ハナヒリノキ
ハナヒリノキ(嚏の木[6]・木藜蘆[7]、学名: Eubotryoides grayana var. grayana または Leucothoe grayana)はツツジ科イワナンテン属の落葉低木。有毒植物。和名「ハナヒリノキ」(嚏の木)の由来は、葉の粉が鼻にはいると激しいくしゃみを起こさせるので、くしゃみを意味する古語「嚏(はなひり)」の名がある[8]。 特徴落葉広葉樹の低木で、高さ1 - 2メートル (m) になる[8]。よく分枝して[8]、若い枝はやや扁平になる。樹皮は灰褐色や褐色で滑らかだが、老木では縦に裂けて不規則にはがれる[6]。一年枝は有毛で、のちに無毛になる[6]。 葉は紙質で、長さ1 - 2ミリメートル (mm) の葉柄をもって互生し、葉身は楕円形または長楕円形で、長さ3 - 10センチメートル (cm) 、幅1.5 - 5.5 cmになり、先は短く鋭くとがり、基部は円形または浅心形になる。葉の両面にはややかたい毛が生え、葉の縁には長さ0.5 mm内外の毛をもつ微小な鋸歯がある。 花期は6 - 8月[8][6]。新枝の先に総状花序を伸ばし、淡緑色のつぼ形の花を下向きに多数つける[8]。花序は長さ5 - 15 cmになり[8]、花序軸には短い毛がやや密生し、花序には線形または線状披針形の包葉があり、下部のものは葉状になる。萼は長さ1 mmで、先端は深く5裂し、裂片は3角状卵形となる。花冠は長さ4 mmのつぼ形で、先端は浅く5裂して先は反曲し、花冠の色は淡緑白色になる。変種で赤みを帯びるものもある。雄蕊は10本ある。 果実は径4 - 5 mmの扁球形の蒴果で、赤紫色になり、上向きについて、果序は横や斜め上に伸びる[6]。蒴果は5室に深くくびれ[8]、両端に多くの毛状突起がある細かい種子が詰まる。落葉後も、冬まで枝先に穂状の果実がよく残っている[6]。 冬芽はジグザ九状に曲がった小枝に仮頂芽、側芽が互生し、小さな円錐形で、芽鱗2 - 4枚に包まれている[6]。葉痕は半円形で、維管束痕が1個つく[6]。 分布と生育環境北海道、本州(近畿地方以北)に分布し[6]、山地帯から亜高山帯の林縁に生育する。地域的に比較的多くの変種が認められている。山地の林縁などに生える[8]。 利用他ジテルペンのグラヤノトキシン(grayanotoxin…この植物にちなみ命名された)を全草に含む有毒植物で、誤食すると吐き気、下痢などの中毒症状を起こす。 かつて、葉や茎を乾燥させたものを粉末にして、汲み取り式便所の蛆殺しとして利用した。また、葉を煎じて家畜の皮膚の寄生虫駆除に使われた[8]。 変種
脚注
参考文献
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