ドン・ファン (1926年の映画)
『ドン・ファン』 (Don Juan) は、アラン・クロスランドが監督した1926年のアメリカ合衆国の恋愛冒険映画/劇映画。ヴァイタフォンによって同期された効果音や音楽が付けられた、長編映画としては最初の作品であったが、会話の収録は行なわれなかった[1]。この映画は、バイロン卿の1821年の同名の詩(ドン・ファン:Don Juan)にインスパイアされたものである。脚本はベス・メレディス (Bess Meredyth) で、モード・フルトン (Maude Fulton) とウォルター・アンソニー (Walter Anthony) が、インタータイトルを担当した[2]。 この映画は、主演のジョン・バリモアを、女性の手の甲に接吻する (hand-kissing) 女たらしとしてスターに押し上げた[2]。『ドン・ファン』は、映画史上最も多くの接吻の場面が盛り込まれている映画であり、バリモアはこの作品の中で191人の女性たちと接吻する姿がとらえられている[3]。 キャスト
制作ヴァイタフォンを担当していたジョージ・グローヴス (George Groves) は、フィルムに付けるサウンドトラックを任されていた。彼は新たな工夫を編み出し、何本ものマイクロフォンを用いる技法によって、107人編成の強力なオーケストラの音を、録音しながら同時にミックスしていった。これによって彼は、映画史上最初の音楽ミキサーになったのであった。 この作品のプレミア公開の際には、同様に音声付きで制作された数本の短編映画が、本編の前に上演された。まず、当時、映画の検閲を担い「ツァー (Czar)」と称されていたウィル・H・ヘイズ (Will H. Hays) が画面に登場して、映像に同期された音声で「映画の新しい時代へようこそ (Welcome to a new era of motion picture.)」と観客に挨拶した。続いて、ロサンジェルス・フィルハーモニック・オーケストラが『タンホイザー』を演奏する映像、ミッシャ・エルマンとエフレム・ジンバリスト・シニアのヴァイオリン演奏、ロイ・スメックのギター演奏、ジョヴァンニ・マルティネッリ、マリオン・タリー (Marion Talley)、アンナ・ケイス (Anna Case) によるオペラの抜粋3編が上映された後、本編が上映された。 受容『ドン・ファン』の制作費は、789,963ドルであり、それまでのワーナー・ブラザースの映画では最高額であった。プレミア上映は、1926年8月6日に行なわれた。 音楽を演奏していたのは、ニューヨーク・フィルハーモニックであった。 現状と家庭用メディアでのリリース『ドン・ファン』のプリントは現存しており、UCLA映画テレビ・アーカイブ (UCLA Film and Television Archive) に保存されている[3]。2011年には、ヴァイタフォンによる短編映画数本とともに、オンデマンド生産 DVD としてワーナー・アーカイブ・コレクション (Warner Archive Collection) からリリースされた[4]。 脚注
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