東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(とうきょうでんりょくふくしまげんしりょくはつでんしょにおけるじこちょうさ・けんしょういいんかい、内閣事故調 / 政府事故調)は、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における事故の原因及び当該事故による被害の原因を究明するための調査・検証を、国民の目線に立って開かれた中立的な立場から多角的に行い、もって当該事故による被害の拡大防止及び同種事故の再発防止等に関する政策提言を行うことを目的」として、内閣官房に設置される委員会。2011年5月24日の閣議により開催が決定された[1][2]。2011年12月26日に中間報告[3]、2012年7月23日に最終報告を提出[4]。最終報告提出を最後に活動を終了し、2012年9月28日の閣議決定により廃止された[5]。 概要委員長の畑村洋太郎は当委員会を「畑村の考え方で進める」[6]としている。これは調査・検証を恣意的に進めるということではなく、従来のやり方にとらわれず国民が知りたいと思っていることを積極的に取り込み、新しい視点から調査・検証を進める、という趣旨である[3]。 構成員委員長委員
技術顧問事務局長事務局専門家(政策・技術調査参事)社会システム等検証チーム事故原因等調査チーム
被害拡大防止対策等検証チーム
報告2011年12月26日に中間報告[3]、2012年7月23日に最終報告を提出[4]。 2012年9月28日の閣議決定により委員会および事務局が廃止され、委員会の関係資料は内閣官房原子力規制組織等改革推進室へ引き継がれた[7]。 聴取記録公開問題当時の内閣官房長官枝野幸男は2011年6月7日の会見で、畑村が証言者のヒアリングを原則非公開と話したことをめぐって「透明性のモットーからは、公開するのが大原則だと思う」と語っており、政府は証言者のヒアリング(聴取)をふくめ原則公開するとしていた[8]。これに対し、7月8日付委員会申合せ「ヒアリングの方法等について(案)」では、「ヒアリングは,事実調査活動として事務局員が行うことが多いいと思われる」「委員又は技術顧問が参加を希望するときは委員等と共に行う」「ヒアリングは,原則として,非公開かつ少人数で行う」「当委員会の設置は,事故責任を追及することを目的とするものではない。したがって,当委員会は,ヒアリングで得た資料(供述内容のこと)を,事故責任を追及する目的では使用しない」などとなっている[9]。一方、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法に基づいて国会に設置される「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(国会事故調)は基本的に公開されている。 政府事故調は、最終報告までに772人の関係者に計約1479時間の聴き取りを実施した[10][11]。 2014年5月、朝日新聞は、福島第一原子力発電所所長として事故対応にあたった吉田昌郎への聴取記録(いわゆる「吉田調書」)の内容をスクープした[12]。これにより、吉田が非常用復水器(IC)のことをよく理解せず対応をしていたことが分かった[13]。また、第1報の記事では、所長命令に違反し9割の所員が福島第二原子力発電所に避難したという内容を、政府事故調の報告書で公表されていない事実として報道した[12]。同年6月6日、菅直人、枝野幸男、細野豪志ら菅直人内閣の閣僚10人が、自身への聴取記録の公開を容認する考えを示したことが明らかにされた[14]。同年8月18日、産経新聞も「吉田調書」の内容を取り上げた。政府は「(吉田昌郎)本人から非開示を求める上申書が出ていた」として公開しない方針だったが、8月22日方針を転換、公開の検討に入った[15]。2014年9月、朝日新聞は、「命令違反で撤退」の表現は誤りとし、その記事を取り消した[12]。 脚注
関連項目
外部リンク
|