尼崎の森中央緑地
兵庫県立尼崎の森中央緑地(ひょうごけんりつ あまがさきのもり ちゅうおうりょくち)は、兵庫県尼崎市臨海部にある県立の都市公園。尼崎21世紀の森構想の中心拠点として、開園後も数十年の長期に渡り拡張整備が進められる計画である。 沿革当地には、かつて神戸製鋼所、関西熱化学、同和精鉱の工場群があったが、産業構造の変化や阪神・淡路大震災の被害等に伴い閉鎖を余儀なくされ、この地域の都市再生が緊急かつ重要な課題となった。 そこで、これら工場跡地と周辺地域を兵庫県が進めてきた「尼崎21世紀の森構想」の先行地区に位置付け、県の都市公園事業および港湾環境整備事業として進められることになる[1]。 2006年(平成18年)5月、計画予定地(29.1ha)の北側6.6haに運動施設「尼崎スポーツの森」と一部の緑地「はじまりの森」が開園した。残る南側22.5haは、生物多様性を最大限に尊重した緑地公園として整備を進めている。 年表
計画中央緑地では「失われた自然環境を人々の『参画と協働』により回復・育成する(地域が育てる森)」ことで「成長した森が地域の人々に多くの自然の恵みを享受する(地域を育てる森)」ようになること、また大阪湾臨海地域の都市の再生を先導する森となることを目指し、整備事業が開始された。 緑地の整備にあたり、県では下記の「目標とする森の姿」が計画された。
前述の3つの森において、自然体験・環境学習・健康増進等「交流・憩いの場」を形成するため、各々の特徴や利用の違いに応じた施設や植生が配置されており、それらは「はじまりの森」開園後も継続して進められている[12][13]。 施設エリアと植生ゾーン
※上記計画は2006年当時の内容を元に記述しており、その後大幅に変更された箇所(海辺エリア等)がある。 施設所在地尼崎市の南部(臨海部)に位置する。この地域は昭和の高度成長期に地盤沈下が進み、満潮時には海抜以下(ゼロメートル地帯)となるため防潮堤に囲まれているが、同緑地は整備にあたって堤防の高さまで盛土がなされている。
尼崎スポーツの森→詳細は「尼崎スポーツの森」を参照
緑地の北端にある、西日本最大級の複合スポーツ施設。2006年(平成18年)5月に竣工した。水泳をはじめ、アイススケート、フットサル、グラウンドゴルフ、フィットネス等の施設が充実している[15]。同年10月には、「のじぎく兵庫国体」の競泳およびアーティスティックスイミングの競技会場となった。 また、当施設に隣接して、先行植栽された緑地「はじまりの森」がある。 パークセンター緑地の北東部、大芝生広場への入口にある管理施設。2014年(平成26年)5月に開設された。建物は兵庫県産材を活用した木造平屋建てで、屋上には太陽光発電や緑化スペースを設け、省エネルギーに配慮している。小学生をはじめとする環境学習、植樹・育樹やまちづくり活動の拠点となっている。 パークセンターに隣接して、苗木の手入れやミーティング等に使用される「作業棟」や、山・野・海の各ゾーンを模した庭園「ゐなの花野」等がある[7]。 大芝生広場緑地の中央部、阪神高速湾岸線を挟んで尼崎スポーツの森の南側にある広場。パークセンター開設後より芝生の植え付け・拡張を進め、2015年(平成27年)10月に広さ2.4haに及ぶ「大芝生広場」の名称で正式開園した[16][17]。 萱葺き民家2017年度に移築予定の木造平屋建・茅葺屋根の家屋。元は江戸時代後期、尼崎藩三条村(現・兵庫県芦屋市三条町)に建てられた庄屋・小阪家の住宅であった。 1994年(平成6年)に芦屋市の指定文化財となり、市内に移築される予定であったが、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災で全壊。その後も財政難のため先延ばしになっていた移築・復元を兵庫県が打診、市の教育委員会が快諾したことにより、中央緑地への移築が決定した。 移築後は県の文化財に指定され、日本の歴史や文化を学ぶための拠点施設として利用される予定である[10][11]。 植生前述の「目標とする森の姿」に沿った3つの森および海辺において、「生物多様性」をキーワードに様々な種の植栽が行なわれている[13]。 はじまりの森ゾーン中央緑地に導入する主な植生を先行的・試験的に植栽し、イベントや森づくりのための様々な調査を行なっている。 落葉広葉樹林・草原ゾーン照葉樹林ゾーン海浜ゾーン
※上記計画は2006年当時の内容を元に記述しており、その後大幅に変更された箇所(海辺エリア等)がある。 育苗と植栽本事業では、兵庫県と県民・企業等が中心となって「昔、この地域にあった自然を取り戻す」を合言葉に、森づくりを進めている。生物多様性を尊重し、地域固有の遺伝子にこだわり、種を拾うところから始める試みは、この規模では世界でもここでしか行われていない[要出典]、先進的な取り組みである。 また緑地内では、兵庫県が市民向け勉強会として発足した「アマフォレストの会」が、市民活動組織として育苗・植栽・管理などを自主的に行っている[4]。 目標とする多様性一般的な概念を元に、緑地内では以下の生物多様性を目標としている[12][13]。
スケジュール種子の採取から森の形成まで、100年に渡る森づくりが計画されている[13][18]。
交通脚注出典
関連項目外部リンク
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