ヨウラクユリ
ヨウラクユリ(瓔珞百合[2][6]、学名:Fritillaria imperialis[2])は、ユリ科バイモ属の植物[7]。別名はフリチラリア[2]、フリチラリア・インペリアリス[3]、オウカンユリ(王冠百合)[4]。 特徴クロユリやアミガサユリ(バイモ)と同じバイモ属の植物で[8][3]、バイモ属はユーラシア大陸から日本列島、北アメリカ大陸に至るまで約80種があり多くの種が観賞用植物として栽培されている[8]。ヨウラクユリもその1種である[6]。 球根性の多年草で、高さは60 cmから[2][7][9][10]1 mに達する[2][11]。茎は肉質で[7][10]下方に光沢のある葉を何段かに分けて付け[7][9]、茎の先端に多くの葉と花を付ける[5]。葉は幅2.5 cmほどで平滑である[10]。 鐘形の[7]花は直径4 - 5 cmで[6]散形花序となり[7][12]、色は黄色[2][5][6][7][9][11]、黄褐色[12]、レンガ赤色[2][3][11]、えび茶色[12]、濃紅色[5][3]、橙赤色[7]などで、園芸用品種としては多様な色がある[5][6]。7 - 8個の花がかたまって咲く[9]。(20個ほど花を付けるものもある[13]。)美麗な花であるが有毒である[12]。花被は6つで卵形または長楕円形[10]、長さは3.5 - 5 cmほどで[10]内側基部は黒い[12][7]が、白くて大きい蜜腺が目立つ[12]。おしべは花被より長く6本ある[10]。 黄色味を帯びた[7][10]鱗茎は縦断すると、中から芽を持った同じような鱗茎が出てくる[12]。鱗茎は鱗片葉の葉腋に新たな鱗茎を作りながら新個体を形成する[14]。染色体数は2n=24[5][13]で、1 - 12の過剰染色体を持つ[13]。なお鱗茎は食用とすることができる[5]が、悪臭を持つ[3][7]。 品種に銅紅色のオーロラ、紅色のマキシマ・ルブラ、黄褐色のオレンジ・ブリリアント、黄色のマキシマ・ルテアなどがある[13]。 名称和名のヨウラクユリは、下垂した花を釣り鐘型をした仏具の飾りの瓔珞(ようらく)にたとえたものである[5][15]。種小名のインペリアリス(imperialis)は「帝王の」の意で[3][7][9]、バイモ属で最も優れていることを意味する[13]。 ヨウラクユリ、フリチラリアともにバイモ属の総称としても使用される[2]。 分布小アジアからインドにかけて[5](西アジアからパキスタンにかけて[6])が原産地である。自生地はイラン[7][12]、アフガニスタン[12]、トルコ[7][12]、西ヒマラヤ[12]、インド[7]。自生種の鱗茎は地中深くに存在する[11]。 栽培と文化ロックガーデンには適せず、花壇に植えるか切り花にするのに向いている[11]。球根を植える際は深めに植え、排水性・保水性に優れた有機質を含む土に植えるとよい[11]。耐寒性に優れるが、強い光、高温、乾燥に弱く、半日蔭で育てるのが良いが、光が弱すぎると着花や球根肥大が悪くなる[11]。球根以外に鱗片繁殖も可能である[11]。 ヨーロッパでは古くから観賞用植物として栽培されてきた[6]。ヒマラヤからイスラム圏を経て中世の末に南ヨーロッパへ入り、ルネサンス期に北ヨーロッパまで広がった[9]。例えば、ウィーンには1576年に「ペルシアン・リリー」として伝えられた[13]。ヨーロッパでの繁殖能率はあまり高くない[9]。 ヨーロッパに伝来して以降、貴重な園芸品種として愛好され、フィンセント・ファン・ゴッホをはじめとして多くの画家が描いている[13]。5月4日の誕生花とされ、花言葉は「天上の愛」[16]。 日本における栽培日本での栽培は難しく[13]、何度か輸入されているものの繁殖能率はあまり高くない[9]。「趣味の園芸」による栽培難易度は5段階中4である[15]。 日本には1872年(明治5年)から1873年(明治6年)にかけて伝来した[3][13]。早春に咲く花として評価されており[3]、秋に球根を植えると、4月中旬から下旬に開花する[3][11]。ただし開花まで4 - 5年を要する[11]。6 - 7月になると地上部が枯れて休眠する[15]。3 - 4年であれば植え放しもできるが、夏季に地温が高くなりすぎる地域(関東地方以西の平坦地[13])では球根を取り出して冷暗所に保存し、秋に植え直す[11]。 脚注
参考文献
外部リンク |