ヴェリエフェンディ競馬場
ヴェリエフェンディ競馬場(ヴェリエフェンディけいばじょう、トルコ語: Veliefendi Hipodromu ヴェリエフェンディ・ヒポドロム)は、トルコ・イスタンブールにある競馬場。トルコ競馬の最高峰であるトルコ国内G1のガジ賞(ガジダービー)やかつてマイル競走で欧州最高クラスの賞金総額を誇ったトプカプトロフィーなどの大競走が開催されるトルコ最大の競馬場である[1]。 歴史ヴェリエフェンディ競馬場は、イスタンブールのヨーロッパ大陸側のうち、旧市街を区切るテオドシウスの城壁の外側のバクルキョイに位置する[2]。 18世紀にマクリキョイ(現在のバクルキョイ)とゼイティンブルヌの中間にあるこの地にオスマン帝国のシェイヒュルイスラム(イスラム法の権威)だったヴェリユッディン・エフェンディ(Veliyüddin Efendi)という人物が緑地と噴水を造営し、イスタンブール市民の憩いの場として知られるようになってヴェリエフェンディ(Veliefendi)の地名が起こった[3]。1911年、エンヴェル・パシャがイスタンブールにおける競馬の開催地としてヴェリエフェンディの緑地を選定した[1]。 1912年、ドイツの建築家によって競馬場の建設が行われ[1]、1913年にエンヴェルの後援により競馬の開催主体となるスィパーヒー協会騎手クラブ(Sipahi Ocağı Binicilik Kulübü)と馬匹血統改良協会(Islah-ı Nefs-i Feres Cemiyeti)が設立された[4][5]。 第一次世界大戦(1914年-1918年)による中断後、1923年にスコットランドのハミルトンパーク競馬場の関係者によってマクリキョイレーシングシンジケート(Makrikuey Racing Syndicate)が設立され、コンクリート造の観客席を設けて近代競馬を開催したが、1年で休止した。その後はスィパーヒー協会などによって競馬が開催されたが、当時は馬券発売が行えず、資金面で十分な競馬開催が行えなかった[4]。 1953年、馬券発売を伴う競馬の開催権限がトルコ政府からトルコジョッキークラブに委任され、同クラブによる競馬開催が始められた[6]。 1968年、トルコのダービー競走であるアタテュルク賞(現在のガジ賞)が初めてヴェリエフェンディ競馬場で開催された[7]。 1990年から国際競走が開催されるようになり、外国調教馬の出走を促す目的で1991年にインターナショナルレーシングフェスティバルが開始された[8][9]。 2008年、夜間照明設備が整備され、ナイター開催が開始された[5]。 コース右回り第1コーナーから第2コーナーがややきつく、第3コーナーから第4コーナーがやや緩い楕円形をとる。外側が1周2020mの芝コース、内側が1周1870mのポリトラックコースになっている。その内側に1周1720mの調教用ダートコースがある[1]。 設備2棟の大型スタンド、パドック、207m2の大型LEDディスプレイ、168m2のLED着順掲示板などを備える近代的な競馬場である[5]。 敷地面積は約596,000平方メートルあり、場内にトルコジョッキークラブの本部、競走馬診療所、見習騎手学校、ギフトショップ、博物館、展示会場などがある。また、緑地化された場内に110テーブルあるピクニックエリア、キッズプレイガーデン、多数のカフェテリア、駐車場がある[2]。 主な競走2025年の年間レーシングプログラム[10]による。馬場の「ポ」はポリトラックを意味する。 サラブレッド競走
アラブ競走
インターナショナルレーシングフェスティバルトルコ語名「国際競走フェスティバル」(トルコ語: Uluslararası Yarış Festivali)。「国際競馬フェスティバル」と訳されることもある[11]。国際セリ名簿基準書のパートII国[12]であるトルコにおいて外国調教馬に開放された数少ない国際競走をヴェリエフェンディ競馬場において集中的に開催するイベントで、外国調教馬の出走を促進する目的で1991年に開始[8][9]。2008年から9月上旬の週末2日間にわたってサラブレッドの国際重賞3競走、アラブの国際重賞1競走を含む7競走を開催する方式が定着した[13]。 2007年から2009年まで1着賞金が60万ドルとマイル競走で欧州最高クラスの賞金総額を誇ったトプカプトロフィーをはじめ、かつては賞金が高額だったが[1]、2020年代には外国通貨に換算した賞金額はそれほど高額ではなくなっている[13]。
国際騎手招待競走「国際騎手招待競走」は日本中央競馬会(JRA)が用いた名称で、トルコ語名は「国際騎手トーナメント」(トルコ語: Uluslararası Jokey Turnuvası)である。2009年から毎年7月中旬(初回のみ8月中旬)にヴェリエフェンディ競馬場で行われていた[14][15]。2012年の第4回からは日本代表の騎手がJRAから選出されて参加した[16][17][18][19]。 2016年からは開催されていない。
アクセス
脚注
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