『ラヴァリー〜恋人のように』(原題:Loverly)は、アメリカ合衆国の歌手、カサンドラ・ウィルソンが2008年に発表したスタジオ・アルバム。
背景
オリジナル曲は、ウィルソンとバック・バンドによるインプロヴィゼーション曲「アレーレ」1曲だけで、ウィルソンのアルバムとしては『ブルー・スカイ』(1988年)以来20年ぶりのスタンダード集となった[5][6]。本作でピアノを担当したジェイソン・モラン(英語版)は、当時ウィルソンと同じくブルーノートに所属しており、ウィルソンのツアー・バンドに参加したこともあるが、レコーディングでの共演は本作が初である[7]。
反響・評価
アメリカでは総合アルバム・チャートのBillboard 200入りを逃すが、『ビルボード』のジャズ・アルバム・チャートでは3位、トップ・ヒートシーカーズでは19位を記録した[8]。グラミー賞では最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞を受賞し、12年ぶりのグラミー受賞を果たした[8]。
Thom Jurekはオールミュージックにおいて5点満点中3.5点を付け「彼女は風変わりでリスクを恐れないジャズ・グループを起用して、アメリカン・ソングブックの重要な部分を取り上げ、これらの曲が本来持つ気品や魅力を損なうことなく新しい深み、質感、意味を追加している」と評している[5]。また、ベン・ラトリフは『ニューヨーク・タイムズ』紙において「いかなる理由においても(曲が優れているからというだけではない)、ここ長年における彼女の最高傑作」「自然体であることも大切だが、本作はモランの混合的でジャンルを無視したピアノ・ソロから、ウィルソンの極めてスモーキーな声の全音域を駆使した思慮深いフレージングに至るまで、美しく構築されたレコードである」と評している[6]。
収録曲
- 恋人よ我に帰れ - "Lover Come Back to Me" (Oscar Hammerstein II, Sigmund Romberg) - 4:16
- 黒いオルフェ - "Black Orpheus" (Luíz Bonfá, Antônio Maria) - 4:58
- ラヴァリー(素敵じゃない?) - "Wouldn't It Be Loverly" (Alan Jay Lerner, Frederick Loewe) - 5:02
- 風と共に去りぬ - "Gone with the Wind" (Herb Magidson, Allie Wrubel) - 5:51
- キャラヴァン - "Caravan" (Duke Ellington, Juan Tizol, Irving Mills) - 4:23
- あなたに逢えるその日まで - "'Til There Was You" (Meredith Willson) - 6:42
- スプリング・キャン・リアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト - "Spring Can Really Hang You Up the Most" (Fran Landesman, Tommy Wolf) - 5:01
- アレーレ - "Arere" (Wilson, Babalola, Moran, Plaxico, Riley, Sewell) - 5:42
- セント・ジェームズ病院 - "St. James Infirmary" (Traditional) - 4:40
- ダスト・マイ・ブルーム - "Dust My Broom" (Elmore James, Robert Johnson) - 4:46
- ザ・ヴェリー・ソート・オブ・ユー - "The Very Thought of You" (Ray Noble) - 4:47
- スリーピン・ビー - "Sleepin' Bee" (Harold Arlen, Truman Capote) - 4:35
参加ミュージシャン
脚注・出典
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ライヴ・アルバム | |
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コンピレーション・アルバム | |
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