係にあった。
1972年、ベルギー国立高等視覚芸術学校でルリユール((仏語))と呼ばれる製本技術を学び、帰国後は後進の指導にも当たった。1975年国井喜太郎賞受賞、1981年、国際製本家協会よりマイスターの認定を受け正会員となる。1985年、国際女流芸術文化協会連盟の現代芸術展審査員賞受賞。
エッセイストとしては、2003年に『森有正先生のこと』を刊行した。
2021年6月25日、老衰のため死去[2]。92歳没。
著書
主な装幀書
- 『蜜のあはれ』[3](室生犀星、新潮社) 1959
- 『濃灰色の魚』(森茉莉、筑摩書房) 1959
- 『晩年の父 犀星』(室生朝子、講談社) 1962
- 『15年目のエンマ帖』(臼井吉見、中央公論社) 1962
- 『わが性の白書』(中村光夫、講談社) 1963
- 『往還の記 - 日本の古典に思う』(竹西寛子、筑摩書房) 1964
- 「講談社 名著シリーズ」(小林秀雄ほか、講談社) 1966
- 『思想との対話』(桑原武夫ほか、講談社) 1967
- 『バビロンの流れのほとりにて』(森有正、筑摩書房) 1968
- 『フィレンツェだより』(リルケ、森有正訳、筑摩書房) 1970
- 「海外秀作シリーズ」(講談社) 1970
- 『於雪 土佐一條家の崩壊』(大原富枝、中央公論社) 1970
- 『不良少年』(結城昌治、文藝春秋) 1971
- 『元始、女性は太陽であった - 平塚らいてう自伝』(大月書店) 1971
- 「海外山岳名著シリーズ」(二見書房) 1971 - 1978
- 『小説の題 古山高麗雄随想集』(冬樹社) 1972
- 『表現の場』(粟津則雄、冬樹社) 1972
- 『樹に千びきの毛蟲』(吉行淳之介、潮出版社) 1973
- 『書架記』(吉田健一、中央公論社) 1973
- 「谷崎潤一郎文庫シリーズ」(六興出版) 1973
- 『パリだより』(森有正、筑摩書房) 1974
- 『青幻記 / 海の聖童女』(一色次郎、角川文庫) 1974
- 「釣魚名著シリーズ」(二見書房) 1974
- 「千趣ミニブックス」(千趣会) 1974
- 『モロッコ革の本』(栃折久美子、筑摩書房) 1975
- 「岡本かの子全集」(冬樹社) 1975
- 『雲間の星座』(小川国夫、冬樹社) 1976
- 『富本憲吉模様集成』(六興出版) 1977
- 『ヨーロッパ一等旅行』(辻静雄、鎌倉書房) 1977
- 『吉田健一著作集』(集英社) 1978
- 『深川東入ル - 澤野久雄自選短篇集』(エポナ出版) 1978
- 『壺中庵異聞』(富岡多恵子、集英社文庫) 1978
- 『玩物草紙 特装版』(澁澤龍彦、朝日新聞社) 1979
- 『片方の耳飾り』(杉本苑子、読売新聞社) 1979
- 『歌の王朝』(竹西寛子、読売新聞社) 1979
- 『生命ある限り』(曽野綾子、角川文庫) 1980
- 『愛の歳時記』(嶋岡晨、文化出版局) 1981
- 『歳月切符』(田辺聖子、筑摩書房) 1982
- 『なぞなぞの本』(福音館書店) 1982
- 『六道遊行』(石川淳、集英社) 1983
- 『本の正坐』(寿岳文章、芸艸社) 1986
- 『最後から二番目の毒想』(倉橋由美子、講談社) 1986
- 『雪 古九谷』(高田宏、光文社) 1987
- 『蛇の歌』(石川淳、集英社) 1988
脚注
外部リンク