ラリー・ヤング (Larry Young )もしくはハリド・ヤシン (Khalid Yasin、1940年 10月7日 - 1978年 3月30日 )は、アメリカ合衆国 のジャズ ・キーボード 奏者(オルガニスト ならびにピアニスト )。ソウル・ジャズ 寄りのジミー・スミス とは対照的に、モーダル・ジャズ の先駆者として知られるが、その実ソウル・ジャズも手懸けた。
ジミ・ヘンドリックス とのジャム・セッションによってレコード を残したことから、ジャズ愛好家だけでなく、ロック 愛好家にも名前が知られている。
イスラム教 に改宗 してハリド・ヤシン・アブドゥル・アジズ (Khalid Yasin Abdul Aziz)に改名した。
略歴
ニュージャージー州 ニューアーク 出身。
1950年代 にさまざまなリズム・アンド・ブルース のバンドと共演した後、ジミー・フォレスト やルー・ドナルドソン 、ケニー・ドーハム 、ハンク・モブレイ 、トミー・タレンタイン との共演でジャズ の経験を積んだ。
1960年 よりプレスティッジ ・レーベルでリーダー・アルバムの録音を開始し、『テスティファイイング』(1960年)、『ヤング・ブルース』(1960年)、『グルーヴィー・ストリート』(1962年)など多数のアルバムを作った。
1964年 にブルーノート に移籍した頃には、ジョン・コルトレーン の顕著な影響が見えるようになった。ヤングの最良の作品が作り出されたのもこの頃である。ギタリストのグラント・グリーン やドラマーのエルヴィン・ジョーンズ としばしばトリオを組んでおり、時にはその編成に多少の増員を行なった。このような手順を踏んだアルバムの殆どはグリーンの名義で発表されたが、サクソフォーンにサム・リヴァース を迎えたアルバム『イントゥ・サムシン』(1964年)は、彼のブルーノートにおけるデビュー盤となった。1965年 に録音されたアルバム『ユニティ』は、彼の代表作であり、ジョー・ヘンダーソン や若き日のウディ・ショウ を最前線に押し出している。
その後のブルーノートにおけるアルバム『ラブ・アンド・ピース』(1966年)、『コントラスツ』(1967年)、『ヘヴン・オン・アース』(1968年)、『マザー・シップ』(1969年)は、1960年代 のアヴァンギャルド・ジャズ の要素を取り入れたり、ヤングの地元ニューアーク出身のミュージシャンを起用したりしている。
1969年にはトニー・ウィリアムズ 、ジョン・マクラフリン とトニー・ウィリアムズ・ライフタイム を結成してアルバム『エマージェンシー!』を発表し[ 1] [ 注釈 1] 、1970年にはマクラフリンと共にマイルス・デイヴィス のアルバム『ビッチェズ・ブリュー 』に参加した。
1969年5月にニューヨーク のレコード・プラント・スタジオ でジミ・ヘンドリックス と共演した音源は、ヘンドリックスの死後に発表されたアルバム『ナイン・トゥ・ジ・ユニヴァース 』(1980年)に「Young / Hendrix」として収録されている[ 2] 。
ヤングが奏でるオルガンの特徴的な響きは、ハモンドオルガン のストップ に起因し、霊妙で幽玄な効果を生み出している。つまりこの音色 こそ、主役にして背景なのである。
1978年、肺炎 を放置した為に、ニューヨークにて早世 した。享年37歳[ 3] 。
ディスコグラフィ
リーダー・アルバム
『テスティファイイング』 - Testifying (1960年、New Jazz)
『ヤング・ブルース』 - Young Blues (1960年、New Jazz)
『グルーヴィー・ストリート』 - Groove Street (1962年、Prestige)
『イントゥ・サムシン』 - Into Somethin' (1964年、Blue Note)
『ユニティ』 - Unity (1965年、Blue Note)
『ラブ・アンド・ピース』 - Of Love and Peace (1966年、Blue Note)
『コントラスツ』 - Contrasts (1967年、Blue Note)
『ヘヴン・オン・アース』 - Heaven on Earth (1968年、Blue Note)
『マザー・シップ』 - Mother Ship (1969年、Blue Note)
『ローレンス・オブ・ニューアーク』 - Lawrence of Newark (1973年、Perception)
『フューエル』 - Fuel (1975年、Arista)
『スペースボール』 - Spaceball (1976年、Arista)
The Magician (1977年、Acanta/Bellaphon)
『イン・パリ:ORTFレコーディングス』 - Larry Young in Paris: The ORTF Sessions (2016年、Resonance) ※フランスのラジオのために1964年&1965年録音
参加アルバム
ジョー・チェンバース
Double Exposure (1978年、Muse)
マイルス・デイヴィス
『ビッチェズ・ブリュー 』 - Bitches Brew (1969年、Columbia)
『ビッグ・ファン 』 - Big Fun (1969年、Columbia) ※セッションのみ
ジミー・フォレスト
Forrest Fire (1960年、New Jazz)
グラント・グリーン
『トーキン・アバウト』 - Talkin' About! (1963年、Blue Note)
『ヒズ・マジェスティ、キング・ファンク』 - His Majesty King Funk (1965年、Verve)
『抱きしめたい』 - I Want to Hold Your Hand (1966年、Blue Note)
『ストリート・オブ・ドリームス』 - Street of Dreams (1967年、Blue Note) ※1964年録音
エタ・ジョーンズ
Love Shout (1963年、Prestige)
ギルド・マホネス
『アイム・シューティング・ハイ』 - I'm Shooting High (1963年、Prestige)
The Great Gildo (1964年、Prestige)
ジョン・マクラフリン
『ディボーション』 - Devotion (1970年、Douglas)
『魂の兄弟たち 』 - Love Devotion Surrender (1972年、Columbia) ※with カルロス・サンタナ
ポニー・ポインデクスター & ブッカー・アーヴィン
『ガンボ!』 - Gumbo! (1963年、Prestige) ※1999年再発CD盤ボーナストラックのみ
ウディ・ショウ
『イン・ザ・ビギニング』 - In the Beginning (1965年、Muse)
ソーネル・シュワルツ & ビル・レスリー
Soul Cookin' (1962年、Argo) ※「Lawrence Olds」名でクレジット
バディ・テリー
Natural Soul (1968年、Prestige)
トニー・ウィリアムス・ライフタイム
『エマージェンシー!』 - Emergency! (1969年、Polydor)
『ターン・イット・オーバー』 - Turn It Over (1970年、Polydor)
『エゴ』 - Ego (1971年、Polydor)
Love Cry Want (Nicholas/Gallivan/Young)
Love Cry Want (1997年、Newjazz.com) ※1972年6月録音
脚注
注釈
^ トニー・ウィリアムズ・ライフタイムはジャック・ブルース を迎えて1971年に『ターン・イット・オーバー』を発表した。
出典
^ Shapiro, Harry (2010). Jack Bruce: Composing Himself: The Authorised Biography by Harry Shapiro . London: A Genuine Jawbone Book. p. 134. ISBN 978-1-906002-26-8
^ Shapiro, Harry (2010). Jack Bruce: Composing Himself: The Authorised Biography by Harry Shapiro . London: A Genuine Jawbone Book. p. 133. ISBN 978-1-906002-26-8
^ Shapiro, Harry (2010). Jack Bruce: Composing Himself: The Authorised Biography by Harry Shapiro . London: A Genuine Jawbone Book. p. 139. ISBN 978-1-906002-26-8
外部リンク