リチャード・ブローティガン(Richard Brautigan、1935年1月30日 - 1984年9月16日?)は、アメリカ合衆国ワシントン州タコマ出身の作家、詩人。
人物
1964年、小説『ビッグ・サーの南軍将軍』を出版。以後『アメリカの鱒釣り』、『西瓜糖の日々』、『芝生の復讐』などを発表、1976年には来日している。『アメリカの鱒釣り』によって一躍ビート・ジェネレーションの作家の代表格として祭り上げられるが、本国では次第に忘れられ、むしろ日本やフランスにおいて評価が高い。
かなり飛躍した比喩を用い、深い心理描写を故意に欠いた文体で独特の幻想世界を築く。アメリカン・ドリームから遠く隔たった、どちらかと言えば落伍者的、社会的弱者風の人々の孤立した生活を掬う。
日本では翻訳家の藤本和子がその著書のほとんどを翻訳し、時として原文以上とも評されたその清新な訳文は、日本における翻訳文学の系譜の上で重要なものである。作家でも村上春樹、高橋源一郎、小川洋子[1]といった面々が影響を受けている。
1984年10月25日、カリフォルニア州ボリナスの自宅でピストル自殺しているのが発見された。正確な死亡日時は不明であるが、9月16日の日曜日に近隣住民がアメリカン・フットボールの試合をテレビで観戦中に銃声のようなものを聞いたと証言しており、9月16日ではないかと推測されている。
複数の作品に断片的に自伝的要素が織り込まれていると言われるが、極貧の中で満足な教育も受けずに育った少年時代は、詳細が不明である。評伝としては藤本和子著『リチャード・ブローティガン』(新潮社、2002年)がある。
(以下、刊行年等の情報はブローティガンのアーカイブを参照した)
小説
詩集
- The Return of the Rivers, (1957年), The Pill versus the Springhill Mine Disaster に再収録
- The Galilee Hitch-Hiker, (1958年), The Pill versus the Springhill Mine Disaster に再収録
- Lay the Marble Tea, (1959年), The Pill versus the Springhill Mine Disaster に再収録
- The Octopus Frontier, (1960年), The Pill versus the Springhill Mine Disaster に再収録
- All Watched Over by Machines of Loving Grace, (1967年), The Pill versus the Springhill Mine Disaster に再収録
- Please Plant This Book, (1968年)
- 『チャイナタウンからの葉書』(池澤夏樹訳)、『ピル対スプリングヒル鉱山事故』(水橋晋訳)The Pill versus the Springhill Mine Disaster, (1968年)
- 『ロンメル進軍』(髙橋源一郎訳)Rommel Drives on Deep in Egypt, (1970年)
- 『突然訪れた天使の日』(中上哲夫訳)Loading Mercury with a Pitchfork, (1976年)
- 『東京日記』(福間健二訳)June 30th, June 30th, (1978年)
- 『エドナ・ウェブスターへの贈り物 故郷に残されていた未発表作品』(藤本和子訳)The Edna Webster Collection of Undiscovered Writings (1999年)
脚注
- ^ 小川洋子は、デビュー時の担当編集者からプレゼントされた『西瓜糖の日々』をつねに机の脇に置いてあるという(WEB本の雑誌「作家の読書道:第29回 小川 洋子さん」より)。
外部リンク