クロマトグラフィーにおけるファン・デームテルの式(ファン・デームテルのしき、英: van Deemter equation)は、分離の物理学的、速度論的、熱力学的特性を考えることによって分離カラムの単位長当たりの分散と線移動相速度とを結び付ける[1]。これらの特性にはカラム内部の経路、拡散(軸方向拡散と縦方向拡散)、固定相と移動相との間の物質移動速度論が含まれる。液体クロマトグラフィーにおいて、移動相速度は出口速度、すなわち、「カラム出口流路」の断面積と流量(mL/秒)の比として考えられる。充填カラムでは、カラム出口流路の断面積は大抵カラムの断面積かける0.6として考えられる。あるいは、線速度をデッドタイムとカラム長の比と考えることもできる。移動相が気体とすると、圧力補正を適用しなければならない。カラムの単位長当たりの分散は理論段でのカラム効率とカラム長の比として考えられる。ファン・デームテルの式は双曲線関数であり、カラム長当たりの最小分散、それ故に最大効率が得らえる最適な速度が存在することを予測する。ファン・デームテルの式は、速度理論のクロマトグラフィー溶出過程への初めての応用の結果であった。
ファン・デームテルの式
ファン・デームテルの式はクロマトグラフィーカラムの分解能(理論段高: HETP、height equivalent to a theoretical plate)とピークの広がりを引き起こす様々な流れおよび速度論的パラメータを結び付ける。
上式において、
HETP(理論段高)は、カラムの分解能の指標である「理論段相当高さ」(height equivalent to a theoretical plate) [m]
^van Deemter JJ, Zuiderweg FJ and Klinkenberg A (1956). “Longitudinal diffusion and resistance to mass transfer as causes of non ideality in chromatography”. Chem. Eng. Sc.5: 271–289. doi:10.1016/0009-2509(56)80003-1.
^IUPAC, Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book") (1997). オンライン版: (2006-) "plate number, N".