奇瑞汽車
奇瑞汽車(チェリー・オートモービル、きずいきしゃ、Qirui Qiche、英語表記:Chery Automobile)は、中華人民共和国の自動車メーカーである。正式名称は奇瑞汽车股份有限公司。蕪湖市政府が所有する地方国有企業である。 第一汽車、東風汽車、上海汽車、長安汽車と共に、中国自動車メーカー「ビッグ5」の内の1社である。 概要安徽省および同省蕪湖市政府の出資によって1997年に設立された。会長兼社長は尹同耀(ユン・トンヤオ)。 中国国内の自主ブランドメーカーとして、最も早く製品の海外輸出を始めている。2023年の世界販売台数は188万台で過去最高を更新したが、うち約半数の93万台を海外市場で販売した[1][2]。2022年時点で80の国と地域で1,500余りのディーラーとサービス拠点を有しており、10拠点の海外工場がある[3]。 乗用車の主要ブランド「Chery」に加え、「Exeed」「Luxeed」「Jetour」といったプレミアムブランドを展開する。 奇瑞の英語表記である Chery は英単語の「Cherry」に由来する。中国語で「奇」には「とりわけ」、「瑞」には「万事めでたく順調」の意味があり、「とりわけ万事めでたく順調」という意味になる。 歴史1997年3月18日設立。1999年からセアト・トレドのライセンス生産で自動車生産を開始した。 奇瑞汽車は設立当初、自動車生産のライセンスを持たず、中国国内で自動車を販売することができなかった。そのため2001年に自社株の20 %を上海汽車(SAIC)に譲渡する。替わりにSAICから生産のライセンスを取得する予定だったが、SAICは2003年に奇瑞との関係を解消する。 この背景にはSAICと合弁事業を展開するゼネラルモーターズとの間でのデザイン盗用問題があると考えられている。具体的には奇瑞が発売した「QQ」と「東方之子」のデザインが、それぞれGM大宇製のシボレー・スパークとシボレー・エピカに酷似している点、及び、奇瑞の英語名のCheryがシボレーの愛称のChevyと一字しか違わない点が問題とされた。この問題で、2003年にGMは奇瑞を2度告発している。 その後、奇瑞の株主構成が変更され、2004年9月23日に生産ライセンスを取得した。同時に社名を上汽奇瑞汽車から奇瑞汽車有限公司に変更した。 2006年3月28日、生産50万台目に当たる車両が完成し、2007年には中国でのシェアを第5位にまで上げ、前年シェア3位の現代-起亜自動車グループを上回った[1]。 2007年からマルコム・ブリックリンが設立したビジョナリー・ビークルズ社によって、奇瑞車の北米販売が計画されていたが、ディーラーが集まらなかった為、撤回された。なお、ブリックリンは1967年から1971年にかけてのスバル360の輸入、1970年代のスポーツカー、「Bricklin SV-1」の製造、1980年代のユーゴスラビア産の小型車「ユーゴ」の販売でも知られている。 2007年7月、アメリカのクライスラーと米国向け小型車の供給で提携を結んだが、のちに破棄された。 2007年8月7日、イタリアのフィアットと合弁事業に関する覚書に調印したが、2009年3月現在凍結している。両社の合意によると、安徽の奇瑞工場で、2009年からアルファロメオとフィアットなどを年間17万5000台生産する予定である。 2007年12月、イスラエルの持株会社であるイスラエル・コーポレーションとの自動車生産合弁事業を結び「Chery Quantum Automotive Corporation(CQAC)」を設立。2011年11月には「Qoros Auto Co., Ltd.」と改名した。 2010年代には、ブラジルに進出するためサンパウロ州にブラジル・チェリー社を設立。2014年、年間5万台の生産能力を有する自動車工場を建設して生産を開始したものの、ブラジル国内の景気減速局面に遭い生産台数が1万台に届かない状況となった。2017年にはブラジル・チェリー社の株式50%をブラジル国内で自動車生産を手掛けていたカオア社に売却している[4]。 主な車種の一覧Tiggo(瑞虎)
arrizo(艾瑞泽)
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合弁事業奇瑞はジャガーランドローバー、イスラエル・コーポレーションと自動車生産の合弁事業を展開している他、アメリカの自動車部品会社Arvin Meritor、ジョンソンコントロールズ、PPGインダストリーズとも合弁事業を展開している。
脚注
関連事項
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