ヴェルヴェッティトライ (タミル語 : வல்வெட்டித்துறை , シンハラ語 : වල්වෙට්ටිතුරෙයි , 英語 : Valvettithurai )別名ヴェリヴチットフライ は、スリランカ 北部州 ジャフナ県 の町。ジャフナ半島 の北部海岸沿いに位置する。略してVVT やヴァルヴァイ と呼ばれることもある。半都市自治体であるUrban Councilが設置されている。
また、反政府組織タミル・イーラム解放のトラ の指導者ヴェルピライ・プラバカラン の出身地としても知られている[ 1] 。
名前の由来
ヴェルヴェッティトライ(Valvettithurai)という名前はタミル語 で「森林の広がりの先の港」または「ひらけた土地にある港」という意味である[ 2] 。細かくすると、「大きな森」または「小高く広い土地」という意味のヴァライ(Vallai)、「ひらけた土地」という意味のヴェディ(Vedi)、「港」という意味のトゥライ(Thurai)が合わさっている。
歴史
民間伝承によると、この町はジャフナ王国 の国王から土地を与えられたマラヴァール (英語版 ) の族長ヴァリアテヴァンによって作られたと言われている。その後この町の人々はタミル・ナードゥ の人々と血縁関係を結び、軍事同盟を結んだ[ 3] 。両者は海上交易によって長期間に及ぶ関係を持ち、ヴェルヴェッティトライはジャフナ半島 北部の主要な貿易港となった[ 4] [ 5] 。
また、ヴェルヴェッティトライの沿岸部族は戦争にも参加した。彼らはミガプール・アラチッチ (英語版 ) の下でポルトガル占領下 (英語版 ) のジャフナ王国国王チャンキリ2世 (英語版 ) と戦った[ 3] [ 6] 。
この町の人口の多くはヒンドゥー教 シヴァ派 を信仰しており、カダロディーカル(タミル語で船乗り )が主要な寺院を所有していた。彼らは地元の有力部族であり、ジャフナ地方とインドのコロマンデル海岸 の海上交易に従事し、海岸沿いにミャンマー にも訪れた[ 7] 。日本占領時期 のミャンマー(当時のビルマ)は、カダロディーカルの海上交易を妨害した。そしてスリランカ の独立に伴って彼らの立場はさらに低下し、その後はインドとの間で密貿易を行った[ 8] 。また、この町では地元でアナポーラニ・アンマルと呼ばれる帆船(ブリガンティン )を造っていた[ 9] 。この船はジャフナとヨーロッパの伝統を混合した船であり、1937年 にはアメリカ合衆国 マサチューセッツ州 グロスター まで航海した[ 10] 。この船は1930年 に地元の造船 技術によって、インドとのコメ貿易のための貨物船 として造られ、ウィリアム・C・ロビンソンというアメリカ人に購入された[ 11] 。ロビンソンはこの船に妻の名前(フローレンス・C・ロビンソン)という名をつけ、タミル人船長らと共に米国へと向かった[ 12] 。
1958年 のタミル人虐殺 (英語版 ) の際、ヴェルヴェッティトライの学生数名がタミル・イーラム解放組織(TELO)を創設した[ 13] 。そのうちの一人が後にタミル・イーラム解放のトラ の創設者となるヴェルピライ・プラバカラン であった[ 14] [ 15] 。
地理
ヴェルヴェッティトライの北にはインド洋 が広がっている。この地は北部州 の一部であり、ポーク海峡 の存在とインド のタミル・ナードゥ州 との近接性により、戦略的に重要な場所である[ 1] 。2004年 のスマトラ島沖地震 による津波で北部海岸は甚大な被害を受け、数千人の犠牲者を出した。
トンダマンナール・ラグーンが、細く長い水路を通じて町の西側で海とつながっている。このラグーンの水は汽水 であり、大規模な干潟 、海藻 群、マングローブ を有する。また、フラミンゴ やアヒル 、カモメ 、アジサシ などの海鳥も数多く生息する。
また、ハイウェイ上には海水の進入を防ぐための橋(トンダマンナール橋 (英語版 ) )が設置されている。町の西端に橋が設置されており、橋を渡った先にはカンカサントゥライ (英語版 ) などがある。ただ、多くの土地はスリランカ軍 の立入禁止区域となっている。また、町の東側には国内最北端の町ポイント・ペドロ がある[ 16] 。
人口動態
人口の多くはスリランカ・タミル であり、ヒンドゥー教 かキリスト教 カトリック を信仰している。主な産業は農業、漁業と貿易である。トンダマンナール・ラグーンの入り口にはインドの軍神スカンダ を祀った著名なヒンドゥー寺院がある。内戦 中は甚大な被害を受け、スリランカ軍の攻撃の結果多くの民間人が行方不明となった。また、過去には2度に渡って地元住民が占領軍に虐殺される事件が発生している。1985年 にはスリランカ軍が図書館に避難した地元住民を一斉検挙し[ 17] 、89年 にはインド軍が人々を検挙した[ 18] 。
2007年時点での人口はおよそ18,000人で人口密度は3,711人/km²。
主な人物
脚注
^ a b “About Valvettithurai ”. Valvettithurai.org. 3 August 2014 閲覧。
^ “Valveddiththu'rai, Know the Etymology: 35 Place Name of the Day: Wednesday, 18 July 2007 ”. TamilNet. 3 August 2014 閲覧。
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外部リンク