プリンセス・トヨトミ
『プリンセス・トヨトミ』(英題:Princess Toyotomi) は、日本の作家である万城目学の小説。 概要万城目学初の長編連載作品。『別册文藝春秋』にて2008年1月号から2009年1月号まで連載され、2009年3月に文藝春秋より刊行された。第141回直木賞候補作。『鴨川ホルモー』と『鹿男あをによし』に続く「関西三部作」のひとつ。400年にわたりあるものを守り続けてきた大阪の男たちと、それを知らずに大阪へやってきた会計検査院との攻防を軸に、親子の絆を描いたパラレルワールド的な作品。『鹿男あをによし』とは一部世界観を共有しており、同作品に登場した大阪女学館剣道部顧問の南場勇三がわずかに登場する。また、作中で頻発していた地震についても触れられている。 「吉本」やバラエティ番組でよく取り上げられるイメージとは違う「日常の大阪」「もうひとつの大阪」を意識して執筆されている。例えば、観光地としては知名度が高くない空堀商店街が主な舞台とされ、大輔と茶子の会話にはベタなボケ・突っ込みシーンがなく(むしろコミカルなやり取りは東京からやってくる会計検査院側に多い)、熱狂的な阪神ファンも出てこない[1](ただし映画では新世界や道頓堀などのシーンが多く挿入されている)。 原作において辰野金吾の辰野建築がしばしば話題になり、「長浜ビル」や「大阪国議事堂」も辰野建築ではないかと言及される。 一説には、大阪都構想をモデルにしているとも言われている。 あらすじ5月31日の木曜日、午後4時。突如として大阪府で一切の営業活動、商業活動が一斉に停止した。物語はそこからさかのぼること10日前、東京から訪れた会計検査院の調査官3人と、空堀商店街に住む2人の中学生の、一見何の関わりもない行動を中心に描かれる。 会計検査院第六局所属の松平・鳥居・旭の3人は実地検査のため大阪を訪れる。そのリストの中には謎の団体「社団法人OJO」が入っていたが、期間中にOJOの検査をできないまま一旦帰京する。一方、空堀中学校に通う大輔と茶子は幼馴染。長い間女の子になりたいと思っていた大輔はセーラー服姿で登校することを夢に見て、実行に移す。しかし、彼を待っていたのは壮絶ないじめであった。 週が明けて火曜日、ある理由で大阪に残っていた松平はOJOの実地検査ができることを知り、現地へと向かう。一方の大輔はその日、担任教師に早退を命じられ、父親とともにある場所へと行くことになる。松平と大輔の2人が見たものは地下に眠る「大阪国」であり、大輔は父が大阪国の総理大臣であることを告げられる。 「大阪国」は35年間で日本国政府から175億円もの補助金を受けていたが、肝心なことを国との条約を盾に語らない。松平はこの「大阪国」の不正を明るみにするために対決することに。そんな中、大輔へのいじめがエスカレートし、茶子はいじめた相手への襲撃を決行するが、そのことが思いもよらぬ事態へと発展する。 それぞれの思惑と誤解が交錯したとき、長く閉ざされていた歴史の扉が開かれる。 用語解説
主な登場人物主な登場人物の名前は歴史上の人物から採られている。例えば豊臣秀吉の妹旭姫から採られた「旭」など[1]。 会計検査院
大阪市立空堀中学校
真田家真田家の男には、大阪国が守ってきたあるものを最も近い場所で見守りつづける役目がある。
その他
メディアミックスラジオドラマNHK-FM放送の「青春アドベンチャー」にて、2009年11月23日 - 12月4日の日程により、全10回で制作・放送。時間の制約上原作からカットした個所があったり、大輔も島のことを「ジャコ屋」と呼ぶなどといった相違がある。なお、第1回放送当日は連動企画として「今日は一日“おいしい音楽・食いだおれ”三昧」がNHK大阪放送局より生放送された。 2012年2月20日 - 3月2日の日程で、青春アドベンチャーにて再放送。 スタッフ
キャスト
映画
『プリンセス トヨトミ』のタイトルで2011年5月28日、全国東宝系で公開。脚本、監督、プロデューサーなどドラマ化された『鹿男あをによし』と同じスタッフで制作されている。主演は堤真一。 全国277スクリーンで公開され、2011年5月28、29日の初日2日間で興収3億596万3,800円、動員23万4,391人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第2位となった[4]。最終興行収入16.2億円[5]。 2012年5月12日に、フジテレビ系で地上波初放送された。 キャッチコピー
キャスト
スタッフ
ロケ地〔映画の劇中に出てくる場所など〕(順不同)
サウンドトラック「プリンセス・トヨトミ-PRINCESS TOYOTOMI-」オリジナル・サウンドトラック(2011年5月25日発売)
DVD・Blu-ray2011年11月16日発売(ポニーキャニオン)
関連項目
脚注
外部リンク |