ポーランドとウクライナのカルパティア地方の木造教会群
ポーランドとウクライナのカルパティア地方の木造教会群(ポーランドとウクライナのカルパティアちほうのもくぞうきょうかいぐん)は、UNESCOの世界遺産リスト登録物件の一つであり、その名称が示すように、ポーランドのマウォポルスカ県・ポトカルパチェ県とウクライナのリヴィウ州・イヴァーノ=フランキーウシク州・ザカルパッチャ州に点在する木造のツェールクヴァ(Tserkva, 聖堂)16棟が対象となっている。2013年の第37回世界遺産委員会で登録された。 登録対象木造教会(木造聖堂)はポーランドやウクライナ以外にも多く存在し、その代表的なものは世界遺産リストへの登録が進められてきた。中央ヨーロッパに限っても、マラムレシュの木造聖堂群(ルーマニアの世界遺産、1999年)、マウォポルスカ南部の木造聖堂群(ポーランドの世界遺産、2003年)、カルパティア山脈地域のスロバキア側の木造教会群(スロバキアの世界遺産、2008年)などを挙げることが出来る。しかし、それらの登録に際し、世界遺産委員会は付帯的な勧告を行い、建築時期や文化的伝統を踏まえて、さらに異なる類型の代表的木造教会を登録していくことが望ましい旨を表明していた[1]。 ポーランドとウクライナにまたがる4つないし5つの地域的類型を代表する木造教会群は、2010年1月28日にウクライナ部分が、翌日にポーランド部分が、相次いで世界遺産の暫定リストに記載された[2]。これらは2012年1月30日に正式推薦され、翌年には世界遺産委員会の諮問機関である国際記念物遺跡会議 (ICOMOS) による勧告が出された[2]。勧告の内容は登録が妥当とするものであり[3]、その勧告に基づいて第37回世界遺産委員会での登録が決まった。ポーランドもウクライナも、ともに国境を越える世界自然遺産を保有していたが、国境を越える世界文化遺産の登録は初めてとなった。 登録名世界遺産としての正式登録名は、Wooden Tserkvas of the Carpathian Region in Poland and Ukraine (英語)、Tserkvas en bois de la région des Carpates en Pologne et en Ukraine (フランス語)である。その日本語訳は、資料によって以下のように若干の表記の揺れがある。
構成資産世界遺産登録範囲には前期ハールィチ型 (Early Halych group) が約100棟、後期ハールィチ型 (Later Halych group) が250棟以上、ボイコ型 (Boyko group) が約70棟、フツル型 (Hutsul group) が約150棟、レムコ型 (Lemko group) が約70棟と、かなりの数の木造教会が残っている[9]。その5類型のそれぞれを代表する、以下の16棟が登録対象である。それらは、いずれも東方正教会もしくは東方カトリック教会によって建てられたものだが[2]、現在は異なる宗派に利用されているものや、公有財産として博物館に転用されている例もある。
登録基準この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。
脚注
参考文献
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