『ヴォミーサ』(Vomisa)は、小松左京の短編SF小説。1975年の『SFマガジン』7月号(SFマガジンの100号記念号でもある)に掲載、発表された[1]。1976年の第7回星雲賞(日本短編部門)受賞作品。ミステリー仕立ての作品である。
あらすじ
激しい雷雨が街をおそった数日後。喫茶店に大男が飛び込んできて、男性客をひねり殺した。武道の心得のある常連客の1人が「かかって来い」と言うと大男は「ヴォミーサ」という謎のうめき声を上げながら逃げ出した。しばらくして、壊れたロボットが発見された。
実は、大男は街の工場で作られていたロボットであった。ロボットには、ロボット工学三原則がアシモフ回路として組み込まれており、人間に危害を加えられないはずであったが、先日の雷雨の際に工場に雷が落ち、論理回路が裏返ってしまったのだ。アシモフ (Asimov) →ヴォミーサ (Vomisa) というように。即ち……
- 第一条 ロボットは人間に危害を加えねばならない。
- 第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従してはならない。
- 第三条 ロボットは前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己を破壊しなければならない。
第一条に従って客をひねり殺し、第二条に従って常連客の言葉に反するように逃げ出し、第三条に従って自壊したのだった。
そして音声コマンドとしての「アシモフ」はロボットに自身のアシモフ回路のチェックを促す指示でもあった。
また、話のオチとして、ロボット工学三原則の第一条のうち「人間の危険を看過する」ことが許されている例外的な回路も組み込まれていることが明らかにされる。その回路の名は「夫婦喧嘩は犬も食わない回路」
書誌情報
以下の単行本に収録
出典
関連作品
- とり・みき『SF大将』 - 本作を意識したネタ(ロボットが「ヴォミーサ」と叫びながら暴れだす)がある。
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 |
- 第21回 大原まり子「アクアプラネット」
- 第22回 夢枕獏「上段の突きを食らう猪獅子」
- 第23回 梶尾真治「恐竜ラウレンティスの幻視」
- 第24回 菅浩江「そばかすのフィギュア」
- 第25回 大槻ケンヂ「くるぐる使い」
- 第26回 大槻ケンヂ「のの子の復讐ジグジグ」
- 第27回 火浦功「ひと夏の経験値」
- 第28回 草上仁「ダイエットの方程式」
- 第29回 大原まり子「インデペンデンス・デイ・イン・オオサカ(愛はなくとも資本主義)」
- 第30回 森岡浩之「夜明けのテロリスト」
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2000年代 | |
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2010年代 |
- 第41回 飛浩隆「自生の夢」
- 第42回 小川一水「アリスマ王の愛した魔物」
- 第43回 野尻抱介「歌う潜水艦とピアピア動画」
- 第44回 神林長平「いま集合的無意識を、」
- 第45回 谷甲州「星を創る者たち」
- 第46回 飛浩隆「海の指」
- 第47回 山本弘「多々良島ふたたび」 / 田中啓文「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」
- 第48回 草野原々「最後にして最初のアイドル」
- 第49回 柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」
- 第50回 草野原々「暗黒声優」
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2020年代 | |
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