ニテロイ級フリゲート
ニテロイ級フリゲート(ポルトガル語: Fragata Classe Niterói)は、ブラジル海軍のフリゲートの艦級。イギリスのヴォスパー・ソーニクロフト社のMk.10フリゲートの設計を採用している[1][2][3][4]。 設計ヴォスパー社 (Vosper & Company) 時代より、Mk.5(イラン海軍サーム級)やMk.7(リビア海軍ダット・アサワリ)といったガスタービン搭載の高速フリゲートが開発されてきた。本型は、これらより更に大型で汎用性に優れたフリゲートとして設計された[5]。艦の大きさとしてはイギリス海軍の42型駆逐艦に匹敵するが、乗員数は100名以上少ない[2]。隠顕式のフィンスタビライザーが設置されている[3][4]。 主機としては、V型16気筒のMTU 16V956 TB91ディーゼルエンジン4基とロールス・ロイス オリンパスTM3Bガスタービンエンジン2基をCODOG方式で組み合わせて、エッシャーウイス社製の可変ピッチ・プロペラ2軸を駆動する方式とされた。ディーゼルエンジン4基で19ノット、2基でも17ノットでの巡航が可能とされる[3]。また電源としては、出力1,000キロワットのディーゼル主発電機4基と出力500キロワットの非常発電機1基を搭載した[1][4]。 装備竣工時竣工当初、全艦がフェランティFM1600B電子計算機を使用するCAAIS戦術情報処理装置を備えていた。レーダーとしては、対空捜索用にプレッシー社製のAWS-2、対水上捜索用にHSA社製のZW-06を搭載した。また電波探知装置(ESM)としてはデッカ社製のRDLが搭載された[1]。ソナーとしては、EDO-610Eを搭載したほか、対潜艦型ではEDO-700E可変深度ソナーを搭載している[1][2][3][4]。 当初、武器システムには、対潜艦型と汎用艦型の2つのバリエーションがあった。対潜艦型では、対潜兵器として、艦尾甲板にアイカラ[注 1]対潜ミサイルの単装発射機、艦中部両舷に324mm3連装短魚雷発射管(STWS-1)、艦橋直前に375mm2連装対潜ロケット発射機を搭載した[1][2]。 艦砲として、船首楼甲板に55口径114mm単装速射砲を搭載したほか、艦橋後方両舷に70口径40mm単装機銃を1基ずつ備えた。火器管制レーダーとしては、艦橋上と煙突直後にRTN-10Xを1基ずつ備えた。また艦中部両舷には、シーキャット個艦防空ミサイルの3連装発射機を設置した[1][2]。 汎用艦型ではアイカラ対潜ミサイルをもたないかわり、船首楼甲板後端部にエグゾセMM38艦対艦ミサイルの連装発射筒2基、また艦尾甲板に2基目の55口径114mm単装速射砲および爆雷投下軌条を追加装備した[2]。また対潜艦型でも、1986年の発注に基づき、エグゾセMM40の連装発射筒2基が搭載された[1]。 改修後1995年3月に発注されたモッドフラッグ(ModFrag)改修により、装備の更新・斉一化が図られた。戦術情報処理装置はSICONTA-IIに更新された。これはフランス海軍のSENIT-8の派生型であった[4]。リンクYBによる戦術データ・リンクに対応している。またWSA-401武器管制システムと連接された[3]。対空捜索レーダーはAESN社製のRAN-20S、対水上捜索レーダーはテルマ社製のスキャンターMiP、ESMもラカル社製のカトラスB-1Bに更新された。また通常航海用として、古野電気のFR-1942 Mk.2も搭載された[3][4]。 汎用艦型でもエグゾセがMM40に更新されたほか、対潜艦型のアイカラ対潜ミサイルは撤去された。またシーキャット個艦防空ミサイルも撤去され、かわって艦尾甲板にアルバトロスの8連装発射機が設置された。艦砲は、全艦が114mm砲1基装備に統一されたほか、高角機銃はシー・トリニティMk.3にアップデートされ、火器管制レーダーもRTN-30Xに更新された[3][4]。 再改修2019年には、予算不足でネームシップの「ニテロイ」の延命改修を断念して退役させる一方で、4 – 6番艦の戦術情報処理装置をSICONTA-II ModIに更新する再改修が発表された。再改修は2020年に始まり、2021年内の完了を予定している[6]。 装備要目
同型艦
また、主機や装備を簡素化した練習艦型として「ブラジル」も建造されている。 ギャラリー
脚注注釈出典参考文献
関連項目
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