園田 佐登志(そのだ さとし、1954年 - )は、日本のギタリスト、DJ、映像作家、フィールド・レコーディング。別名:昼間○助、葉月成美…[1]。
明治大学現代の音楽ゼミナール(通称「現音ゼミ」)主宰、1970年代後半の東京のアンダーグラウンド・シーンの重要人物、サブ・カルチャーの立役者でもある。
ソニー・シャーロックやデレク・ベイリー、ポール・コゾフ、ジミ・ヘンドリックスに深く影響を受けた先鋭的ギタリスト。
園田佐登志による、膨大な資料のアーカイブス 「椅子物語 / chairsstory」
来歴
現在の熊本県熊本市東区に生まれる。父親は国立熊本病院に勤める医師で、3人兄弟の兄2人が国立大学に進学する環境のなか少年時代を過ごす。
熊本市立帯山中学校時代、渡辺仁という転校生が園田の前に現れる。中学で同級、高校、大学では別だったが、音楽を通じて交流を持つ。地元の商科大学の付属高校に通いフォークソング系のクラブに入り、はっぴいえんどの曲をコピーするなどしていた。
また、その仲間とは高校2年のとき、修学旅行のための貯金を切り崩して「中津川フォークジャンボリー」や、ピンク・フロイドが出演したフェスティバル「箱根アフロディーテ[2]」を観に行く。
一浪して明治大学文学部に進み作詞作曲研究会に所属する[3]。園田は「作詞作曲研究会は明治大学の和泉校舎でした。3年になると駿河台校舎に移るんです。」と述べている[4]。
1976年5月、『現代の音楽ゼミナール』を発足させる。
園田は、
渡辺仁は京都の大学に行ったんだけれども、私が明治大学で『現代の音楽ゼミナール』というのをやっていたときに、突然、「
連続射殺魔って面白いバンドがあるから、できれば、メンバーに会ってください。」という手紙が来たんですよ。渡辺仁は連続射殺魔のファースト・カセットのアート・ディレクションもやっています。そのときのメンバーは
和田哲郎、
浜野純、山本哲。で、彼らもゼミに来るようになった。それが浜野純たちとの出会いになるわけです。これが1976年。
と述べている[4]。
1978年には「Free Music Space」を以下のように開催した。
- 1978年1月22日 -「Free Music Space 1」
- 1978年2月21日 -「Free Music Space 2」(Free Music Party )
- 1978年3月19日 -「Free Music Space 3」
- 1978年4月14日 -「Free Music Space 4」
- 1978年5月13日 -「Free Music Space 5」
1978年9月14日には吉祥寺マイナーにて、アナルキス (山崎春美、大里俊晴、園田佐登志、浜野純、佐藤隆史) を臨時編成し、ギターやリードボーカルをとる。
園田は
アナルキスの最後のテイク「結んで開いて」の直前に「はやくしろはやく」という(佐藤隆史夫人)敏子さんのクスクス声が入ってるんですね。彼女のはにかむように苦笑するさまが目に浮かぶようで、若くして亡くなったと聞いてますので、この部分はちょっと切ないです。「結んで開いて」の冒頭では私が田舎から持って来た尺八を自分で吹いています。三年どころか、ほとんど首さえ振ったことがありませんが、トレモロがイカスでしょ(笑)。
と述べている[5]。
1975年 - 1990年頃までは、イベントやコンサートの他、レクチャー、DJ、ノイズ・ミュージック試論執筆、CD制作、海外のラジオ局への音源提供、日雇い労働者への支援活動などを断続的におこなう。
1990年 - 1994年頃までは、写真やビデオによる視覚・映像作品、インスタレーションなどを集中的に制作する(公募展では3回入選)。
1994年以降、都内のパートなど不安定雇用労働者で作る労働組合(組合員数2500)に関わり、役職を多数 務めるかたわら、思い出したように表現活動をおこなう。
また、2008年以降には「篠田昌已 act 1987」の全国上映、「Maher Shalal Hash Baz / 腰くだけの犬]」(DVD)監修、ネットでのフライヤー・アーカイヴ「椅子物語」の作成「ちらかしっぱなし-ガセネタ in the BOX」への音源提供「工藤冬里 10CD」などの企画などもおこなっている。
ガセネタのベーシスト大里俊晴は「かくも緩んだ脳味噌」「あのどこまでも脳のボタンをかけ違えた」[6]人物と園田を描写した。
ディスコグラフィ
アルバム
- 『Early Works of Satoshi Sonoda 1977→1978 Memories of Yasushi Ozawa』
- PSFレコード PSFD-186 (2009年)
- 園田佐登志の初期ライブ音源集。不失者のベーシストだった故小沢靖と一緒に演奏したややプログレ風の「夕暮れ暗夜そして夜明け」「Poly-Perfrmance(ポリパフォーマンス)」「すべてはもえるなつくさのむこうで」では艶やかなギターだけではなく歌も披露し、三上寛のカヴァー「しょんべんだらけの湖」や「untitled」「むすんでひらいて」は山崎春美らとプレイ。
- (曲目リスト)
- 01:夕暮れ暗夜そして夜 02:Poly-Performance (ポリパフォーマンス) 03:すべてはもえるなつくさのむこうで 04:しょんべんだらけの湖 05:untitled 06:むすんでひらいて 07:Collective Sound Events
- 『耳抜き Mimi-Nuki - Secondary Works of Satoshi Sonoda 1982〜1989』
- PSFレコード PSFD-203 (2012年)
- 不失者のベーシスト・小沢靖追悼盤『Early Works of Satoshi Sonoda 1977→1978 Memories of Yasushi Ozawa』続編。
- 参加ミュージシャン:阿世知省吾, 秋田昌美、池田篤、石田孝、伊地知一子、上中恭、大熊ワタル、大友良英、貴田薫、木村真哉(ルナパーク・アンサンブル)、工藤冬里、黒田京子、香村かをり、クロマルトン、芝井直実、島田康雄、冷水ひとみ、杉本真弓、園田佐登志、西村卓也(Che-SHIZU)、藤井博通、松井亜由美、村田陽一、本山正明(不失者の初期のメンバー)、吉村安見子、天沼ロリー(ルナパーク・アンサンブル)
- (曲目リスト)
- 1. Noise Rose、2. Yumbo/ユンボ、3. The Painted Bird、4. Sound Event、5. 朝と昼と、6. シダ/Shida、7. Summer Landscape、8. 耳抜き/mimi-nuki、9. Funeral
脚注
出典
参考文献
- 「70年代音楽シーンの地下水脈 (1) - (3)」『G-Modern』vol28. - 29、P.S.F、2007年 - 2010年
- 剛田武『地下音楽への招待』ロフトブックス、2016年
- 大里俊晴『ガセネタの荒野』洋泉社、1992年※2011年に月曜社より復刊。
外部リンク