ナイン (漫画)

ナイン』は、あだち充による日本漫画作品。『週刊少年サンデー増刊号』(小学館)にて、1978年から1980年まで連載。

あだち充にとっては、少女漫画誌から少年誌に移ったキャリア初期~中期の作品にあたり、それまでほとんど作品が原作付きであった中、この作品はオリジナル。

概要

野球漫画は強打者もしくはエース投手が主人公で、困難な中で勝利をつかむというのが定番であった時代に、本漫画はセンターを守る俊足1番バッターを主人公に据え、連載3年目でようやく甲子園出場を果たすという、ある意味当時の王道から外れた野球漫画である。

主人公の設定に近いイチローは、小学館文庫「ナイン」1巻(全3巻)に「このくすぐったさ、たまんないね」というタイトルで寄稿している。

あらすじ

県下の名門進学校・青秀高校(せいしゅうこうこう)への入学が決まった新見克也は、友人唐沢進と共に野球部の試合を見学に出かけた。その途上の電車内で、美女が痴漢される現場に出くわしたが、美女は一睨みで痴漢を撃退した。

痴漢撃退の美女、および痴漢氏と球場で再会した新見たちは、痴漢氏が全国中学野球大会優勝投手の倉橋永二だと気がついた。中学時代、マウンド上の倉橋は輝いて見えたが、現在の倉橋は青白く、とても同一人物とは見えなかった。

試合は青秀高校のコールド負け。「学業では名門でも運動部は全然だめだな」と落胆する新見たちの前を、痴漢撃退の美女は落涙しつつ立ち去った。新見たちは名も知らぬ彼女のために、それまで続けてきた競技をやめて野球部入部を決心する。「彼女のあんな顔はみたくない。彼女には絶対に笑顔が似合う」と。

こうして、中学陸上短距離記録保持者の新見、中学柔道県大会個人優勝者唐沢、全国中学野球優勝投手倉橋、および痴漢撃退の美女中尾百合の高校生活が始まる…。

登場人物

※「声」の記述はアニメ版、「演」の記述は実写ドラマ版の順で表記

青秀高校

新見克也(にいみ かつや)
- 古谷徹 / 演 - 高橋一也
青秀高校野球部員。中学陸上では、短距離(100m及び200m)の記録保持者。1番センター。好物は五目寿司。父親は高校時代に捕手として、倉橋の父親(左腕投手)とバッテリーを組んでいた(甲子園選抜大会で優勝)。史上初の完全盗塁振り逃げ→二盗→三盗→本盗で生還)を達成する。原作終盤で、百合と恋仲になる。
中尾百合(なかお ゆり)
声 - 石原真理子(第一作)、倉田まり子(第二作、劇場版)、安田成美(第三作)、鶴ひろみ(ドラマ「アオイホノオ」) / 演 - 浅倉亜季
青秀高校野球部マネージャー。美人で、克也が好き。
唐沢進(からさわ すすむ)
声 - 富山敬
青秀高校野球部員。中学柔道県大会で個人優勝した。5番ライト。克也とは親友であり、友人思いの性格。
倉橋永二(くらはし えいじ)
声 - 塩沢兼人置鮎龍太郎(ドラマ「アオイホノオ」での声)※役名はノンクレジット
青秀高校野球部の左腕エース。トラック運転手の父親と二人暮らし。
安田雪美(やすだ ゆきみ)
声 - 坂本千夏 / 演 - 大塚真美
青秀高校陸上部員。中学時代から克也に憧れていた。彼女の兄は克也に似ている(らしい)。
中尾
声 - 永井一郎(第一作)、北村弘一(劇場版、第二作、第三作)、田中亮一(ドラマ「アオイホノオ」での声)※役名はノンクレジット
青秀高校野球部監督であり、百合の父親。
高木洋子
声 - 鶴ひろみ

山中家

山中健太郎(やまなか けんたろう)
声 - 神谷明 / 演 - 大沢樹生(後に光GENJI
百合より1歳上の幼馴染で、彼女が好き。武南高校野球部のエースで、甲子園優勝投手。克也とは恋のライバル。
山中二郎(やまなか じろう)
声 - 平野義和 / 演 - 前田耕陽男闘呼組
健太郎より2歳下の弟で、青秀高校野球部の新入部員。2番サード。雪美に惚れている。
山中智美(やまなか ともみ)
健太郎と二郎の妹。長兄と百合の仲を取り持とうとする。

その他

克也の父
声 - 増岡弘
克也の母
声 - 牧野和子
倉橋の父
声 - 青野武
雪美の祖母
声 - 麻生美代子
佐田、岡部
声 - 龍田直樹
加納
声 - 広中雅志(劇場版)、森功至(第二作)
吉村
声 - 広森信吾
森尾、大前田
声 - 田中亮一
榊孝男
声 - 塩屋翼
岩谷貞人
声 - 戸谷公次田中和実(第三作)
先生
声 - 銀河万丈
校長、アンパイヤ、賢条監督
声 - 矢田耕司
武南選手
声 - 田中和実
写真部生徒
声 - 広中雅志
女生徒たち
声 - 飯塚はる美、頓宮恭子中島千里渡辺菜生子鈴木富子
アナウンサー、場内アナウンス
声 - 中野聖子

漫画

小学館から少年サンデーコミックス版(全5巻)のほかに、文庫版(全3巻)及びMy First Wide版(全2巻)が出ている。

ノベライズ

若桜木虔により、『小説 ナイン』と題し、小学館の少年サンデーノベルズレーベルから全4巻。

アニメ

アニメは、単発のテレビスペシャルとして3本が制作され、その内第1作目が劇場用として公開された。ビデオ・LD版が発売されたが、DVDBlu-ray化はされていない。現在は配信で視聴が可能。

小学館から、フィルムコミックが発売されていた(各作品とも上下2分冊で計6冊)。

同作者による『タッチ』のテレビシリーズは、本作品のスタッフが引き続き参加している。

ナイン

1983年5月4日フジテレビ日生ファミリースペシャルにて放映。

放送時間
スタッフ
オープニング・テーマ
  • 「LOVE・イノセント」
歌 - 倉田まり子 / 作詞 - 売野雅勇 / 作曲・編曲 - 芹澤廣明
挿入歌
  • 「つのる思い」 / 「悲しみにサヨナラ」
歌 - 倉田まり子、芹澤廣明 / 作詞 - 売野雅勇 / 作曲・編曲 - 芹澤廣明
エンディング・テーマ
  • 「真夏のランナー」
歌 - 倉田まり子 / 作詞 - 売野雅勇 / 作曲・編曲 - 芹澤廣明

ナイン2 恋人宣言

1983年12月18日にフジテレビの日生ファミリースペシャルにて放映。約66分。

放送時間
スタッフ
  • 脚本 - 白山進
  • 監督 - 杉井ギサブロー
  • アニメーション監督 - 前田庸生
  • チーフアニメーター - 前田実
  • 美術監督 - 金村勝義
  • 音楽 - 芹澤廣明
  • 音響監督 - 田代敦巳
  • 製作 - 東宝、グループ・タック、フジテレビ
オープニング・テーマ
  • 「恋人宣言」
歌 - 倉田まり子 / 作詞 - 竜真知子 / 作曲・編曲 - 芹澤廣明
挿入歌
  • 「青空気分」 / 「私のYoung Boy」
歌 - 倉田まり子、芹澤廣明 / 作詞 - 竜真知子 / 作曲・編曲 - 芹澤廣明
エンディング・テーマ
  • 「真夏のランナー」
歌 - 倉田まり子 / 作詞 - 売野雅勇 / 作曲・編曲 - 芹澤廣明

ナイン 完結編

1984年9月5日にフジテレビの日生ファミリースペシャルにて放映。約73分。

放送時間
スタッフ
  • 脚本 - 高星由美子
  • 監督 - 杉井ギサブロー
  • アニメーション監督 - 前田庸生
  • 作画監督 - 前田実
  • 美術 - 金村勝義
  • 音楽 - 芹澤廣明
  • 音響監督 - 田代敦巳
  • 製作 - 東宝、グループ・タック、フジテレビ
オープニング・テーマ
  • 「エンドレスサマー」
作詞 - 売野雅勇 / 作曲・編曲・歌 - 芹澤廣明
挿入歌
  • 「八月のゆくえ」 / 「Boys in love」
同上
エンディング・テーマ
  • 「真夏のランナー」
同上
フジテレビ系列 日生ファミリースペシャル
前番組 番組名 次番組
ナイン
どくとるマンボウ&怪盗ジバコ
宇宙より愛をこめて
ナイン2 恋人宣言
ナイン 完結編
ナイン2 恋人宣言
ナイン 完結編

映画

ナイン
監督 杉井ギサブロー
脚本 布勢博一
原作 あだち充
製作 大橋雄吉
出演者 倉田まり子
古谷徹
富山敬
塩沢兼人
坂本千夏
北村弘一
音楽 芹澤廣明、槌田靖識
主題歌 OP「青いフォトグラフ」
ED「真夏のランナー」
撮影 ぎゃろっぷ
編集 古川雅士
製作会社 東宝株式会社
グループ・タック
フジテレビ
配給 東宝
公開 日本の旗 1983年9月16日
上映時間 71分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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テレビ版第1作の劇場版。1983年9月16日に東宝系にて劇場公開。監督は杉井ギサブロー。上映時間71分。テレビ版で不備な点などを修正、変更している。また倉田まり子の参加により声優や主題歌などを変更している。再放送で第2作、第3作と一緒に再放送されるときは、テレビ版ではなくこちらのほうが放送されることもある。

スタッフ
  • 監督 - 杉井ギサブロー
  • 脚本 - 布勢博一
  • アニメーション監督 - 前田庸生
  • 美術 - 大野広司
  • 音楽 - 芹澤廣明、槌田靖識
  • 製作 - 大橋雄吉
  • 製作 - 東宝株式会社、グループ・タック、フジテレビ
オープニング・テーマ
  • 「青いフォトグラフ」
歌 - 倉田まり子 / 作詞 - 売野雅勇 / 作曲・編曲 - 芹澤廣明
挿入歌
  • 「愛を翼にして」
同上
  • 「涙色の季節」
歌 - 芹澤廣明 / 作詞 - 売野雅勇 / 作曲・編曲 - 芹澤廣明
エンディング・テーマ
  • 「真夏のランナー」
歌 - 倉田まり子 / 作詞 - 売野雅勇 / 作曲・編曲 - 芹澤廣明

実写ドラマ

フジテレビ系列の「月曜ドラマランド」(毎週月曜日19:30 - 20:54、JST)で1987年1月5日に放送された。主演は浅倉亜季

キャスト

主要人物は#登場人物を参照。

スタッフ

外部リンク