アバ・ラーナー ラーナーの対称性定理 （らーなーのたいしょうせいていり、英 : The Lerner symmetry theorem）は、従価輸入関税 が従価輸出税と同一の経済効果を持つという貿易理論 における定理。この理論的結果は、輸入関税と輸出税が相対価格を同じように変化させることから生じる。1936 年にアバ・ラーナー によって示された[ 1] [ 2]
2国2財2産業の経済において、この定理は以下のように説明できる[ 3]
x
{\displaystyle x}
y
{\displaystyle y}
∗
{\displaystyle *}
τ
m
{\displaystyle \tau _{m}}
x
{\displaystyle x}
y
{\displaystyle y}
p
x
p
y
=
p
x
∗
(
1
+
τ
m
)
p
y
∗
{\displaystyle {\frac {p_{x}}{p_{y}}}={\frac {p_{x}^{*}}{(1+\tau _{m})p_{y}^{*}}}}
となる。一方で、初期状態から従価輸出税
τ
x
{\displaystyle \tau _{x}}
(
1
+
τ
x
)
p
x
p
y
=
p
x
∗
p
y
∗
{\displaystyle {\frac {(1+\tau _{x})p_{x}}{p_{y}}}={\frac {p_{x}^{*}}{p_{y}^{*}}}}
従価関税と従価輸出税の税率が同じ（
τ
m
=
τ
x
{\displaystyle \tau _{m}=\tau _{x}}
このような結果は、財市場や労働市場が完全競争 市場で、産業間の労働移動に摩擦がないなど、多くの簡単化の仮定の下で成立するものである。アルナード・コスティノーとイヴァン・ワーニングは、不完全競争、貿易不均衡、多国籍企業の存在など考慮したモデルを構築し、ラーナーの対称性定理を現代的なフレームワークで再考している[ 4]
ダグラス・アーウィン によると、この定理から次のような政策的含意が得られる[ 5]
^ a b Lerner, A. P. (1936) "The Symmetry Between Import and Export Taxes." Economica , 3(11): 306-313.
^ Jagdish N. Bhagwati, Arvind Panagariya, and T. N. Srinivasan (1998) Lectures On International Trade. 2nd Edition, MIT Press. Description and Ch. 12, Sect. 12-6, Lerner Symmetry Theorem, Scrollable Preview, pp. 215-19.
^ 木村福成 (2000)『国際経済学入門』日本評論社、149ページ。
^ Costinot, Arunaud; Werning, Iwan (2019). “Lerner Symmetry: A Modern Treatment” . American Economic Review: Insights 1 (1): 13-26. https://www.aeaweb.org/articles?id=10.1257/aeri.20170006 . ^ Douglas Irwin (2020) Free Trade Under Fire Fifth Edition. Princeton University Press, Chapter 4.
_per_capita_in_2019.png)
