塩化ベンザル(Benzal chloride)は、C6H5CHCl2の化学式を持つ有機化合物である[1]。この無色の液体は催涙剤であり、有機合成の構造ブロックとしても用いられる。
製造と利用
塩化ベンザルは、始めに塩化ベンジル、次にベンゾトリクロリドでトルエンをフリーラジカル塩素化することによって製造される。
- C6H5CH3 + Cl2 → C6H5CH2Cl + HCl
- C6H5CH2Cl + Cl2 → C6H5CHCl2 + HCl
- C6H5CHCl2 + Cl2 → C6H5CCl3 + HCl
ハロゲン化ベンジルは、通常強いアルキル化剤であり、そのため塩化ベンザルは有害物質として扱われる。
塩化ベンザルをナトリウムで処理すると、スチルベンが得られる。
塩化ベンザルの工業的な用途は、ほぼベンズアルデヒドの前駆体である。この変換には、塩基性下の加水分解が含まれる[2]。
- C6H5CHCl2 + H2O → C6H5CHO + 2 HCl
出典
- ^ “BENZAL CHLORIDE”. International Programme on Chemical Safety. 2007年10月30日閲覧。
- ^ Karl-August Lipper and Eckhard Loser “Benzyl Chloride and Other Side-Chain Chlorinated Aromatic Hydrocarbons" in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2011, Wiley-VCH, Weinheim. doi:10.1002/14356007.o04_o01