全国遺跡報告総覧
全国遺跡報告総覧(ぜんこくいせきほうこくそうらん)は、独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所(奈文研)が運営する、日本国内の遺跡(埋蔵文化財包蔵地)の発掘調査報告書をPDF形式で電子化し、インターネット上で検索・閲覧できるようにした機関リポジトリシステムである。 概要文化庁によると、遺跡は日本全国におよそ460000箇所存在し、毎年9000件程の発掘調査が行われている[1]。遺跡の多くは発掘調査後に土木工事などにより消滅するため、その報告書は現地に保存できなかった遺跡を紙面に変えて記録保存したものとして、遺跡に代わる公的性格をもったものとして位置づけられ[2]、考古学の研究や歴史教育における貴重な資料として役立てることができる。 しかし、報告書の発行部数は1遺跡につき300部程度であり[3]、調査された遺跡のある地域周辺の図書館や、国立国会図書館など限られた施設にしか所蔵されていないことが多く、出版界にもあまり出回らないため図書館界では入手・閲覧が困難な「灰色文献」とされている[4]。全国遺跡報告総覧は、このような利用しづらい発掘調査報告書を著作権等の問題をクリアしたものに限りインターネット上で公開することで、学術研究者だけでなく一般人にいたるまで誰でも閲覧可能とすることを目指している。PDFの全文データはないが、巻末の抄録(抜書き)情報を登録したものもある。開設以来その閲覧数は増加し続けており、2013年度(平成24年度)には約300000ダウンロードを記録した。文化庁は埋蔵文化財の保存と活用に効果的であるとして、地方自治体や研究機関に積極的な参加と報告書データの提供を呼び掛けている[5]。 2021年(令和3年)11月1日現在で、書誌登録数:103661件、PDFデータがある書誌登録数:29737件、抄録登録数:138434件を記録している[6]。 使用方法遺跡名や、遺構・遺物・時代名・調査組織名(〇〇県埋蔵文化財センターなど)といったキーワードを入力し検索すると、全国の発掘調査報告書の中から関連性の深いものが抽出される。ダウンロード機能が付いたものであれば、報告書全文をダウンロードし保存することも可能である。 沿革
ウィキペディアでの活用2021年(令和3年)4月26日、奈文研は、全国遺跡報告総覧に登録された刊行物(報告書・図録など)・動画・論文などの各種コンテンツを、ウィキペディアの出典情報として正確に、かつ書式に従い効率よく引用出来るようにするため、引用時にコンテンツ表記を自動表示するアイコンを開設した。これによりウィキペディアの、主に遺跡や考古学に関する事項を編集するユーザーは、執筆においては発掘調査報告書を参照し、出典として引用したい場合には書誌情報を迅速にコピー・アンド・ペースト出来るようになった[8]。 脚注参考文献
関連項目外部リンク
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