ブールブラン

チョコレートとワサビで風味付けし、キハダと合わせたブールブラン

ブールブラン(Beurre blanc)またはブールナント(Beurre Nantais)は、乳化した温かいバターソースである。フランス語で「白いバター」という意味である。白ワイン(通常はムスカデ)、エシャロットレデュクションして柔らかくしたバターと混ぜ、分離を防ぐために火から話して泡立てて作る。痕跡量のレシチン等の、バターの中に天然に少量含まれる乳化剤[1]、水と油のエマルジョンの形成に作用する。このソースは、ロワール=アトランティック県の料理が起源である。

起源

20世紀初め頃、シェフのクレマンス・ルフェーブルが、恐らく偶然によりブールブランを発明した。彼女は、w:Saint-Julien-de-Concelles村のLa Chebuette集落にある"La Buvette de la Marine"という彼女のレストランでこのソースを提供した。この場所はロアール川の土手沿いで、ナントから数km上流に位置した[2]

彼女はカワカマスにあわせるベアルネーズソースを作ろうとしたが、タラゴン卵黄を加えるのを忘れた。彼女がグーレーヌ城グーレーヌ侯爵の為の料理を作っている時に発明したとする文献もある[3]フランスの首相ノーベル平和賞受賞者のアリスティード・ブリアンは、1932年に彼女が死去した際、「ちょっとした国家的な服喪のようだ」と語った[2]

作り方

良いブールブランは、濃厚でバターの風味があり、他の調味料香料の風味を良く反映するため、ハーブスパイスを加えるのに適している。液体状態を保つ軽さでありながら、「ナッペ」として知られる、食物に塗るのに十分な濃厚さを持つ。

ワイン、酢、エシャロット、(加えるなら)ハーブをほぼ乾燥するまでレデュクションする。必須ではないが、ソースの安定剤として、ここでクリームを加えても良い。酢の代わりにレモン果汁が加えられたり、フォンを加えることもある[4]。次に、小さな角切りにしたバターを少しずつ混ぜ合わせ、バターが解けたら泡だて器で混ぜる。ソースは、過熱や冷却により分離する可能性がある。58℃以上に加熱されると、一部の乳化[タンパク質]]が分解し始め、エマルジョンが保持している乳脂肪を放出する。逆に27℃以下に冷えると、乳脂肪が凝固する[5]

バリエーション

ブールルージュ(「赤いバター」の意味)は、ブールブランのバリエーションで、白ワインの代わりにドライな赤ワイン、白ワインビネガーの代わりに赤ワインビネガーを用いる[6]

関連項目

出典

  1. ^ Chapman, O.W. (November 1928). “The Effect of Lecithin in Dairy Products upon Butter Fat Determinations”. Journal of Dairy Science 11 (6): 429–435. doi:10.3168/jds.S0022-0302(28)93658-9. 
  2. ^ a b St-Julien-de-Concelles Official Website. Retrieved 24 May 2008. Archived 18 November 2008 at the Wayback Machine.
  3. ^ Nantes' Quiz Archived 20 May 2011 at the Wayback Machine. Retrieved 24 May 2008.
  4. ^ Julia Child (1961), Mastering the Art of French Cooking, Alfred A. Knopf
  5. ^ Labensky, Sarah R.; Hause, Alan M.; Martel, Priscilla; Bevan, Anthony; Malley, Fred; Sicoli, Settimio (2017). On Cooking: A Textbook of Culinary Fundamentals, Seventh Canadian Edition. Pearson Education Canada. ISBN 978-0-13-443390-5 [要ページ番号]
  6. ^ Rombauer, I. S.; Becker, M. R.; Becker, E.; Guarnaschelli, M. (1997). JOC All New Rev. - 1997. Scribner. p. 57. ISBN 978-0-684-81870-2. https://books.google.com/books?id=tbyW2LeXIOkC&pg=PA57