ピーター・カム
ピーター・カム(金 培達、Peter Kam、1961年8月23日 - )は、香港の作曲家、音楽プロデューサーである。映画音楽を数多く手掛け、代表作には『星願 あなたにもういちど』、『忘れえぬ想い』、『ウィンター・ソング』、『イザベラ』、『孫文の義士団』、『捜査官X』などがある。 経歴14歳の時に家族とともにアメリカに移住[1]。父はナイトクラブでピアノを弾いていた[2]。夜通し家を空けなければならない夫のこともあり母は音楽をすることを反対し、父からピアノを教わることはできなかった。そのなかで父が自宅で譜面を起こしリハーサルをしていたことはカムにとって音楽の感覚と知識を身につける助けになったという[2]。学校ではスクールバンドでサクソフォンを吹き、通っていたキリスト教会でピアノを習った[2]。のちにサンフランシスコ州立大学でコンピュータを専攻したが[3]、途中でDick Grove音楽学校へと移り、そこで作曲と編曲を学んだ[4]。 卒業後は香港に戻り、コマーシャルソングからキャリアをスタート[1]。1995年の冼智偉監督作『孽戀(原題)』で初めての映画音楽を手掛ける。1999年にはジングル・マ(馬楚成)監督の『星願 あなたにもういちど』において劇伴と主題歌を作曲、映画は主演女優セシリア・チャン(張柏芝)が歌う『星語心願』とともに大ヒットし、第19回香港電影金像奨で音楽賞(最佳原創電影音樂)と主題歌賞(最佳原創電影歌曲)をダブル受賞した。この作品の事をカムはこう語っている。「作曲家であるチャン・クォンウィン(陳光榮)が電話をくれ、この映画の音楽に感動したと言ってくれました。リスペクトする同業のプロフェッショナルにそう言われたことは私に大きな達成感を与えてくれたのです」[2]。また同年公開のテディ・チャン(陳徳森)監督『パープルストーム 紫雨風暴』で金馬奨を獲得。 その後も上述のジングル・マ、テディ・チャンならびにイー・トンシン(爾冬陞)、パン・ホーチョン(彭浩翔)、ピーター・チャン(陳可辛)といった監督らからのリピート依頼をはじめ多くの作品を手掛けており、これまでに80本以上の映画を担当。劇中歌では作曲のみならず作詞や自らボーカルをつとめることもあり、様々な映画賞でノミネートを受け音楽賞や主題歌賞を何度も受賞している。なかでも2006年公開のパン・ホーチョン監督作『イザベラ』は第56回ベルリン国際映画祭と[5]香港電影金像奨で音楽賞に輝き、今では香港を代表する作曲家となった。 映画音楽以外でも、多くの歌手のプロデュースや作曲を担当。楽曲を提供した主なアーティストには、アンディ・ラウ(劉徳華)、ジャッキー・チュン(張学友)、アーロン・クォック(郭富城)、ジャッキー・チェン(成龍)、ミリアム・ヨン(楊千嬅)、ニッキー・ウー(呉奇隆)、チョウ・ビーチャン(周筆暢)、ジョーダン・チャン(陳小春)、ニコラス・ツェー(謝霆鋒)、ジジ・リョン(梁詠琪)ケリー・チャン(陳慧琳)、カリーナ・ラム(林嘉欣)などがいる。 2008年に北京オリンピックの公式ソング『We Are Ready』、『難説再見』を、2009年には中国建国60周年記念ソング『国家』も作曲[6]。以前より舞台の音楽も担当していたが近年はミュージカルの作曲に力を入れており、2015年には2本の新作が上演された[7]。また自身がキリスト教であることから、中国語の讃美歌も創作している[8]。 主な作品歌手への提供
映画音楽1990年代
2000年代
2010年代
主な受賞歴
第36回金馬奨・最佳原創電影音樂『パープルストーム 紫雨風暴』
第19回香港電影金像奨・最佳原創音樂『星願 あなたにもういちど』
第23回香港電影金像奨・最佳原創音樂『忘れえぬ想い』
第25回香港電影金像奨・最佳原創音樂『ウィンター・ソング』(レオン・コー(高世章)と連名)
第26回香港電影金像奨・最佳原創音樂『イザベラ』
香港政府より榮譽勳章
第29回香港電影金像奨・最佳原創音樂『孫文の義士団』(チャン・クォンウィン(陳光榮)と連名)
第31回香港電影金像奨・最佳原創音樂『捜査官X』(チャン・クォンウィン(陳光榮)とチャッチャイ・ポンプラパーパン(Chatchai Pongprapaphan)との連名)
第32回香港電影金像奨・最佳原創音樂『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』
第36回香港電影金像奨・最佳原創音樂『七月與安生(原題)』(波多野裕介との連名) 出典
外部リンク |