『夢を見るかもしれない』(ゆめをみるかもしれない)、または『おそらくは夢を』(おそらくはゆめを、原題:Perchance to Dream)は、アメリカの作家ロバート・B・パーカーが執筆したハードボイルド小説。1991年に刊行された。私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編シリーズの第9作となり、『大いなる眠り』の続編にあたる。パーカーが手がけたうちでは2作目で最後の作品であり、レイモンド・チャンドラーの未完の遺稿を基にした前作『プードル・スプリングス物語』(1989年刊行)とは異なりパーカーのみの手による。
題名はシェイクスピアの戯曲『ハムレット』の、有名な "To be, or not to be" で始まる独白の一節からとられている。日本語版の訳題のいずれもそれを踏まえている。
あらすじ
私立探偵のフィリップ・マーロウは『大いなる眠り』で関わったスターンウッド家の執事ノリスから失踪人捜索の依頼を受けて、その邸を再び訪れる。当主であった将軍はすでに亡く、長女のヴィヴィアンは精神を病んだ妹のカーメンをサナトリウムに入院させた。ところが、ある日突然カーメンは失踪し、追い込まれたヴィヴィアンは、自分に恋をするやくざなクラブ経営者エディ・マースに妹を探し出すように依頼する。しかし、行方を追い始めたマーロウの前に、巨大な権力が立ちはだかる。
登場人物
- フィリップ・マーロウ:主人公。私立探偵。
- ヴィヴィアン・リーガン:スターンウッド家の長女。
- カーメン・スターンウッド:ヴィヴィアンの妹。
- ヴィンセント・ノリス:執事。
- エディ・マース:〈サイプレス・クラブ〉の経営者。
- クロード・ボンセンティール:サナトリウム レストヘイヴン・クリニックの所長。
- ノーマン・スウェイズ:同患者。
- ランドルフ・シンプスン:石油王。
- ジーン・ラドニック:シンプスンの秘書。
- チャールズ・ガーデニア:ランチョ・スプリングズ開発の共同経営者。
- セシル・コールマン:ランチョ・スプリングズ警察署長。
- ヴァーン:同巡査部長。
- ローラ・モンフォート:女優。
- ポーリン・スノウ:地方紙の社主。
- アル・グレゴリー:ロサンゼルス市警察失踪人課の警部。過去にマーロウと一緒に事件捜査にあたったことがあり、旧知の仲。
- タガード・ワイルド:地方検事。バーニィ・オウルズとかつてのマーロウの上司。
- バーニィ・オウルズ:地方検事局の主任捜査官。物語の途中より殺人事件の捜査に関わってくる。地方検事局にマーロウが勤めていた頃の上司で、彼の腕前を認めている。ヴィヴィアン・リーガンの捜索を続けるマーロウの身を案じる。『大いなる眠り』『高い窓』『さらば愛しき女よ』『プードル・スプリングス物語』に登場する。
日本語訳
出版年
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タイトル
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出版社
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文庫名等
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訳者
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巻末
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ページ数
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ISBNコード
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カバーデザイン
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備考
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1992年8月1日
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夢を見るかもしれない
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早川書房
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ハヤカワ・ノヴェルズ(単行本)
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石田善彦
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訳者あとがき
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252
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978-4152077561
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装幀 藤田新策
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2007年1月1日
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おそらくは夢を[日本語訳 1]
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早川書房
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ハヤカワ・ミステリ文庫HM 110-40
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石田善彦
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関口苑生
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316
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978-4150756901
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唐仁原教久
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注釈(日本語訳)
- ^ 文庫化に際して改題。
脚注