ミンスク市電
ミンスク市電(ミンスクしでん、ベラルーシ語: Мінскі трамвай)は、ベラルーシの首都・ミンスクの路面電車。2020年現在、ミンスク市内の他の公共交通機関(地下鉄、バス、トロリーバス)と共に、国営単一企業であるミンスクトランス(ДП «Мінсктранс»)によって運営されている[4]。 歴史ミンスク市内の軌道交通の歴史は1892年5月10日に馬車鉄道が開通した事に始まる。この馬車鉄道は多くの住民に利用され、ロシア革命の影響を受けて1918年から1921年には一時的に運休を余儀なくされたものの、営業再開以降は1928年まで4つの系統が運行を続けた。この路線を電化・高規格化した上で1929年10月13日から営業運転を開始したのがミンスク市電である。開業時にはソ連国内で生産された2軸車が導入された[2][3]。 路面電車の利用客は年々増加し、1930年の時点の年間利用客数は1,070万人だったものが、1939年には5,000万人に膨れ上がった。同年の時点で全長37 kmの路線網が都心と郊外を結び、車両数は70両を記録した。だが、第二次世界大戦(大祖国戦争)中、ドイツ軍による空爆や占領、そして赤軍との戦闘によりミンスクの街は破壊され、路面電車も車庫の損傷を始めとした甚大な被害を受けた。終戦後はモスクワやレニングラードの専門家からの支援を受けて急ピッチで復旧作業が行われ、1945年に全長11 km、7両の電車によって運行が再開された[4][2][6]。 戦後は戦災からの復旧を経て路線網の拡大が始まり、1954年には市内に環状線が形成された。1956年の時点で路線の総延長は48 km、車両数は122両となり、本数も含めて戦前を超える規模となっていたが、1952年からはミンスク市内でトロリーバスの運行が始まり、多くの路線網が置き換えられる事となった。1984年には地下鉄(ミンスク地下鉄)開業に伴って、中心部の大通りから線路が撤去された。その一方で車両の近代化や増備は続き、1980年代後半には225両のボギー車が在籍していた。また残存した路線については線路や施設の改修が行われた他、1986年には再度の路線延伸も実施された[2][6][7]。 ミンスク市電にはソ連末期から更なる路線の延伸計画が存在し、ベラルーシ独立後の2000年代以降も総延長62 kmとなる大規模な延伸計画が発表されているものの、予算を始めとする様々な理由から2020年の時点でも未だに実現には至っておらず、逆に1991年、2013年、2015年に一部区間の廃止が行われているのが現状である。ただし、地下鉄よりも安価な路面電車(ライトレール)の延伸に関する事業計画自体は進行しており、2019年にも新たな事業計画が策定されている。その一方で車両や既存施設の更新については積極的に行われており、後述の通り2020年時点で営業用の全車両がベラルーシの国産車両に統一されている他、同年以降路線バスやトロリーバスと共にプリペイド機能を備えた非接触式ICカードの本格導入が予定されている[2][7][8][9]。 系統2020年現在、ミンスク市電で運行している路面電車の系統は以下の通りである[10]。
車両現有車両2020年現在、ミンスク市電で使用されている車両は全て2000年代以降にベラルーシ国内で製造されたものに統一されている[8][13]。
導入予定の車両過去の車両ミンスク市電で営業運転を離脱した形式の一部は都市旅客輸送博物館(Музее городского пассажирского транспорта)に保存されている[20]。
脚注注釈出典
外部リンク
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