久曾神昇

久曾神昇

久曾神 昇(きゅうそじん ひたく、1909年5月31日 - 2012年9月23日)は、日本国文学者学位は、文学博士東北大学・1962年)(学位論文「古今和歌集成立論」)。愛知大学第9代学長。勲二等瑞宝章

来歴・人物

愛知県渥美郡牟呂吉田村高州(現・愛知県豊橋市高洲町)生まれ[1]第一高等学校を経て、1934年東京帝国大学文学部国文学科卒業[2]1938年、同大学院退学。福岡女子専門学校教授。応召先のシンガポールで捕虜となる。

1946年に復員し、愛知大学予科教授、1949年、愛知大学教授、1970年、文学部長、愛知大学理事、1972年、学長および理事長を歴任。1984年退任、名誉教授勲二等瑞宝章1985年中華人民共和国南開大学名誉教授。

1962年、「古今和歌集成立論」により東北大学から文学博士の学位を授与され[3]、また中日文化賞受賞。古代和歌を研究し著書多数。百歳を超えてなお現役の学者であった(自伝『古今和歌集への道』より)。

2012年、自宅のある豊橋市内の病院で死去。享年103[4]

著書

  • 宗尊親王筆歌合巻の研究 尚古会 1937
  • 校本八雲御抄とその研究 厚生閣 1939
  • 顕昭寂蓮 三省堂 1942
  • 万葉秀歌鑑賞 高須書房 1949 (教養新書)
  • 古今和歌集成立論 全4巻 風間書房 1960-1961
  • 三十六人集 1960 塙選書
  • 西本願寺本三十六人集精成 風間書房 1966
  • 国文学の教養 風媒社 1968
  • 平安時代仮名書状の研究 風間書房 1968
  • 後西天皇宸翰色紙帖の研究 未刊国文資料刊行会 1976.5
  • 後奈良天皇宸翰短冊覚書 未刊国文資料刊行会 1976.5
  • 仮名古筆の内容的研究 ひたく書房 1980.2
  • 昭和美術館蔵伝津守国夏筆建礼門院右京大夫集と研究 ひたく書房 1982.1
  • 俊景本宇津保物語と研究 全3巻 ひたく書房 1983-1985
  • 三河地方と古典文学 名著出版 1989.1 (愛知大学綜合郷土研究所研究叢書)
  • 古今集古筆資料集 風間書房 1990.12
  • 古筆切影印解説 久曽神コレクション 1-4 風間書房 1995-2010
  • 中古中世仮名書状集 風間書房 2000.12
  • 古今和歌集への道 国文学研究七十七年 思文閣出版 2004.12
  • 萬葉集論攷 万葉書房 2009.9

共著・編纂・校訂など

  • 古今和歌集綜覧 七条書房 1937
  • 崇徳天皇御本古今和歌集 文明社 1940
  • 八代列聖御集 文明社 1940
  • 古今・新古今・新葉集 文明社 1940
  • 芸術論集 湯川弘文社 1943
  • 国寳西本願寺三十六人集 飯島春敬共編 越後屋書房 1944
  • 歌合巻 伝宗尊親王筆本 古典文庫 1950
  • 平安稀覯撰集 古典文庫 1952
  • 苔の衣 古典文庫 1954
  • 定家自筆本物語二百番歌合と研究 竹本元共編 未刊国文資料刊行会 1955
  • 勝命本大和物語と研究 山本寿恵子共編 未刊国文資料刊行会 1957
  • 新撰万葉集と研究 未刊国文資料刊行会 1958
  • 建久二年俊成本古今和歌集と研究 竹本元共編 未刊国文資料刊行会 1959
  • 新勅撰和歌集 樋口芳麻呂と校訂 1961 (岩波文庫)
  • 日本歌学大系 別巻 第3-10風間書房 1964-1997
  • 後撰和歌集(雲州本)と研究 深谷礼子共編 未刊国文資料刊行会 1968
  • 熱田本懐紙和歌集と研究 則包文枝共編 未刊国文資料刊行会 1969
  • 物語和歌総覧 樋口芳麻呂共編 風間書房 1974-76
  • 竹取物語 古典研究会 1974
  • 古今和歌集 全訳注 全4冊 1979-83 (講談社学術文庫)
  • 西行全集 伊藤嘉夫共編 ひたく書房 1981.2
  • 日本歌学大系 第10巻 (総索引) 樋口芳麻呂共編 風間書房 1986.4
  • 中山切古今和歌集 汲古書院 1990.5
  • 穂久邇文庫蔵後拾遺和歌集と研究 奥野富美子共編 未刊国文資料刊行会 1990.6
  • 平安仮名書状集 汲古書院 1992.11
  • 不空三蔵表制集 汲古書院 1993.5
  • 和漢朗詠集切集成 汲古書院 1998.6
  • 私撰集残簡集成 汲古書院 1999.11
  • 源氏物語断簡集成 汲古書院 2000.12
  • 物語古筆断簡集成 汲古書院 2002.1
  • 陽明文庫袋草紙と研究 日比野浩信共編 未刊国文資料刊行会 2003.4
  • 和歌懐紙集成 汲古書院 2005.8

脚注

  1. ^ 『愛知県人物・人材情報リスト2021 第2巻』2020年10月、日外アソシエーツ、713頁。
  2. ^ 『官報』第2210号、昭和9年5月17日、p.434
  3. ^ 書誌事項(CiNii Dissertations)”. 国立情報学研究所. 2017年9月26日閲覧。
  4. ^ 愛大中興の祖、久曽神昇元学長逝く東海日日新聞2012/09/24