ミトコンドリアマトリックス (Mitochondrial matrix)は、ピルビン酸 その他の小さな有機分子の酸化を触媒する可溶性酵素 を含むミトコンドリア の部分である。
マトリックスはミトコンドリアDNA とリボソーム も含む。「マトリックス」という用語は、この空間が細胞質 と比較すると粘着質であることに由来する。細胞質の水分含量はタンパク質 1mg当たり3.8μlであるのに対し、ミトコンドリアマトリックスでは、タンパク質1mg当たり0.8μlの水分含量である[ 1] 。ミトコンドリアがどのようにして、ミトコンドリア内膜 内外の浸透圧 の平衡を保っているのかは分かっていないが、膜は、水の輸送を調整する導管と考えられているアクアポリン を持つ。ミトコンドリアマトリックスのpHは、約7.8である[ 2]
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電子伝達系
電子伝達系 は、ミトコンドリア内膜のクリステ に存在する。マトリックスのクエン酸回路 で生産されたNADH とFADH2 はプロトン と電子 を放出し、NAD+ とFAD を再生する。プロトンは、電子伝達系の電子のエネルギーによって膜間腔 に引き込まれる。2つの電子は最終的にマトリックスの酸素に受け取られ、電子伝達系を終結させる。プロトンはATPシンターゼ による化学浸透 の過程でマトリックスに戻る。
出典
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Soboll, S., Scholz, R., Freisl, M., Elbers, R. & Heldt, H. W. (1976). “Distribution of metabolites between mitochondria and cytosol of perfused liver” . In J. M. Tager, Hans-Dieter Söling, John R. Williamson. Use of Isolated Liver Cells and Kidney Tubules in Metabolic Studies . New York: Elsevier . pp. 29–40. ISBN 978-0-444-10925-5 . LCCN 76-9093 . OCLC 2137029 . https://books.google.co.jp/books?id=CgprAAAAMAAJ&redir_esc=y&hl=ja
^ Porcelli, AM; Ghelli, A et al. (2005). “pH difference across the outer mitochondrial membrane measured with a green fluorescent protein mutant”. Biochemical and Biophysical Research Communications 326 (4): 799–804. doi :10.1016/j.bbrc.2004.11.105 . PMID 15607740