マノー・レーシング
マノー・グランプリ・レーシング・リミテッド(Manor Grand Prix Racing Limited)は、2016年のF1世界選手権に参戦したイギリスのレーシングコンストラクターである。チームの名称としては、マノー・レーシング(Manor Racing)やMRT(Manor Racing Team)、マノーGPなどと呼ばれた。本拠地はイングランドのオックスフォード州バンベリー。 概要2015年に参戦していたマノー・マルシャF1チームが名称を変更し、2016年よりF1に参戦。2016年1月19日、チーム名をマノー・レーシングへ名称を変更すると発表した[1]。 チーム国籍は本拠地のあるイギリスのまま変更は無いが、運営は2015年までのマノー・モータースポーツ(Manor Motorsport)から、新たに設立された「Just Racing Services Ltd」に移管された[2][3]。マノー・モータースポーツは2016年よりFIA 世界耐久選手権(WEC)に参戦しているが[4]、F1チームとは全くの別法人となったため関係はない。 このチームは元を辿るとヴァージン・レーシング(2010-2011)→マルシャF1チーム(2012-2014)→マノー・マルシャF1チーム(2015)といった系譜に連なるチームである。 2016年シーズン終了後、新たな売却先との交渉を行ったが決裂し翌2017年1月に破産、チームは消滅した。 歴史2016年ドライバーについては、既に他チームのシートが全て埋まっており、マノーの2席しか空きがなかったためシート争いが加熱。様々な若手ドライバーの噂がささやかれた。有力な候補として前年所属したウィル・スティーブンス[5]とアレクサンダー・ロッシ[6]、支援者の多いパスカル・ウェーレイン[7]、リオ・ハリアント[8]等が挙がっていたが、マノー側がシートマネーとして1,000万ドル(約12億円)もの大金を要求したこともあり契約がなかなかまとまらずにいた[9][10]。その中で2月11日、1人目のドライバーとしてウェーレインの起用を発表[11]。残る1席については先述した3名がシェアするとの噂が報道されたが[12]、18日にハリアントの起用が正式発表された[13]。ロッシはリザーブドライバーに回り、開発ドライバーにジョーダン・キングが起用された。 成績はやはり下位での争いを強いられるが、MRT05は主要エンジンメーカーで最も高性能なメルセデス製パワーユニットの供給契約を成立させていたこともあり、時折、中団勢の争いに加わったりするなど、常時最下位を走行していた前年と比べると成績が向上していた。特にストレートスピードが速く、オーストリアGPでは天候がめまぐるしく変わる中でウェーレインが予選でQ2進出を果たし、予選12位を獲得。決勝でも荒れたレースをかいくぐり10位入賞。マノー・レーシングになってからは初、前身のマルシャ時代を含めれば2014年モナコGPでのジュール・ビアンキ以来の入賞を果たした。8月10日、参戦資金が尽きたため契約を終了したハリアントに代わって、ルノーのリザーブドライバーを務めていたエステバン・オコンを起用した[14]。ハリアントはリザーブドライバーとしてチームに残留する[15]。なおウェーレインとオコンという組み合わせは、共にメルセデスの開発ドライバー同士の組み合わせでもある。 ウェーレインの1ポイントが効いて、コンストラクターズランキング10位までの分配金を確保できる状態にいたが、第20戦ブラジルGPでザウバーのフェリペ・ナッセが雨の波乱を耐えきり9位入賞で2ポイントを獲得したことにより分配金の対象外となるランキング11位に転落、予算の約6分の1にあたる1,350万ドルを失うことになった[16]。 チーム消滅この結果を受け、オーナーのスティーブン・フィッツパトリックはチームの売却を進め、新しい投資家と基本合意に達したことを明らかにしたが、売却先については公表されなかった[17][18]。しかし、新たな投資家との最終的な交渉はまとまらず[19]、翌2017年1月6日に運営会社が破産を申請[20]。破産申請の時点では212名のスタッフは解雇されておらず給与も12月末までは支払い済みとなっており[21]、暫定エントリーリスト[22]にもマノーは掲載されていたが、同月27日になっても交渉はまとまらず、全スタッフへの1月分の給与支払い及び一部スタッフを除く解雇とチーム消滅が決定した[23]。交渉が成立した場合、序盤は前年のMRT05の改良版で戦い、新車「MRT06」を投入する予定であったが実現しなかった[24]。 その後チームが使っていたピット用機材等の一部は、2017年4月に元ミナルディのオーナーとして知られるポール・ストッダートが購入し、同年5月のスペインGPより、ストッダートが運営している「F1エクスペリエンス」と呼ばれるF1ファン向けアトラクションの一部に使われている[25]。マノーが2016年に実際に使っていたピットガントリーを用いた「ピットストップチャレンジ」などの企画が行われており、今後もいくつかのグランプリで登場する予定。 戦績
脚注
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