朝鮮中央テレビ
朝鮮中央テレビ(ちょうせんちゅうおうテレビ、朝: 조선중앙텔레비죤, 英: Korean Central Television; KCTV, KRT[1])は、朝鮮民主主義人民共和国の国営テレビ放送(放送局)。 なお、運営機関の朝鮮中央放送委員会は、朝鮮中央放送(ラジオ放送)も実施している。 概要ニュース、天気予報、教養番組、ドラマ、特集番組などで編成される総合放送局である。また、ケーブルテレビでも放送しており、外国向けに衛星配信されている。1996年に主体思想塔をモチーフしたロゴを導入したが、2012年8月からはロゴのリニューアルを行った。 2012年に地上デジタルの試験放送が開始され、2015年1月10日より従来のアナログの周波数帯での送信を停止し、ハイビジョン放送が可能な帯域での放送に切り替えたため、ハイビジョン放送信号での放送が開始された[2]。 2017年12月4日から過去映像や再放送を除く多くの番組が16:9の高精細度テレビジョン放送となり、実質的に地上デジタル放送に移行、ID映像もリニューアルされた[3]。 カラー方式は、アナログ放送時代はPAL方式を使用していたが、デジタル放送への移行に伴いDVB-T2方式に移行した(衛星放送ではDVB-S2方式)。北朝鮮では有線放送が整えられており、国内向け放送のうちテレビについてはケーブルテレビとなっている(VHF 12ch)。このため、北朝鮮以外では視聴することができない。ただし、朝鮮中央テレビについては、ロシアの人工衛星Express103号を用いたサイマル放送も行っている(2024年6月から[4]。過去にはタイの人工衛星Thaicom 5、2020年1月[5]からは中国の人工衛星中星12号(Chinasat 12)[注 1]をそれぞれ用いていた)。静止軌道上の東経87.5度に位置し、周波数/偏波はそれぞれ4,180MHz/垂直偏波、シンボルレートは4,167kS/s、FECは3/5である。直径1.8メートルのパラボラアンテナを向けて、LNBとFTAチューナーの調整をすれば、隣国の韓国や日本などアジア各国でも視聴可能である。NHKなどのキー局も、この衛星放送の映像を受信し、ニュース番組などに利用している。2015年4月からは、南北アメリカ・ヨーロッパ向けにインテルサットの通信衛星(Intelsat21)を用いたサイマル放送(SD方式)も実施している。 近年ではインターネットによるストリーミング配信も顕著になっており、2011年6月16日ごろより韓国統一放送の公式サイトにて、2017年にはドワンゴが運営するニコニコ生放送[注 2]にて、それぞれ同一時刻によるリアルタイム配信を実施していた(現在はいずれも終了[8])。現在は朝鮮総連傘下の総連映画制作所が運営する「エルファテレビ」がTwitchによるライブ配信を実施している。 インターネットによる番組のアーカイブも盛んに行われている。先述の「エルファテレビ」をはじめとする在日朝鮮人関連団体以外にも個人で放送を直接受信してYouTube等の動画投稿サイトにアップロードする者もいる。 当初は、ニュースを読み上げる際の背景はほとんど水色一色であったが、近年は平壌の街並みであることが多い[注 3]。2012年9月8日からはスタジオの雰囲気を一新、「プロンプター」(原稿映写機)と背景に六つの画面をつなげた大型マルチモニターを導入した[9]。 2019年3月21日に、突如として現代的なグラフィックをふんだんに使った映像やドローンによる空撮など最新の技術を取り入れ、スタジオも刷新した放送が行われた。翌22日からは再び以前のような放送が行われており、現代風の放送は1日限りで終わった[10]とみられたが、後に再開した。 歴史
放送内容放送時間は基本的に平壌時間(PYT) 9:00 - 22:30頃[注 4]。祝日や特別な行事がある日[注 5]は、8:00から放送されることがある。 一方で12月31日には年またぎの特番を放送するため、放送終了が25:00過ぎとなるのが恒例。また、台風が接近しているなど、北朝鮮国内で大規模な災害発生が想定される場合や大きな祝日の時は終夜体制の報道特別編成が取られたこともある[20][21][22]。 北朝鮮当局からの公式発表の多くは、朝鮮中央テレビのほか、朝鮮中央放送や朝鮮中央通信、労働新聞などから発表される。国家から独立したメディアが存在しない北朝鮮で、駐平壌の外国メディアも取材制限があるため、これらは貴重な情報源となっている。 放送開始前35分間は、現在時刻の入ったテストパターン(モノスコタイプ)を表示しながらBGMを流し、放送開始1分前からは「金日成将軍の歌」(朝鮮の声放送のインターバルシグナルと同じもの)を流す。放送開始時には国歌「愛国歌」を流し、「皆さん、こんにちは。本日は○月○日、陰暦では○月○日です。ただいまより中央テレビジョン放送を開始させていただきます。」というアナウンサーの挨拶の後、「金日成将軍の歌」と「金正日将軍の歌[注 6]」を流す。その後、その日の番組放送予定を放送する。 放送終了時には明日の番組放送予定を放送した後、「以上で本日の中央テレビジョン放送は終了いたしました。皆さん、さようなら。こちらは平壌です。」というアナウンサーの挨拶の後、第二国歌「輝く祖国」を流し、カラーバーに移行する。 北朝鮮におけるテレビドラマはテレビジョン劇創作社が、映画などは、朝鮮芸術映画撮影所、朝鮮4.25芸術映画撮影所などが製作している。殆どが現政治体制および主体思想を称える構成になっており、中には日本統治時代の朝鮮やアメリカ軍を描写した反日・反米的な内容を構成に組み入れているものもある。『漢拏の木霊』(한나의 메아리「ハルラのこだま」)などがあった。 番組の内容主に、『反日反米反韓プロパガンダ、宣伝』や、『児童向け放送』、『敬愛する最高領導者金正恩同志の革命活動報道(現地指導)』、『報道』、『その日付の中央新聞の内容朗読』、『朝鮮記録映画』、『朝鮮芸術映画』、『科学教育映画』、『各地の学校、工場に関する番組』土日には、『体操』日曜日には、『各道特派員が送ってきたニュース』などがある。 番組表のアーカイブは韓国統一部のサイトで確認することが出来る[23]。 主な番組報道関連
朝鮮芸術映画
朝鮮記録映画
科学教育映画
健康
児童放送時間児童映画漫画映画その他
音楽・文化・国際音楽
劇・舞台
文化
国際
訪問記
現地放送
随筆
詩・紀行
録画実況特集
連続参観紀
各種編集物
朝鮮中央放送委員会が運営するその他のテレビ局
朝鮮中央放送委員会が運営するその他のラジオ局国内向けその他の国向けその他が運営するラジオ放送員(アナウンサー)男性
女性
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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