千光寺(せんこうじ)は、富山県砺波市芹谷[1]にある真言宗の寺院。山号は芹谷山。
開基は大宝3年(703年)といわれ、彌勒山安居寺(南砺市安居)とともに砺波地方でもっとも古い寺とされる。浄土真宗の多い富山県にあって真言宗の寺院は珍しく、その中でも特に古い伝承と多くの寺宝を保持しており、越中真言の古刹として著名である。また、閻魔像を安置する寺としてもよく知られる。
由緒
- 大宝3年(703年)天竺(インド)の僧法道円徳上人の開基。桓武朝以後7代に亘り皇室勅願所であった。上杉謙信侵攻の際焼失。その後元和4年(1618年)の火事で再度被災した。豊臣秀吉の越中平定のとき、復興を命じ禁制朱印状(現存)を下した。以後加賀藩の祈祷所となり寺領安堵され現在に至る。
法道仙人
伽藍
- 山門
- 砺波市指定文化財。寛政9年(1797)建築。富山県内最古の二階二重門、江戸時代後期の代表的建築として貴重。
- 仁王像 山門に2体の仁王像(阿形、吽形)が安置されている。2012年11月から滋賀県大津市の園城寺(三井寺)の佛教尊像修復院で解体修理を行ったところ、この像はスギとヒノキが混用されており、非常に細かい部材で造られていることが判明した。胎内に棟札や墨書銘がなかったので像の年代は明らかではないが、部材の放射性炭素年代測定では1.17世紀後半、2.18世紀前半、3.18世紀後半〜19世紀の3時期の年代値が出た[3]。
- 鐘楼堂
- 観音堂
- 砺波市指定文化財。宝暦10年(1760)建築。向拝の迫力のある龍の欄間や「竹に虎」の彫刻、室内の欄間の唐獅子彫刻が見どころである。
- 閻魔堂
- 客殿
- 書院
- 砺波市指定文化財。明治29年(1896)建築。新座敷ともいう。外観は質素で、内部は銘木を多用している。華美に走らず洗練され、質の高い造りをしている。
- 土蔵
- 砺波市指定文化財。2棟の土蔵をつないだ二戸前形式。西蔵は天明5年(1760)建築で富山県内で2番目に古い蔵。東蔵は文久2年(1862)建築。富山県土蔵100選。
- 御幸門
- 砺波市指定文化財。高さ5.3m、幅5.5m。武家屋敷や大寺院の正門に多い「一間薬医門」様式で北陸で最古段階のものである。
- 明治5年(1872)、高岡市の国宝瑞龍寺にあった裏門を移築した。1969年に砺波市で全国植樹祭が開かれた際、昭和天皇が通られたことから御幸門という名前が付いた。
- 千光寺と千光寺御幸門・土蔵改修委員会に依頼された職藝学院により修復され、平成27年12月18日に完成式が行われた。解体した部材の腐食や虫食い部分に木材を埋め込むなどし、屋根にガルバリウム鋼板を使い、江戸時代初期の建設当初のこけら葺風に復元された[4][5]。
- 地蔵堂
- 砺波市ふるさと文化財。切妻造の平入りで玉石積の基壇上に建つ。製作年代の違う地蔵が6体祀られている。建物は間口一間半の奥行四尺と六地蔵を祀るため横長になり、正面を開放、両側面は格子窓、背面は板壁とする。屋根は桟瓦葺で恵比寿と大黒の鬼瓦がのるが、当初はこけら葺だった。
- 稲荷堂
- 天皇皇后陛下御休息所
- 経堂
- 庫裡
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千光寺の山門
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千光寺の参道
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観音堂
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閻魔堂
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土蔵
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御幸門(平成27年改修前)
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地蔵堂
文化財
- 銅造観世音菩薩立像(白鳳時代、富山県指定有形文化財(1965年1月1日指定))
- 絹本著色大威徳明王図(室町時代、富山県指定有形文化財(1981年1月22日指定))
- 絹本著色両界曼荼羅図(金剛界曼荼羅図 胎蔵界曼荼羅図)(鎌倉時代、富山県指定有形文化財(1981年1月22日指定))
- 上杉謙信奉納刃(備前長船久光作)
- 仁王像(江戸時代)
- 豊臣秀吉禁制朱印状(安土桃山時代) 等
アクセス
- 拝観
- 交通
駐車場有
周辺
千光寺駐車場西側に蓮華谷や下大門(しもだいもん)と呼ばれる場所がある。
催事
千光寺芹の市
6月と9月に千光寺の境内で朝市が開かれる。地場産野菜やパンの販売のほか、境内の文化財をめぐるガイドツアーや手打ち蕎麦「千光寺そば」の提供も行われる。
企画展
- 高岡市立博物館 特別展「千光寺の文化財」-越中古寺の至宝- 1993年
- 砺波郷土資料館・となみ散居村ミュージアム・砺波市美術館共同企画展「越中真言の古刹 芹谷山千光寺展」(砺波市美術館「越中真言の古刹 芹谷山千光寺の至宝」2014年11月8日〜12月14日、砺波郷土資料館「第38回郷土先人展 芹谷山千光寺と法道仙人展」2014年10月10日〜11月30日、となみ散居村ミュージアム「写真展 芹谷山千光寺の四季」2014年11月8日〜12月7日)
参考文献
- 砺波市史編纂委員会 編『砺波市史』砺波市、1965年、209-222頁。
- 砺波市教育委員会 編『(新版)砺波市の文化財』砺波市教育委員会、2014年2月28日。
脚注
- ^ 礪波郡芹谷村(および芹谷本村、芹谷野新村)、東礪波郡栴檀野村芹谷、東礪波郡砺波町芹谷
- ^ 千光寺展ワーキンググループ 編『越中真言の古刹 芹谷山 千光寺展』2014年、54頁。
- ^ 砺波市美術館「報告会 千光寺仁王像の修復について」(2014年12月6日)による。
- ^ 平成27年12月19日付北日本新聞23面記事「こけら葺き風屋根復元」より
- ^ 『西部ふしぎ散歩 13 国宝瑞龍寺 伽藍再建 砺波・千光寺御幸門 かつて瑞龍寺の裏門』北日本新聞 2020年7月25日19面
外部リンク