ハシバミ属
ハシバミ属(ハシバミぞく、榛属、学名:Corylus、英語: Hazel)は、ブナ目カバノキ科に分類される被子植物の1属。ただし、分類体系によっては独立したハシバミ科とされる場合もある。世界では北半球の温帯域に自生する落葉樹や低木から10~20種からなる属である。日本にはハシバミとツノハシバミの2種が自生している。 生物的特徴縁に二重鋸葉状の切れ込みがある、丸い形のシンプルな葉を持つ。花は葉が出てくる前の春の早い時期に咲き、雌雄同株で尾状花序をつける。雄花は淡黄色で多数が集まり、5〜12cmの長さの尾状花序をなす。それに対して雌花は少数で非常に小さくほとんどが蕾に隠れ、外からは1〜3mmの赤い花柱しか見えない。果実は長さ1〜2.5cm、幅1〜2cmのナッツであり、苞葉が変化した殻に覆われている。殻の形状や構造はハシバミ属の種類を見分ける目印となる。 チョウ目の幼虫の多くが餌とする。 種下記に主な種を記載する[1]。
名称ハシバミ類を指す英名 hazel は(ゲルマン系各言語の同系語とともに)新石器時代のインド・ヨーロッパ祖語 *koselos にまで遡れるとされる[2]。この祖語はラテン語には corulus / corylus として継承されていて、後にハシバミ類の属名に用いられるようにもなった。アイルランド語やリトアニア語の古語にも同系の語があるという。 一般に、このように長期間にわたって語義の固定したまま使われつづける語彙というのは、ごく重要な一部語彙に限られるものであり、各民族とセイヨウハシバミとの、祖語時代から綿々と続く深い関わりが示唆されている(利用節も参照)。 また、榛色(はしばみいろ)といえば一種の茶色を指し、これはヘーゼルナッツの表皮の色である。 利用食用セイヨウハシバミの実はヘーゼルナッツとして知られ、広く用いられている。 ナッツ類のなかでも入手しやすく食用にしやすいヘーゼルナッツは古代より重宝され、多くの民族にとって身近で重要な植物であった。 生木・材木としての利用セイヨウハシバミは、イングランドの伝統的な生垣にも用いられる。伐られた木は小屋やフェンスを作るための材木に用いられ、また、固くて曲げやすい性質から枝は鞭の素材ともされる。さらに、ヨーロッパでは(また、北アメリカにおいてはアメリカハシバミが)、庭の飾り木としても植えられる。 土壁の木舞や、かご、コルクボードの枠などにも利用される。 文化ケルトケルトの文化圏では神聖な木とされた。古代の法律では、伐採したものは死刑とされた。
魔術・杖スウェーデンでは、馬の餌のカラスムギに神の名と共にハシバミの杖を触れると、馬は病気にならないとされた。ギリシャ神話では、ヘルメスの杖ケリュケイオンがハシバミ製である[3]。 シンデレラの原作では、シンデレラの願いを叶えたのは魔女ではなく、シンデレラの母の墓に植えられたハシバミの木である[3]。 花粉症脚注
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