同値条件の1つによると、標数 p のとき、すべての pr 乗根 () を添加した体は完全である。これは k の完全閉包(perfect closure)と呼ばれ、通常 と表記される。
完全閉包は分離性をテストするために使うことができる。正確には、可換 k-多元環 A が分離的であるのは が被約であるとき、かつそのときに限る[3]。
普遍性の言葉で言えば、標数 p の環 A の 完全閉包 は標数 p の完全環 Ap であって以下の性質をもつ環準同型u : A → Ap をもつものである。標数 p の任意の他の完全環 B と準同型 v : A → B に対し、一意的な準同型 f : Ap → B が存在して、v は u を通して分解する(すなわち v = fu)。完全閉包はつねに存在する。その証明は体のときと同様に「A の元の p 乗根を添加する」ことを含む[4]。
標数 p の環 A の perfection(完全化)は(この用語は完全閉包に対して使われることもあるが)双対概念である。言い換えると、A の perfection R(A) は標数 p の完全環であって以下の写像 θ : R(A) → A をもつものである。標数 p の任意の完全環 B と写像 φ : B → A に対し、一意的な写像 f : B → R(A) が存在し、φ は θ を通して分解する(すなわち )。A の perfection は次のように構成することができる。射影系
を考えよ、ただし各写像はフロベニウス自己準同型である。この系の逆極限は R(A) であり、すべての i に対し となるような A の元の列 (x0, x1, ... ) からなる。写像 θ : R(A) → A は (xi) を x0に送る[5]。