文学賞殺人事件 大いなる助走『文学賞殺人事件 大いなる助走』(ぶんがくしょうさつじんじけん おおいなるじょそう)は、1989年1月28日に公開された日本映画である。筒井康隆の小説『大いなる助走』を原作とする。製作はアジャックス、配給は東映クラシックフィルム[1]。 あらすじ地方都市・焼畑市の大徳商事に勤める市谷京二は大学教授夫人の時岡玉枝の原稿を拾った事を端緒に玉枝が所属する小説の同人誌「焼畑文芸」に参加し、玉枝と恋仲になる。大徳商事の気に食わない上役など、企業の内幕を露骨に批判する「大企業の群像」という処女作を書く京二。 「大企業の群像」は名のある文学誌に転載され、文学賞「直本賞」の候補になった。しかし、所属する企業の内部を暴露したことで解雇され、親からも勘当される京二。居場所を失い上京した京二は何としても賞を獲得しようと、「直本賞」の受賞仕掛け人である多聞に退職金や貯金の全財産500万円を渡した。 「直本賞」の選考委員である6人の小説家たちの中で、籠絡できそうな5人を選ぶ多聞。男色家の雑上にオカマを掘られ、玉枝を説得して女好きな坂氏と関係をもたせ、海牛綿、明日滝、膳上には金を渡したが、文学界の実情を知り京二の性格は歪んでゆく。 「直本賞」の選考会が始まった。当初は「大企業の群像」を押す5人の作家たち。だが、金を受け取った膳上が、印刷中の最新作に京二の文章の一部を無意識に使った事に気がついた。自分の盗作を目立たせない為に、他の候補作を推しだす膳上。選考の流れが変わり、京二は落選した。 京二落選の知らせを受けて嫉妬心が満たされ、バンザイと叫ぶ「焼畑文芸」の同人たち。そんな中、女子高生の同人である徳永美保子が自殺した。同人で女たらしの大垣の甘言に乗って処女を捧げ妊娠した美保子は、相談も出来ないうちに大垣に捨てられたのだ。強制わいせつ罪で逮捕される大垣。 全財産を失い、玉枝も帰郷して、東京の安アパートに取り残される京二。選考委員たちが発表した無責任な選評に激怒した京二は、選考委員たちを殺す内容の「大いなる助走」という第二作を執筆し、文学誌に送った。編集部は小説にもなっていないと否定したが、実際に選考委員の全員をクレー射撃用の散弾銃で殺して回る京二。パトカーに追われた京二の車は警察のバリケードに突っ込み、京二は即死した。「大いなる助走」を売ればベストセラーだと必死に生原稿を探す編集部。しかし、原稿はシュレッダーにかけられ廃棄処分されていた。 キャスト
スタッフ挿入曲ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』が劇中に何度か流れる。ラストはベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章で締めくくられる。 備考
脚注
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